(cache) 細胞型酸素輸液の製造工程の確立
細胞型酸素輸液の製造工程の確立
(研究課題番号 ー 2558ー ー' 2)
平成ー2年度~平成ー3年度科学研究費補助金 (基盤研究 (B)(2))
' 研究成果報告書 '
平成ー5年3月
研究代表者 武岡 真司
(早稲田大学 理工学部)
目次
研究組織・研究費
4.
はじめに
学会誌等発表
研究成果による工業所有権の出願、 取得状況
・ 研究成果
ー. はじめに
我が国における輸血用血液製熱」の安全性は、 エイズや0型肝炎感染の延などの経を経て世界初の核
増幅法(NAT 検潮導入によ り極めて高く なっている。 しかし、 ヤコブ病や西ナイノレ熱病、 最近の S凪S
に代表される未知ウイルスによる感染のリスクは、 むしろグローバル化により益々高まる傾向にある。 更
には細菌混入と される血関連急性肺障害 (T脚ー) や医療過誤による異型血などの血副イ信用のリス
ク もある。 特に赤血球剤は冷蔵保存にて 2ー 日間が有効期限であり、 期限切れ製熱」を経を払って焼却
処分している状況にも拘わらず、 少子高齢社会の到来により供給不足が懸念されている。 大災害や有事の
緊急時に、 血液型交差試の必要ない赤血球代替物製熱」を犬供給できる体制は安全保障の点から国家
的な施策である。
このような状況から、 長期保存可能で血液型を問わず誰にでも投与が可能であり、 かっウイルス感染の
危険性がなし丶赤血球イ精替物を早期に開発するこ とが急務と されている。 また、 安全な医療体調ーの整備 され
ていない国や地域におし丶て赤血球代替物のニーズは高く、 我が国の科学技術による国際貢献と して理想的
課題でもある。
サブユニッ ト 4体(鱗雌)のヘモグロピン(Hb〉は血流中で2体(2離 8)へ解離し重篤な腎毒性を招
来し、 素親和度も異常に高くなる。 そのため舐 の分子内や分子間を架橋したり、 水溶性高分子にて修
飾 した、 いわゆる非細胞型の開発が進められている。 それらの多くが欧米では既に臨床第m相試の段階
に到達しているものの、 師 自体の副作用を克服できないために開発が遅滞しているのが現状である。 一
方、 報告者らは赤血球膜を模倣した小胞体構造の中に期輝良切れ赤血球から精した田 を封入した跚小
胞体の開発を進めている。 この細胞型赤血球代替物は、 非細胞型の持つ問題点を解決できるものと して既
に数多く の成果報告がされており、 従来系を凌駕する剤 と 目 されている〟 臨床適応には医薬品を熟知す
る開発企業を中心と した非臨床試を綿密に行う必要があり、 そのためには製剤を大に製造する技術を
開発 し、 実際に治薬G跚 基準適合設備にて品質保証された製熱」を製造し、 安全性、 有効性、 保存性等
の評価に合格しなければならない。 '
=本研究では、 報告者らが独自に実室規模にて研究開発を重ねてきた 師 小胞体について、 これが製造
の装置設計のために物質移動工学や反応工学の点から充分なデータを収集 ・ 解析して、 スケールアップ
可能な装置や設備の設計を完了させることを目的と した。 本研究の具体的な成果と して、 困期限切れ赤血
球から離酸化炭素 (C。)化工程、 加熱処理、 解良外ろ過工程を組合せて、 Hb を精製するライ ンを確立、 @Hb
小胞体から 肺結合 C。 を酸素雰囲気で可視光照射によ り酸素と交換し、 さ らに@脱素化 して封入する方
法の確立、 @リ ン脂質と比較 して安価で大量合成可能、 しかも血液適合性が高いアミ ノ酸型万言質 (負電荷
脂質、 ポリエチレング リコースレ結合万旨質) の開発に成功し舐小胞体を調製できた、 @混合月着質粉末の前
処理を行い、 その水和体の高圧押出 (エクス トノレージョ ン) 工程による小胞体製造効率を飛的に高める
ことができた、 @連続 ・ 多段式高圧押出装の開発による小胞体製造のスケールアップイヒによ り、 勘 小
胞体 300L丿ノ〝ッチの製造の目途を付けることができた。
C。化処理に要する時間も2倍程度に延長したが、
3.0 g/dL の脱 C。 化時間は 240 分程度と予想より
