【コラム】満身創痍の韓国スポーツ界

 スポーツ界全体に広がるさまざまな悪習を正す必要性については誰もが全面的に同意するだろう。あしき慣行に対しては常に厳しい監視を行い、いつかは必ず正さなければならない。しかしすでに9カ月にわたり続いている現在の「非正常の正常化」のための作業には何か違和感がある。スポーツ界全体を悪の巣窟のように見なし、金を使って内部からの告発を誘導する方法は、間違いなく大きな副作用を伴うだろう。「真面目に汗を流しながら努力を続ける選手やコーチに対してまで、何のためにこんな厳しい態度を取るのか」といった不満の声も出始めている。

 スポーツ界はもちろんその周辺からは「KOCの金正幸(キム・ジョンヘン)会長が辞任すれば、一連の厳しい調査は終わるのではないか」という声もすでに出始めている。つまり「金会長から大きな支援を受けている柔道界でも、他の種目と同じように派閥や試合での不公平判定といった問題が相次いでいるのだから、金会長も当然責任を取るべきだ」というのだ。

 スポーツ界の正常化作業が一定の成果を出すためには、当然政府や政治家も変わらねばならない。専門的な知識や経験のない政府関係者が、天下りのような形でスポーツ界の重要なポストに就くというあしき慣習を繰り返しておきながら、その一方で「お前たちはそんなことをするな」というのだから、これでは誰も聞く耳など持たないはずだ。またすでに死文化しているとはいえ「兼職禁止法」があるにもかかわらず、兼職の特権を堂々と行使する国会議員も問題だ。スポーツを利用して自らの欲望を満たすため、競技団体のトップの座に居座り続ける国会議員がたくさんいるが、このようなことを最初からできないようにする制度面での仕組みも必要だろう。

 2018年の平昌冬季五輪を前に、他の種目以上にレベルアップの必要性が強く叫ばれている大韓スキー協会も、ここ数カ月は異常な状態が続いている。昨年末に尹碩敏(ユン・ソクミン)前会長が任期の途中で辞任したが、その後今に至るまで新しい会長を選出できないでいるのだ。「冬季五輪の花」ともいわれるスキー種目で、その競技団体のトップが5カ月にわたり空席の状態にありながら、そのことに危機感さえ感じないような国でわずか数年後に冬季五輪が開催されるのだ。今や満身創痍(そうい)ともいえる韓国スポーツ界だが、今後かつてのように感動のドラマを再び生み出すことができるか、今から心配になってくる。

趙正薫(チョ・ジョンフン)スポーツ部長
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