つい数年前、「サブプライム」には侮辱的な響きがあった。金融危機の際、信用力の低い借り手向けの「サブプライム」と呼ばれる住宅ローンが壊滅的な損害をもたらしたため、多くの資産運用会社はサプライムローンに2度と手を出さないと宣言した。
しかし、金融の世界では記憶はすぐに薄れる。金融緩和が生む「イージーマネー」と技術の進歩が結びつけばなおさらだ。ここ数カ月、サブプライムローンは静かに驚くほど力強い回復を遂げた。ただし住宅ではなく、米国人の別の強い関心事、「自動車」に関連するものだ。この新たなブームが消費者だけでなく投資家の間に多くの犠牲を生み出すまで、そう時間はかからないと見る向きもある。
■自動車ローン残高が急拡大
歴史は不思議なほど呼応する。過去10年間の大半は自動車関連の債務の伸びは緩やかだった。ところが2010年に7000億ドルだった自動車ローン残高はこの3年間で25%も急拡大。これが自動車販売の急速な伸びにつながり、ゼネラル・モーターズ(GM)などの米自動車大手が潤っている。
この急回復は目を引く。2007年の金融危機以来、他の消費者向けローンは依然として低調だからだ。例えば、最近のクレジットカードの与信残高は10年ぶりの低水準にとどまり、今週発表のデータでは、2月に予想を上回る24億2000万ドル減となった。
一方、自動車ローンや学生ローンの残高は同月に急増した。さらに注目されるのは、ローンの質が急激に低下していることだ。5年前、サブプライムローンが全体に占める割合はわずか10分の1だったが、今や3分の1に達する。GMの自動車販売では特にサブプライムローンを組む割合が高い。加えて、今や新規ローンの1割がいわゆる「ディープ・サブプライム」で、かつては融資を受けるチャンスが相当に低かった消費者向けだ。
■静かに売られる自動車関連株
ブームにはいくつかの理由がある。一つには、資産運用会社がこの超低金利時代に利回りの確保に躍起となり、あらゆる債券を買いあさっていることがある。投資家は、先の信用危機で比較的損失が少なかった自動車ローン担保債券の購入に熱心だ。その結果広まったのが、米国の消費者は自家用車への愛着が強く、それを手放さないため何でもするという(潜在的に危険な)思い込みだ。
もう一つの理由は、この3年で大量に設立された自動車ローン会社を、プライベート・エクイティ(未公開株式)会社やヘッジファンドが背後で支えていることだ。
数年前に司会を務めたパネルで、ある米政治家が米連邦準備理事会(FRB)の紙幣増刷はすぐにハイパーインフレを引き起こすと主張していた。…続き (4/11)
金融危機の際、信用力の低い借り手向けの「サブプライム」と呼ばれる住宅ローンが壊滅的な損害をもたらしたため、多くの資産運用会社はサプライムローンに2度と手を出さないと宣言した。…続き (4/11)
各種サービスの説明をご覧ください。