長くなった。 これは高度系ではポリプロピレン
製中空糸膜表面への 田 の吸着が生起し易いく 可
視光強度の不足、 などの原因が考えられる。 従っ
て、 師度は約 ー-0 g丿dL 前後での処理が望まし
いと判断した (図6、 表ー)。
3) 光照射大型液膜装を用いた田の脱 C0化
本装では回転中でも液送ポンプの送液方向の
切換えによって 師 溶液の注入と吸出を反復でき
る。 即溶液 (ー0 g/dL) のC。化率の経時変化を
図7に示した。 師溶液をQL 。.5、 ー.0、 2-。L
に増大させると、 00化率5 %までの所要時間は、
。-3
また、減衰曲線の一枚近イ以を行って求めた脱 C。
化の見かけの速度定数 』嬲pp(C。)と Hb 溶液量の
関係を図8に示す。 孤溶液 0-ーLでの値以外は
ほぼ一定であった。 このことから、 本装置では2心
L 以上の溶液量でも効率を低下させずに処理でき
ることが判明した。 逆に、 。-5L以上での効率の低
下は、 溶液塵が少なすぎるために、 帯状の液膜に
なり光の照射イ立置とのずれが原因と考えられる。
' 本装では、 フラスコ形状の工夫による照射効
率の向上や均一な液膜形成が課題となるが、 改良
により ー0'gノ齔、 2-。L の場合の砥溶液の処理速
度は従来系の 7 倍以上、 また f。ugw 五ber (人工肺
利用系) の3-5 倍以上の向上を可能にした。
D・ 結論
勘 の C。 化 と脱 C。 化工程は、 C肥ー。X-丑煽で
は連続的処理が可能で、 C。 化の効率こそ
NAG舶EP@に比較して約2'2 倍高いものの、ポリ
プロ ピレン製膜表面への蛋白質吸着のため長時間
使用に耐えず、 再手ー]用不可の点で劣ると判断した。
シ リ コ ン膜製の NAG膿E秤は C肥ー。Xー立@よ
り もガス透過性に劣るものの、 可視光透過効率が
高いため、 脱。。化に有効であると判断された。
他方、 光照射大型液膜装置を用いる脱 C。 化工
程は、 2L のバッチ処理が連続的に行えるのでスケ
ールアップに対応できる。 均一な液膜升彡成が可能
なフラスコの形状を工夫すれば、 もっと効率を高
めることができると思われる。
ヒ ト 砥 溶液の安全度向上を目的と して加熱処
理によるウイルス不活化には、 即 の耐熱性向上が
必要条件である。C。化による安定化施溶液では、
煩雑な脱 C。 化操作を必要とするので、 その改善
が望まれている。 孤溶液から完全に脱酸素して得
られる de。却跚 の熱安定度は高く 、 更に、 施 小
胞体の長期保存にも脱酸素化処理が必須条件とな
る。 しかし、 脱酸素化による ー00%の de。靱舐 を
得る過程はガス交換膜処理でも困であった。 本
研究では低毒 度水素ガス共存の電解処理による酸
素を水に還元する操作を経由 して 勘 溶液からの
完全脱素化技術 (0.ー鵬= 以下) を確立した。 ま
'こ、完全な脱素状態での瑯溶液のゥィルス不活
化を確認 した。
B・ 方法 '
ー) 解還元法による 師溶液、師小胞体分散液の
脱酸素化
Hbは常法に従って精製した。 アロステリ ック因
子と してピリ ドキサール 5"リ ン酸の添加にて
素親和度 (Ps。) を調節した。 施 小胞体分散液で
は厚 師 溶液と混合リ ン脂質、 Premme
PPG'ー(曰本精イヒ)を原料と して、 常法に従い調製、
得られた小胞体分散液に PEG (5ー,000)-DSPE
(Sunb杜ght DSPE-50H、 日 油製)水溶液添カロ、 所定
時間静置する方式で外表面を PEG鎖修飾 した。 こ
れらの試料溶液をリ ン緩衝生理塩水住BS) にて
適当度に調整し、 C佃ー。Xーー@を用い、 酸素分圧
ー0 冊nに調節 し、 これを二室塩橋連結式電解の
陰極御]に導入 した。 陽極佃ーには窒素置換した PBS
を導入して、 2%の水素を含有する窒素ガスを通気
させ、 作用極にはステンレス電極、 参照電極は
離丿AgCー を用い、 定電位電解装置を用いて陰極電
位 0.56V と して電解した。
2) 加熱によるウィルス不活イヒ試
電解還元法によ り 師 溶液を完全脱素化し、
