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【大リーグ】

黒田、メジャー通算70勝 粘投で野茂より1試合早く到達

2014年4月14日 紙面から

◇ヤンキース7−4レッドソックス

 【ニューヨーク穐村賢】耐えて粘って野茂超え通算70勝!! ヤンキースの黒田博樹投手(39)は12日(日本時間13日)、地元でのレッドソックス戦に先発し、6イニング1/3を6安打4失点、5三振3四球で今季2勝目(1敗)、メジャー通算70勝目を挙げた。183試合目での到達は、第一人者の野茂英雄(ドジャースなど)より1試合早い日本人投手最速だった。この日は序盤からボールの切れ、制球とも低調。審判の一定しないストライクゾーンにも悩まされたが、これまでほとんど投げていなかったカーブを多投することで活路を見いだし、先発として最低限の仕事を成し遂げた。

 7回途中まで投げきり、試合を壊すことはなかった。マウンドからベンチに引き揚げる際には地元ファンから労をねぎらう拍手と歓声も起きたが、黒田の表情は硬いままだった。

 開口一番、口を突いて出た言葉も「いつも苦しい(投球)ですね」と自虐的なものだった。無理もない。この日はスライダー、スプリットとも切れ、制球がもうひとつ。組み立ての中心、生命線でもあるツーシームも、同じコース、高さにいっても、あるときはボール、あるときはストライク。球審の気まぐれとも映る不安定な判定に「自分の中で苦しいというか、戸惑っていた。チームが勝てたので、それが一番」。甘い球を痛打され、毎回のように得点圏に走者を背負うような展開で心休まる暇もなく、ベテラン右腕の顔にもいつになく疲労感が漂った。

 そんな「苦投」を救ったのが、春季キャンプを取材に訪れた元巨人投手の桑田真澄さん(46)から握りを直接教わったカーブ。「カーブを使えたのが大きかった。カーブに関しては去年はそんなに投げていない。意表を突いてというか、打者もあんまり見ている球じゃない」と意図的に多投。目先を変えることで、過去10度以上の対戦で手の内を知り尽くされ、対戦防御率4・05と打ち込まれている天敵を封じ込める。要所を締め、先発投手の責任回ともいわれる6イニングを何とか乗り切った。

 ただ、もちろん本人は納得していない。打線の早めの援護がなければここまで持ったかどうか。1回のベルトランの先制2点弾は直後の被弾でフイにし、7回は四球で走者をためての降板という野球のタブーを相次いで犯し、「(結果として)勝てたことを次の登板でのモチベーションにつなげたい」と収穫に乏しい試合だった。

 「100球近く投げる中で全て思い通りに投げることは難しい」と言う。そんな中で粘り、耐えてつかんだ勝利だったが、黒田の顔は最後まで勝者のそれではなかった。野茂超えの通算70勝も手放しでは喜べなかった。

 

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