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小保方さん増殖する疑惑 5つのなぜ

 理化学研究所などが英科学誌ネイチャーに発表した「STAP細胞」の論文に対する「疑惑」が止まらない。研究の中心人物、小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が発表した表現や画像の不自然な点が次々に指摘され、ここにきて、早大大学院時代の博士号論文にも盗用疑惑が浮上、博士号取り消しの可能性も指摘される。日本の科学技術への信用も揺らぎかねないが、小保方氏は沈黙したままだ。

 「リケジョ(理系女子)の星」といわれた小保方さんが、窮地に立たされている。人工多能性幹細胞(iPS細胞)に比べ、短時間で簡単に作製でき、科学界の常識を覆す新たな「万能細胞」として発表されたSTAP細胞。その経過を記した科学誌ネイチャーの論文に対し、1月28日の発表直後から疑惑の目が向けられ始めた。これまでに「5つの疑惑」が出ている。

 まず(1)STAP細胞が胎盤に変化できることを示した画像が、別の実験の画像に酷似していること。さらに(2)DNAを分離する「電気泳動」という実験の画像に、別の画像を合成したような不自然な線が入っていることも判明。(3)実験の方法を説明する補足部分で、引用を明記しないまま、10行にわたり、別の論文とほぼ同一の英語の記述があるとも指摘された。

 共同研究者らは当初「単純ミス」を強調。研究成果の根幹には影響ないとの考えを示してきたが、理化学研究所、ネイチャーともに調査を開始。そして3月10日、決定的な出来事が起きた。

 (4)STAP細胞をマウスに移植して腫瘍を作らせた実験など4点の顕微鏡画像だ。STAP細胞がさまざまな細胞に変化できることを示す重要なデータの一部だが、これが小保方さんが早大時代に書いた博士論文で使用した、骨髄の細胞から変化したとされる細胞の画像と酷似しているというのだ。1月の会見にも同席した共著者の1人、若山照彦・山梨大教授が論文の撤回を求める事態になった。

 11日には、(5)早大に提出した博士論文に、米国立衛生研究所(NIH)のホームページに掲載された文書と、ほぼ同一の記述が約20ページあることも発覚。博士論文でこれほどの分量は異例で、「コピペ疑惑」と指摘されている。早大側も調査に着手したが、関係者によると、内容次第では、博士号の取り消しに発展する可能性もあるという。

 「世紀の発見」への疑惑が次々に浮上する中、肝心の小保方さんは雲隠れを続ける。理研側は、小保方さんが今も研究を続けているとしたが、当事者の説明がないまま疑惑が深まる現状は、日本の科学技術力に対する信用度も揺るがす。政府も事態を重く見ており、「自分の言葉で真実を説明してほしい」(与党関係者)との声が出ている。

 1月下旬の会見で、小保方さんは実験時に着用するかっぽう着姿を披露。ミスマッチぶりが話題となり、かっぽう着の売り上げも増える社会現象になった。14日の理研側の会見に、小保方さんは同席しない見通し。「リケジョの星」が疑惑を晴らす日は来るのか。

<STAP細胞問題の経緯>

 ▼1月28日 小保方氏らが理化学研究所で、STAP細胞発見について会見。

 ▼同30日 科学誌ネイチャーに、2本の論文掲載。

 ▼2月 論文の表現や画像についての不自然さが、ネットで次々指摘される。

 ▼3月3日 日本分子生物学会が理事長名で、迅速な調査結果の公表を求める声明。

 ▼同5日 理研がSTAP細胞の詳細な作製手順を発表。

 ▼同10日 論文共著者の1人、若山教授が会見し「STAP細胞が存在するか確信がなくなった」。

 ▼同11日 理研が問題発覚後、初めて会見。「論文の撤回も視野に入れて検討」していることを明かす。

 [2014年3月13日9時19分 紙面から]

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