vesicuーar st。matitis 伽s (VSW を添カロ、 62も、 ー0
時間加熱処理し、 単層培養した Ver。細胞 (アフリ
カ ミ ドリザル腎由来) に ー0 イ音希釈した VSV試
料を添加 して 37泊で 3-5 日間培養 して、 ウィルス
' 感染価を 地ed-Muench法を用いて計測。
G・ 結果および考察
ー2
' 酸素分圧 ー0 冊加 の PBS 溶液、 施 溶液([師]=ー.0
g/dL、 2・5 g/dD80 mL を電解し、 電流値の推移を
測(図 9)、 陰極反応は酸素の拡散律速であること
をTafeー式から確認。 陽極は、 H洲2ガス流量ゃ
溶液攪拌条件が通電量に影 しない様に設定。 電
流イ直は2相近似型減衰挙を示し、 PBS が最も早
溶液の順であり、 初期減衰の勾配は 3 系共に略同
じ傾向にあり、 これは水相に物理溶解している酸
素の電解によると推定される。 'また、 第2の減衰ー
は 師 に結合してぬる酸素の電解によるものと推
定される。 また、 電流が一定値に達した段階にお
ける酸素分圧は検出限界(0J邸趾)以下であった。
そこで、 離定値に達するまでの時間を脱酸素化
時間と し、度の異なる 勘溶液に対して求めた処、
度の増大と共に比例的に増大し、5g/dL跚溶液
(80 皿、P5。=25 肪n)の処理には約9分を要した(図
ー0(城)。また、素親和度住誠の異なる勘溶液位5
g/dL)の脱素化時間は、Ps。の値が小さくなる、 す
なわち酸素親和度が高い 施 溶液の方が長く なっ
た(図 ー0(b))。 これらの結果は、 師 に配位した素
の脱が律速段階であることを示している。
次に、 本電解反応では反応中に 。H-が生じるた
め溶液 pH の上昇が懸念される。 上記の実では
PBS を用いたのでその問はないが、 生理塩水を
用いた場合の影を測した。 素分圧 ー0 T。n
からの完鋼酸素化の際、 pHは6.4から9'7に増
大するが、 5 g/齔 の 勘 生理塩水溶液では、 pE は
6.6 から 7-2 に増大しただけで、 勘 の優れた緩衝
効果が認められた(図 ーー)。 また、 施社丶胞体の生理
pH
塩水分散液で同様の測定を行なった処pHは6'7か '
ら 8.9 まで増大したが、 20 分以内に 7-4 まで戻り
一定イ直となった。 これは、 師小胞体の成二分子
膜が 。H一ゃH+の移動に対して抵抗となり、 軸に
達するまでに時間を要したものと考察される。 何
れの系も 施 の利用においては、 pH の最終的な変
動は僅かであり問題は無いと判断された。
2) 加熱によるウィルス不活イヒ試
完全に脱素化 した孤溶液に VSV を添加 した
試料を、 62七、 ー0 時間加熱処理の結果は、 加熱処
理前ではメ ト化率が高かった試料では、 加熱後メ
ト化率の大幅な減少が認められ、 メ ト体の熱変性
が確認されたく表 2)。 他方、 de。xyHb で鼻まカロ熱によ
る変性を認めなかった。 これは de。離其p の熱変性
温度が四むと高いことによる。
ー 加熱処理前の ー05-岬CーDs。の VSV活性が加熱処
理後では検出限界の ー0-0~5TCーD離以下まで低下し
ており、 平均で ー06以上のウイルス不活化率が達
成できたく表 3)。 これは C。化 Hb の加熱によるウ
イルス不活化率と同値であった。
更に、60わにて ー0 時間加熱処理した孤溶液を
大気下37もにて攪拌してメ ト化率の推移を測定し
た処、 図 ー2に示す様に完全な脱酸素状態で加熱処
理した 施 は、 C。 化 施 の状態でカロ熱処理した
肌 と同様の推移を示したが、人工肺による脱酸素
化で素分圧ー〇邸血の師溶液を加熱処理した系
ではメ ト化率は急激に増大し、郎が変性し易いこ
とが示された。 '
s。
MetHb (%)
N
。
20 25
D・ 結論
電解還元法による脱酸素化法の利点は、 微の
希薄水素ガス導入による素の完全除去法と して
有効であり、 添加剤を用いないク リーンな処理工
程が実現でき る。 pH の増大も問題はなく、 この結
果、 脱酸素状態下加熱処理は、 柵原液のウイルス
