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理研 厳しい言葉で小保方氏斬り捨て

 STAP細胞論文の疑義について理化学研究所の調査委員会は1日、最終報告書を発表した。疑問が指摘されていた6項目のうち2項目について、小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30)の画像の捏造(ねつぞう)や改ざんといった研究不正があったと認定した。一方でSTAP細胞が存在するかどうかの評価は避けた。石井俊輔委員長は、小保方氏の3年間の実験ノートが2冊しかなかったことを明らかにした。

 理研の調査委員会が小保方氏に下した判断は厳しいものだった。「捏造」と「改ざん」。さらには「研究者倫理とともに科学に対する誠実さ、謙虚さが欠如している」とまで言い切った。

 理研側は小保方氏が不正に手を染めた「動機は直接聞いていない」としたが、ノーベル化学賞受賞者で理研の理事長を務める野依良治氏は「細胞の存在を信じて思い入れがあるんだろう。五輪に出る選手のように、有名な雑誌に論文を載せて世界に認めてもらいたいというのが研究者の本能」と気持ちを推し量った。

 調査委員会が捏造としたのは、STAP細胞が体のさまざまな細胞に変化することを示すとされた画像。小保方氏の早大大学院時代に手掛けた博士論文にある別の実験画像と酷似しているとし、「データの信頼性を根本から壊す」と断じた。また、「電気泳動」という実験結果の画像が切り張りされ加工されていたことについては「改ざんにあたる」とした。

 調査委の石井委員長は、研究不正行為について「小保方氏が1人でやった」と断定。共著者の笹井芳樹副センター長や若山照彦山梨大教授らについては、研究不正はなかったとしたが、「責任は重大」とした。同委員長は、小保方氏のずさんな研究記録も糾弾。3年間の実験ノートが2冊しかなく、記録に日付が入っていないものも多かったという。同委員長は「私も数十人以上の学生を指導してきたが、あれほど断片的で実験をフォローできないノートは見たことがない」と批判した。

 野依理事長は「理研の研究者が発表した論文が科学社会の信頼性を損なう事態を引き起こしたことに対し、あらためておわびを申し上げます」と謝罪。所定の手続きを経て論文の取り下げを勧告すると話した。

 理研は、STAP細胞の存在を確認するのが最重要と判断、再現実験を1年程度かけ実施し、4カ月後をめどに途中経過を報告する。予算は約1500万円を見込む。竹市雅俊センター長は記者会見で「(STAP細胞を)ゼロから検証する。あるか、ないか、(現段階で)結論は言えない」と話した。【上岡豊】

 [2014年4月2日9時0分 紙面から]

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