2014年04月12日

お遍路の話(その1・遍路道)

この話題、そんなに引っ張るつもりはなかったのだが、昨夜、枕元に弘法大師様が示現され、世の人に分かりやすく説明せよとお告げをたまわったので、書くことにする。

お遍路とは、弘法大師空海が修行したとされる、四国八十八箇所の寺を巡礼することである。実際には、八十八番目にお参りしたあと、最初の寺にお礼参りに行き、さらに高野山に参るので、一回の遍路でのべ90の寺をお参りすることになる。このように円環状になっている巡礼は世界的にも珍しい。

巡礼はどこからはじめてもよいが、一番札所の霊山寺(徳島県)から始めることが多く、僕も霊山寺から始めた。一番札所から始めると八十八番の大窪寺まで打って結願(けちがん)となり分かりやすい。ハングルのステッカーを貼っているという崔さんは、四回結願したというから、四周しているわけである。

全距離は歩き方にもよるが1200km〜1400km。徒歩で巡礼すると早くても40日はかかる。たまたま出会った、ワンダーフォーゲル部の屈強な大学生がこんなことを言っていた。
ポケモンスタンプラリーのでかいやつだと思って来たんですけど、モンスターを自分で倒しながら進むぐらいきついですね。

このコースを遍路道といい、空海が修行した道とされる。よもや平安時代の無名の修行僧が歩いた道が記録されているわけはないので、伝統的な巡礼コースというぐらいの意味だろう。へんろ道保存協力会のステッカー(おそらく崔さんのも)はこの遍路道を示している。

前回のエントリで、「ゆ」さんという人からコメントがあり、「(崔さんは)土地勘がないためか、必ずしも正しい順路を示してないという指摘もあります」と書いてあったが、四回も結願した人が「土地勘がない」なんてことはありえない。地元の人は自動車で移動することが多いから、むしろお遍路さんの方が道を知っていることすらある。大方、遍路道を知らない人がしたり顔に言っているだけだろう。

遍路道は一種の古道なので、かならずしも札所に最も近く、歩きやすい道とは限らないのである。現在、国道になっていてビュンビュン車が走っているところもあれば、一般的な地図にはない山道もある。人の家の庭先(たぶん本当に庭)のようなところもある。

たしか高知県だったと思うが、遍路道が海岸に出てしまった時には驚いた。そこから先、道がないのである。よくわからないまま、砂浜で自転車を押していたら、突き当たった雑木林の木に保存会のステッカーがあるのを見つけた。しかし、その先はヤブでどう見ても自転車では進めない。しょうがないので、また砂浜を押してもどって普通の道路を走った。

あとでベテランのお遍路さんに「あんなところ、本当に通ったんですかね」と聞いたら、「ああ、あれは船をつかったんだよ」と言われて合点がいった。

こんな感じなので、明確に道があるところもあれば、そうでないところもある。ステッカーは遍路道を知る上で大事な情報源なのだ。僕がステッカーはあればあるほどいいというのはこのためである。

12番の焼山寺66番の雲辺寺など、山のてっぺん(標高800〜900mぐらい)にある札所への山道がきついのはいうまでもないが、現代的な道路になっていれば簡単かというとそうでもない。

たとえば23番の薬王寺と24番の最御崎寺(室戸岬の先端)は75.4kmもあり(二番目に札所間が長い)、夏などは灼熱の太陽と照り返しの中、延々と何もない自動車道路を歩かなければならない。僕は自転車でかなりのスピードを出して走っていたので、歩き遍路の人を追い越していくのがつらかった。

そうかと思うと、高松市のような交通の激しい都市を歩かなければならないこともある。こういうところでは、逆に札所を探すのが難しくなる。

このようにお遍路さんは、多かれ少なかれ、命がけで巡礼している。崔さんのものもふくめて、道案内ステッカーはそんなお遍路さんのために貼られているものだ。そのほとんどは遍路をしない人の目につかないところにある。お遍路をしない人が四の五の言うことではない。

さて、このエントリでは歩く側の立場を書いた。次は四国の人々が、お遍路さんをどう支えているかについて書いてみたい。

Posted by yatanavi at 03:38│Comments(6)TrackBack(1)

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お遍路の話(その2・お接待)【やた管ブログ】at 2014年04月13日 04:12
この記事へのコメント
お大師様と歩む錫杖の音は、春の四国路の風物詩と
なっています。
Posted by 祥南 at 2014年04月12日 17:54
あの雰囲気は、地元民と行った人にしかわかりませんよね。
お遍路さんのいない四国なんて考えられません。
それにしても、今一番いい季節ですね。
真夏に死にそうになってやる苦行もいいけど、春風に吹かれて回るのは格別です。
また行きたくなったなぁ。
Posted by 中川@やたナビ at 2014年04月12日 19:35
>大方、遍路道を知らない人がしたり顔に言っているだけだろう。

また憶測でレッテル貼りですか?
Posted by あ at 2014年04月12日 22:10
ええ、前回とは違い憶測です。
が、4回結願したお遍路さんを「土地勘がないから間違って貼っている」という憶測よりは、はるかにマシだと思います。
次のエントリもがんばって書いてますので、読んでくださいね。
Posted by 中川@やたナビ at 2014年04月13日 00:21
実際に巡った方の話が聞けてありがたいです。
次の記事を楽しみにしております。
Posted by いつかは行きたい at 2014年04月13日 02:18
コメントありがとうございます。
なんとか書きました・・・。

http://blog.livedoor.jp/yatanavi/archives/53120527.html


書いているうちに、僕もまた行きたくなってきました。
もちろん、今度は歩きで。
なかなかそんな時間はできそうにありませんが。
Posted by 中川@やたナビ at 2014年04月13日 04:21