不活化に適用できることが明らかにされた。 既存
ガス交換モジュ~ルにて ー0 T。n 以下に脱酸素化
してから、 本法実施の連続処理で完全脱素化が
可能となる。
Hb 小胞体の脂質成分と して所定の負電荷脂
質を導入 した場合、 田小胞体の表面電荷密度や表
面水和状態の調節、 多重小胞体の二分子膜間電
荷反発による層数の制御、 小胞体間の凝集抑制が
可能となる。 また、 血中に投与した場合、 血漿蛋
白質、 血球成分などとの相互イ借用の調節ができ る。
師 小胞体の成分としてホスファチジルグリセロ
ールを利用 してきたが、 血小板の凝集やそれによ
る血小板減少症の生起、 そして白血球類の機能に
影を及ぼすなどの副作用が明 らかとなっている。
本研究では、 簡便に合成できるカルボン型脂
質を施社丶胞体の負電荷成分と して利用 し、負電荷
の効果を維持したまま、 負電荷リ ン脂質に認めら
れる副作用を回避することを目的と した。'
B' 研究方法
ー) 負荷万言質の合成
合成は以下の Schemeーに従って行った。
助 小胞体の脂質成分 と して DPPC、 ch。ーesぬr。ー、
DPEA、 PEGーDSPE を 5、 5、 ー 、 。. 033 のモ
ル比で混合し、 凍結融解”凍結乾燥法で師小胞体
を調した。粒子径および珊内包効率から負電荷
脂質 と しての利用の可能性を検討した。 また、 800
mLスケールで珊小胞体の量調製を行った。
C・ 研究結果および考察
ー ) DP皿 の合成
グルタミンを利用して 2 本のアシルを有す
るカルボン型脂質を設計、 合成した。 グルタミ
ン酸のこりのカルボキシスレ基に p- トルエンスルホ
ン酸を触媒と してヘキサデシルアルコールをエス
テル結合させた後、 アミノ基に無水コハク酸をア -
ミ ド結合 さ せ 、 ー,5-dip鯉血加yエ・L-gーutamate-M
succ雌cacid(DPE劫を高収率 (92%) で簡便に合
成できた。 造は MS、 ーB、 ーH-跚 により同定
した く表 4)。 DPEAは有機溶媒に易溶であり、 リ
ン脂質やコ レステロールとの均一混合体が容易に
得られるため、 リ ン脂質小胞体の負電荷成分と し
~ て利用できる。
92
2) DPEA含有砥小胞体の調
合成した DPEA (総脂質に対して 0~ー7%) を導
入した 勘 小胞体を調した。 混合脂質
のPPC丿ch。ーes柚r。皿PEA= 5/5/ ー) か ら 凍結融解 ・
乾燥前処理法によ り 33 g/dL の 施 溶液に分散
(ー4も,5hr)した後、ェクス トルージョ ンによる造粒
を 3 バッチ行ったところ、 施伍ipid 比は全て ー・6
であり、本法は再現性良くの同一規格の師小胞体
が得られる方溝であることを確認した。 DP弘 の
モル比を変えて調製(25魎 2hr水和攪拌)したへモ
グロ ピン小胞体の 助伍ipid 比は、 DP趾 を含有 し
ていない場合は 0'7 であり、 DP皿 のモル比を変
化させても ー.5~ー.6 の範囲に留まった く表 5)。
DPEAを少なく とも9 m。ー%以上導入すれぱ、 Hb
小胞体造粒時の被数の減少に有効であり、
師凪ipid比が向上することが明らかになった。
施 小胞体の負電荷成分を負電荷リ ン脂質から
簡便、 高収率で合成できるカルボン酸型脂質に代
替できることが明らかになった。 これにより、 勘
小胞体調製時に必要な負電荷効果を保持させたま
ま、 負電荷リ ン脂質が惹起する血小板凝集や白血
球活性化な どの副イ借用を回避できる。 現在、 kg ス
ケールでの量合成も完了しており 、 抵小胞体の原
料として利用できる。
5.4. 新規 PEG の合成 と 瞳… =ー 制 ・ニ`
A研究目的
ポリエチレングリ コール (PEG) 鎖で表面を修
飾したリ ン脂質小胞体は高い分散安定度を有し、
投与時の良好な微小循環態や血中滞留時間の延
長などの効果が確認されている。
現在までジステアロイルホスファチジルエタノ
ールアミン (DSPE) の頭部に PEGを結合させ
た PEG-DSPE を使用 してきたが、 安価に合成
