教科書採択:「膨大な作業必要」竹富町教委、申し立てせず

毎日新聞 2014年04月11日 13時37分

 中学公民の教科書採択を巡り、国の是正要求に対する不服申し立てをしないことを決めた沖縄県竹富町の教育委員会。同町の教育長らは11日、町役場近くの施設で記者会見し、「我々は元々、違法なことはしていない。その原点に立ち、申し立てをしないことを決めた」と説明した。

 会見には、町教委の大田綾子委員長、慶田盛(けだもり)安三教育長らが出席した。慶田盛教育長は顔をやや紅潮させながら「是正要求という、我々にとって余計なものがふってわいた。不服申し立てをすれば、相手は国で、それに対応するのは膨大な作業量が必要になる」。その上で、国が違法確認訴訟を起こす可能性に言及。「文科省は教育をどう考えているのか」と首をかしげた。

 大田委員長も「違法なことはしていないのだから、申し立てをする意味があるのか」と決断の理由を述べた。

 教科書無償措置法改正を受け、町教委は今後、単独採択に向けて動き出す。採択地区の設定権限は都道府県教委にあり、慶田盛教育長は「竹富町は独自でいいと県教委に伝える」と言い切り、下村博文文部科学相が難色を示している点については「竹富町より小さいところも単独でやっている」と受け流した。

 今回の問題では、全国から町を応援するメッセージが届いているという。大田委員長はその束を見せながら「竹富町だけではなく全国の課題ととらえている」と述べ、今回の問題が教科書採択のあり方に一石を投じたとの認識を示した。【坂口雄亮】

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