写真:FC岐阜ノミクス期待

開幕戦で当日券を求めて列をつくる人たち。FC岐阜の躍進が地域活性化の起爆剤となるか=2日、岐阜市長良福光、長良川競技場

 人気選手の加入と開幕ダッシュ成功で、県内のみならず全国のサッカーファンからも注目を集めるサッカーJ2のFC岐阜。ホーム2戦の観客数は昨年比で2倍以上で、関係者は「地域の活性化にもつながる」と期待を寄せる。FC岐阜の熱気が今、岐阜のまちを“アツく”しようとしている。

自治体、サポーター熱視線

 「今季はファンクラブの入会申し込み、グッズの売り上げともに好調な滑り出し」と喜ぶのは、FC岐阜広報の林幹広さん。現在、ファンクラブ会員数は前年比で約3倍の1600人で、昨年までほとんどなかった静岡や関東方面からの申し込みが急増しているという。「やはり元日本代表選手が加入した効果は大きい」と語る。

 日本代表の遠藤保仁選手が所属するガンバ大阪は昨年、J2の各スタジアムの観客動員記録を更新する「ガンバノミクス」現象を起こした。今季のFC岐阜に、同じ盛り上がりを期待する関係者は少なくない。サポーター有志でつくる「FC岐阜を応援する県民有志の会」代表の長尾栄伸さん(40)は「ラモス瑠偉監督や川口能活選手たちを見ようと、他県から大勢の人が岐阜に来てくれるのでは」と胸を躍らせる。

 自治体も熱い視線を送る。1万1千人以上の観客を集めた開幕戦で、特産品などを販売した関市の河合康紀観光交流課係長は「うな丼弁当200食がわずか40分で完売するなど、例年にない盛況ぶり。クラブと協働した観光PRができないか、検討していきたい」と力を込める。

 メーンスタジアムのある岐阜市も、アウェーサポーター向けの観光PRなどに力を入れていく。伏屋真敏市商工観光部長は「市の魅力を他県に広め、経済効果につなげたい」と語る。練習拠点の一つの県フットボールセンターがある羽島郡笠松町は、町のホームページに「FC岐阜応援サイト」を開設する予定。「Jの選手と触れ合えるまち」を広報していく。

 スタジアムでチームに熱い声援を送るサポーターたちも、町おこしに一役買いたいと燃えている。サポーター団体「G−style」代表の佐々木拓さん(42)は「ホームで勝った2戦とも、試合後に岐阜市内の飲食店で祝勝会を開いた。あえてユニホーム姿で入店することで、その店に他のサポーターを呼び込める雰囲気をつくりたい」と話す。長尾さんは現在、岐阜駅前でFC岐阜の試合のパブリックビューイングを企画中。「柳ケ瀬商店街の空き店舗に観戦ブースを設置するのも良いかも。まちにサッカーを気軽に楽しむ文化を根付かせたい」