できるPEG脂質で代替することを目的としている。
B 研究方法
ー) PEG脂質の合成
PEG脂質の合成は以下の Scheme 2に従って行
った。
0
2) 臨界分子量による 抑制効果の検討
小胞体分散液 (0.08wt%、 2mL) に分子の異
なる PEG 水瀬 (ー5軸%、 500典) を添加 して、
溶液度 (600nm) が急激に増大する PEG の分子
量 [界分子量 (恥)] を測定した。
C 研究結果および考察
ー) 合成
疎水部の Gー=26ー8 は前述の DP趾 と同様の方
法で合成した。 分子量の大きな PEG を二分子膜に
安定に固定するため、 アシル鎖はステアロイノレ基
とした。本PEG脂質はーステップで簡便に合成で
き、 収率は 78%と高く、 カラム精製を必要と しな
いため直ちに量合成が可能である。 構造は 田、
ー貫一鵬より同定した く表8)。
2) 集抑制機能
リ ン脂質小胞体は水溶性高分子添カロにより凝集
するが、 下限臨界分子量 (Mc) が存在する。 小胞
体の分散安定度が高い程 Mc が大きくなるため、
PEG 脂質の凝集抑制機能を定量的に解析する指標
となる。 表面を PEG で修飾していない小胞体の
Mc は ー,570 であるが、 従来用いてきた PEG-
DSPE (総月旨質に対して 。-3 m。ー%) で表面イ修飾し
た場合、 Mcは ー5,000に増大する。 同のPEG一
GーuzCー8 で表面修飾 した場合の Mc は ー4,400 であ
り 、 PEG'DsPE と同等の凝集抑制機能を有する
ことが明らかになったく表9)。
D 結論
リ ン脂質小胞体の表面修飾に広く使用されてい
る PEG-DSPE と同等の抑制機能を有し、 簡
便安価に合成できるPEG脂質を得ることに成功し
た。 帥ノj丶胞体の原料と して、 各種生化学検査や勉
墟v。評価を行う予定でぁる。
D・ 目的
静注を目的とする 勘 小胞体は高い安全度が要
求される。 小胞体膜成成分と して高純度ヅ ン脂
質の使用が必須であるが、 安価で簡便利用できる
合成月旨質を検討した。 本研究では、 膜め主成分に
なる両イオン性アミ ノ酸型脂質の基礎物性を整理
すると共に、 従来のリ ン脂質 (DPPC) 使用系と比
較し、 詳細に検討した。 '
E- 方法
ー) アミノ酸万言質の合成
両イ オン性アミ ノ酸型脂質の合成を Scheme 3
に示した。
。
C・。・(Cthsng
N
犬~~第
質 3、 PEG 脂質 4、 およびコ レステロ…ルと混合ず
ると小胞体の分散安定度は向上し、 リン脂質を全
く使用 しない安定な小胞体分散液も得られる。
3) 田小胞体への適用
エクス トルージョンによりアミノ酸型脂質小胞
体の粒子径は、 目的とずる粒子径 238士64nmに調
節できた。 単イ立轟音質量当りの保持跚重は ー'8
であり、 リ ン脂質小胞体と同等の内包効率であっ
た く表 ーー)。 ェクス トルージョン法により効率よく
粒子径の調節と被覆層の剥ぎ取り を行えるので、
各種水溶性分子を高効率で内包できる。 師の素
親和度調節のため、 Hb 溶液にピリ ドキサール 5'-
リ ン酸住LP)の適量を溶解させると、 素親和度も '
リ ン脂質小胞体系と同値を示した。 所定量の PLP
導入のまま内包されていると判断できる。 生理条
件下 (pH 7-4, 37 00) で一週間静置した後でも 恥
の漏出は測されず、 二分子膜小胞体構造は熱力
ー 学的に安定度の高い状態で長期間安定保持された。
D- 結論
本研究の結では、 Hb小胞体構成成分と してのリ
ン脂質分子を合成脂質で代替した、新しいHb小胞
体の可能性が明らかになった。 現状では、 即小胞
体溶液調製の経費の 70%をリ ン月旨質価格が占める
ので、 これを ー0~20%に減少させられる可能性を
示したものと云える。
今後、 コレステロール、 負電荷月着質、 PEG脂質
との混合比の最適化、 生体適合性、 生分解性試
を行い、 Hb小胞体への適応の可能性を検討する予
定。
A, 目的
