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 それはダイナマイトの爆発音のようでもあり、地面 の下を大きなハンマーで叩かれているようでもあるという。遠野、田人地区など山間部で頻繁に起こっている地鳴り、山鳴り、そして余震。四月十一日に発生した、直下型の震度6弱の大きな余震では、地滑りや土砂崩れが起こり、四人の尊い命が失われた。地区民たちは一様に薄気味の悪さを感じ、山津波を恐れて夜だけ避難している人たちもいる。関係者から話を聞いた。

 海岸線を中心に大きな爪痕を残した「3.11東日本大震災」。この地震のときは、山間部の遠野、田人地区の被害はさほどでもなかった。水は簡易水道や井戸水、沢水が使えるために断水せず、停電もなかった。ただ、原発事故による放射性物質の飛散は他地区同様、まとわりついて離れず、放射線量 を気にする日々が続いた。
  そして4月11日午後5時16分ごろ、浜通りの内陸部を震源地とする余震が発生した。震度6弱、マグニチュード7.0という大きさで、田人町石住の貝屋では土砂が崩れて二棟が巻き込まれ、三人が亡くなった。さらに4日後の16日夕方、田人町の県道で土砂の下敷きになっていた軽自動車の中から男性の遺体が発見され、この地震による被害者は四人になった。震度6弱の大きな余震は12日の午後2時すぎにもあり、屋根や家屋などに被害が出た。
  いわき市田人支所によると、11日の地震のときには、まるで落雷にあったようなドッカーンという音がして、激震に見舞われた。すぐ水と電気が止まり、全壊や半壊の家が出た。この夜だけで120人が、支所などが併設されている「田人ふれあい館」に避難し、不安な夜を明かした。最初は自家発電で電気を賄っていたが、そのうちにそれも使えなくなった。電話も通 じないため、外でカーラジオをかけて情報を取った。
  さらにライフラインが復旧したあとも地鳴り、山鳴りに悩まされ、特に山際に住む人たちは土砂崩れに怯え、いまも夜だけ「ふれあい館」に泊まっている人たちがいる。
   田人や遠野の人たちを気味悪がらせている地鳴りと山鳴りは、3.11以後にたびたび起こるようになった。それが4.11のあとは、より頻繁になり、地震の予兆のように思えた。それは、ダイナマイトの発破のようにも、花火の爆発音のようにも聞こえた。ドンと下から突き上げられるような感覚で、「地震だ」と思ってテレビで震度を確認しようと思っても、実際には地震は起こっていなかった。
  田人と遠野には湯ノ岳断層と井戸沢断層という2つの断層が走っている。4月12日以降、さまざまな研究期間が両地区に調査に入った結果 、井戸沢断層と、これまで動かないと思われていた湯ノ岳断層がほぼ同時に動いたことによる直下型地震という見方をした。さらに東大地震研究所は「今回現れた断層は、井戸沢断層とはまったく別 であり、塩の平断層として提案する」としている。
  現実的に今回表出した断層は、田人支所を起点に塩の平方面に向かって24キロにわたっていて、田人中のプール脇をはじめ、田んぼ自体が傾いてしまったところもある。それに伴い、沢水が枯れたり、増えたりする現象が見られた。
  そうした流れのなかで、遠野の地区民有志が29日に「地震・土砂災害について研究者の話を聞く会」を開いた。再三にわたる地鳴りや山鳴り。行政に不安を訴えてもらちがあかず、自分たちで知識を深めて対策を練るしかないと思った。講師は、調査にも同行した、帝京平成大講師で、地形学が専門の佐藤剛さん。佐藤さんはいわき出身で、「自分が役に立てるのなら」と、講師を引き受けた。会場の上遠野公民館には山鳴りに怯える市民がかなり参加し、熱心に質問した。
  佐藤さんは講演のなかで「防災は意識することから始まる。注意深く周辺の状況を観察していると、必ず前兆のようなものが出てくる。例えば、川が濁ったり、地下水に変化が出たり、斜面 に亀裂が入っていたり…。そうした現象が見られたら、市や県に知らせることが大事。さらに、地域のなかでコミュニケーションを取り合いながら、対処する必要がある。結局最終的には自分のことは自分で守ること。そういう意味で、今回の地区の結束力は素晴らしいと思う」と話した。
  佐藤さんによると、地震というのはそもそも、活断層が原因で起こる。現象から言うと、豆腐の上部をグイと引っ張ったような感じで、いわきは東側に移動した。
  今回のさまざまな現象は、3.11のあとのひずみを解消しようとして起こっている動き。だから地殻の動きで山鳴りや地鳴り、余震が起こる。これまでの大きな地震でも、5年とか6年と、かなり長い間、余震が続いていて、大きな余震が起こる可能性もある。周辺に目を配って、いつ何が起こっても大丈夫なような準備をすることが大事、と佐藤さんは訴える。



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