「2週間後に疫病発生が見込まれます。予防作業に着手してください」。業績好調なカルビーのロングセラー商品「ポテトチップス」の大敵は、原料のじゃがいも不足だ。北海道に約1100の契約農家があり、その畑に設置したセンサーから気温や湿度、降水量、日射量のデータを10分ごとに自動収集して分析。疫病リスクを徹底的に抑え込み、原材料調達の安定化に挑んでいる。
「うすしお味」「コンソメパンチ」など様々な味が人気のカルビーのポテトチップス。揚げたてのポテトチップスが食べられるとあって、JR東京駅の地下街などにあるアンテナショップ「カルビープラス」には、連日長蛇の列ができる。
このロングセラー菓子の大敵は、原料のじゃがいも不足。日本は、生のじゃがいもの輸入を制限していることもあって、カルビーにとっては、国内で高品質のじゃがいもをいかに多く確保できるかどうかが死活問題になる。
■必要な原料の75%は北海道産
取材に訪れた土地は、北海道。カルビーにとって最大のじゃがいもの生産地である。年間収穫量は約18万トン。ポテトチップスに必要な原料の4分の3は、北海道内で育てられている。道内でじゃがいもの収穫量が落ちれば、ポテトチップスの製造工場の稼働率が下がり、収益を圧迫する。
「北海道でじゃがいもをできるだけ数多く確保することは、カルビーグループの経営課題といっても過言ではない」。カルビーグループでじゃがいも調達を担当するカルビーポテト(北海道帯広市)で馬鈴薯(ばれいしょ)研究所所長を務める植村弘之執行役員は、こう言い切る。
じゃがいも栽培にデータサイエンス――。カルビーポテトは農業専門家の現場派遣と、科学的なアプローチで、じゃがいもの収穫量の落ち込みを未然に食い止めているのだ。
「データ分析に基づいて、じゃがいもの収穫量が落ちないよう事前に改善策を打つことで、以前よりも安定してじゃがいもを調達できるようになった」。植村執行役員は手応えを感じている。
カルビーポテトのデータ活用の目玉は、センサー経由で自動的に収集するデータと、人間の手で集めたデータの融合。双方のデータを収集・分析することで、じゃがいも不作を回避しているのだ。
■疫病情報を1100農家の携帯やスマホに発信
「2週間後、疫病発生が見込まれます。すみやかに疫病の予防作業に着手してください」。2013年6月、カルビーポテトは、約1100の契約農家の携帯電話やスマートフォン(スマホ)に、このような内容のメッセージを一斉配信した。
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