Hb 小胞体の造粒工程において、 師 億度の増大
は単位脂質重量当りの田重量比、 施内包効率の
向上に有効であり、また脂質濃度の増大は Hb の内
包収率の向上の有効である。 しかし、 高度 師
溶液に高度で脂質を分散させた場合、 溶液粘度
が著しく増大し、 多孔質フィルターに高圧で透過
させるエクス トルージョ ン法では、 透過速度や透
過低下の原因となる。 本研究では、 混合脂質を
前処理して分散性を高めフィルター透過性を向上
させる工程を検討し、 Hb 度および脂質度の最
適化条件を設定する。 更には、 エクス トルージョ
ン工程をスケールアップさせるために、 多段式造
粒装置と連結式造粒装の長所を融合させた多段
連結型造粒装置を設計・試作した。
B. 方法
ー) 脂質繊処理条件の設定
脂 質 粉 末 (DPPC/ch。ーesぬr。血PE跚EG(5,000)
-DSPE; モル比 5/5/ーノ0'033)を Na。H 水溶液に分
散させ (帆a0丑]=7'6 州, [Epids]=5 g/dL) 羽 毛
で 2 時間撹拌した。 この分散液を分注し、 純水に
て 度を調整した〟 凍結融解の操作は凍結 (液体
窒素) と融解 (40 もの湯浴) を繰り返した。
2) フィルター透過性
凍結融解処理した小胞体分散液を凍結乾燥粉末
と した後、 施 溶液 5 此 (35 g/dL) で水和 (25 も、
2 時間撹拌) し、 これを EXTR叩ER@ (Lipex
Bicmembrmes mc]) に加え、 ー4 地で加圧 (20
kgf/cm亨) 下、 子L径3・0〟m、 0~45“m、 。-30“m、 。-22
“mのアセチルセルロースフィルター (富士フィル
ム製) を順次透過させた。 フィルター透過性は、
透過液を目盛付きシリ ンダーに受け、 液面の上昇
速度をビデオ撮影して解析した。
C・ 結果および考察
ー) 脂質組成処理条件の設定
凍結融解時の脂質度が異なる試料のフィルタ
ー透過挙を図 ー4 に、 予備凍結した試料を図 ー5
に示す。また、 各試料についての柵内包効率を表
ーにまとめた。
脂質組成処理工程のスケールアップには、 処理
容を考慮すると脂質度は高い方が望ま しいが、
脂質度が3 副血 以上ではフィルター透過性能が
低下した (図 ー4)。 これは、 高度系では凍結融解
操作にて逆に小胞体が凝集合して巨大化する例
も出るためである。 また、 田内包効率も 度上昇
に伴い低下する傾向にあるため く表 ー2)、 凍結融解
度は2g丿此に決定した。
次に、 凍結条件について検討した。 冷却に必要
な総熱量の 44% (334 Jg・ー)ー が凝固に消される
ので、 予備凍結によ り液体窒素の使用は大幅に
削減できた。 ドライアイスで予備凍結した場合、
液体窒素のみで凍結した場合に比較してフイルタ
ー透過速度は半分程度に低下するが、 処理を しな
い場合に比較すると ー0 倍以上の透過速度が得ら
れた。 また予備凍結のみで液体窒素で最終凍結し
ない齢は更に透過速度が低下する -(図 ー5)。
以上よ り、 透過性、 内包効率、 さらに脂質系旦成
の処理効率を考して、 脂質を 2g/仙 で水和、 ド
ライアイスで一時間程度予備冷却 (半凍結状態)
した後、 液体窒素で凍結させる方法を採用 した。
戯施度、 脂質濃度の最適化
師 度を 35, 38, 40g丿此 に調し、 脂質濃
5g/dL でエクス トル」ジョ ンを行った。透過速度は
勘 度に依存し、 孤度の増大に従って低下し
た (図 ー6(誠)。 35g/dL の 施 溶液を使用 した方が、
38g丿血に比べ〟 透過速度は3倍以上速かった。 ま
た、 即 度の低下に伴い脂質収率は上昇し、
35g/dL 使用時には 70%以上の値を示したく図
ー6(b))。 さらに、 フィルター単イ立面積当たりの処理
量 も ー3~2 ~ 22-0mUcm2 以 上 と 従 来 伐・2 ~
3.3址/cm2程度)よりも大幅に向上した。 一方、 施
内包率は 勘 度低下に伴船僅かに低下するもの
の、 35g/dL でも ー.7 と規格イ直の範囲(L7~ー・9)に収
まった。