改正少年法が成立 刑の上限引き上げ4月11日 10時39分
殺人や放火など重大な罪を犯した少年のうち、犯行時に18歳未満だった少年に対し、無期懲役に代わって言い渡すことができる刑の上限を現在の15年から20年に引き上げるなどとした改正少年法が11日の参議院本会議で可決・成立しました。
改正少年法では殺人や放火など重大な罪を犯した少年のうち、犯行時に18歳未満だった少年に対し、無期懲役を言い渡す場合、現在は10年から15年の有期刑に緩和して言い渡すことができるとしている条項を改め、刑の上限を20年に引き上げるとしています。
また、刑期に幅を持たせて言い渡す不定期刑についても、刑の上限を現在の10年から15年に引き上げるとしています。
一方、罪を犯した少年の権利保護を手厚くするため、少年に国費で弁護士をつける「国選付添人制度」の対象を、これまでの殺人や強盗などに加えて、窃盗や傷害などにも拡大するとしています。
改正少年法は11日の参議院本会議で、賛成多数で可決され、成立しました。
少年法を巡っては、事件の遺族などから「成人に比べて量刑が軽すぎる」などとして、厳罰化を求める声が出されていて、11日の参議院本会議場では少年による暴行事件で息子を失った母親らが採決の様子を見守っていました。
谷垣法務大臣は閣議のあとの記者会見で、「今回の法改正は少年に対する科刑を一律に引き上げて厳罰化を図るものではない。現在、少年に対する不定期刑は上限が10年だが無期懲役との間に差がありすぎて、『なだらかな科刑ができない』という声が裁判の現場からも聞こえていたので、少年に対する適切な科刑を可能にするものだ」と述べました。
「少年に責任の重さ教えること大事」
少年法の改正を訴えてきた「少年犯罪被害当事者の会」代表の武るり子さんは記者会見で「遺族にとっては大切な家族の命を失ったという問題であり、法改正はとてもよかったと思います。少年刑務所にいる期間が長くなると社会復帰の妨げになるとの意見もありますが、少年に責任の重さを教えることは大事なことです。今の更生教育には課題が多いと思うので、今後、少年の更生の在り方についても考えていきたい」と話しました。
「長期の刑罰は社会復帰困難に」
日弁連=日本弁護士連合会の村越進会長は、「未成熟な少年にとって長期の刑罰を科すことは社会復帰を困難にし、再び罪を犯すリスクを高めるおそれがある。『国選付添人制度』の対象が拡大されたことは大きな前進だと評価できるが刑罰の適用は少年の更生と再犯の防止に十分配慮すべきだ」という声明を出しました。
[関連ニュース] 自動検索 |
[関連リンク] |
|