【コラム】満身創痍の韓国スポーツ界

 春の暖かい日差しが降り注ぐ中、韓国ではスポーツの熱気も高まっている。プロバスケットボールとプロバレーボールはいずれもシーズン終盤を迎えて盛り上がっており、プロ野球とプロサッカーも待ち望んでいたシーズンがついに開幕した。

 しかし盛り上がっているのは選手たちが躍動する現場だけだ。スポーツ界全体、とりわけエリートスポーツの世界では、関係者たちによる互いへの不信や誹謗(ひぼう)中傷、暴露、管理能力のなさといったマイナスイメージの言葉が激しく飛び交っているからだ。

 先月にはあるアマチュアのバスケットボール審判が「バスケット協会の役員は、試合の判定に影響力を行使するような発言を控えてほしい」という内容の陳情書を文化体育観光部(省に相当)に提出した。また女子カーリングの韓国代表選手たちは「コーチにセクハラ行為をされた」として代表の辞退を表明し、これも国全体を揺るがす大きな問題となっている。京畿道華城市庁のショートトラックチームでは、前の監督と選手たちの双方がセクハラと誣告(ぶこく=虚偽告訴)容疑で互いを訴える事態が発生した。

 スポーツ界全体がおかしな雰囲気になり始めたのは昨年の後半からだ。あるテコンドー道場の経営者が「選手として活躍している息子が試合で不公平な判定を受けた」とし、判定に抗議して自殺するという悲惨な事件が発生した。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は昨年7月の国務会議(閣議に相当)でこの問題を取り上げ「仁川アジア大会開催までに(スポーツ界での)一連の問題を何としても解決しなければならない」と発言した。これが大きなきっかけとなり、流れが変わり始めたのだ。今年1月には複数のスポーツ団体で、一連の汚職などに対する調査結果が公表された。大韓体育会(KOC)をはじめとする2099のスポーツ団体を対象に4カ月かけて監査が行われ、汚職など337件の問題が摘発された。しかし「件数は多かったが、大統領が納得できるような成果はなかった」との指摘も相次いでいる。すると文化体育観光部は「スポーツ4大悪申告センター」を立ち上げ、関連する情報の提供者には100万ウォン(約9万8000円)から最高で300万ウォン(約29万円)を支払うことにした。

趙正薫(チョ・ジョンフン)スポーツ部長
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