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2008年12月9日に寄せられた質問と回答

プルサーマルは北海道のために必要なのですか?

日本は世界第4位のエネルギー消費国ですが、エネルギー自給率はわずか4%に過ぎず、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。一方、原油価格の高騰やCO2排出抑制の面等から世界各国で原子力発電が見直されています。
原子力発電の燃料となるウランも他の化石燃料と同様に限りがあります。北海道における長期的なエネルギーの安定供給を確保するためには、ウラン燃料のリサイクルであるプルサーマルの着実な推進が必要です。
※2009年現在、日本は世界第5位のエネルギー消費国となっています。

プルサーマルによる資源節約効果は小さいのでは?

使用済ウラン燃料にはプルトニウムが約1%、まだ使えるウランが約94%含まれています。使用済ウラン燃料を再処理し、回収したプルトニウムはMOX燃料として利用し、まだ使えるウランは再濃縮して再びウラン燃料として利用するほか、将来的に高速増殖炉用燃料として利用することができます。
国の試算によれば、1%のプルトニウムを再利用することにより、約13%のウラン燃料の節約になるとされています。また、使用済MOX燃料も使用済ウラン燃料と同様に再処理することが技術的に可能であり、再処理し、回収されるウラン、プルトニウムを有効利用することが国の基本方針となっており、具体的には、2010年頃から検討が開始されることとなっています。

プルサーマルには膨大な費用がかかり、電気料金が高くなるの?

プルサーマルの実施は原子力発電コストの1%の部分に影響を与えるのみで、当社の発電コストに大きくは影響しない程度のものと考えます。
なお、国では、使用済燃料の取扱について全量再処理、全量直接処分等の4つの基本シナリオについて検討を行っています。
その結果、2005年に、「再処理を行う場合、経済性の面では直接処分に比べ劣るものの、エネルギーの安定供給、環境適合性、将来への不確実性への対応能力等の面で優れており総合的に見れば優位である」と結論づけ、全量再処理を選択しています。
この検討において、使用済燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物の処理・処分費用も含めた全量再処理による原子燃料サイクルコストについては18兆8千億円と試算されていますが、これらの費用の殆どは、既に電気料金に含まれています。

別のウィンドウで開く経済産業省資源エネルギー庁 第8回コスト等検討小委員会 配付資料
バックエンド事業コスト見積もりの見直しと各電源発電コスト試算について(電気事業連合会)
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/bunkakai/cost/rireki/8th/cost8-zigyousya1.pdf

使用済MOX燃料の再処理や処分の見通しが立たず、いつまでも泊発電所に置いておくことになるのでは?

使用済MOX燃料についても使用済ウラン燃料と同様に再処理することが国の基本方針となっています。また使用済MOX燃料の再処理は国内外で実績があり、技術的には可能です。また、使用済MOX燃料の処分についても使用済ウラン燃料の場合と同様に処分可能とされています。
なお、使用済MOX燃料の具体的な処理の方策について、国の原子力政策大綱では、「六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討を開始する。その検討は使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本方針を踏まえ、柔軟性にも配慮して進めるものとし、その結果を踏まえて建設が進められるその処理のための操業が六ヶ所再処理工場の操業終了までに十分間に合う時期までに結論を得る。」としています。
このため、当面、泊発電所内の使用済燃料ピットで適切に貯蔵管理することになりますが、いつまでも置いておくということにはなりません。

最初からプルトニウムを使うように設計されていないのに大丈夫ですか?

プルトニウムは現在のウラン燃料による原子力発電所の運転の過程でも生成・核分裂・蓄積されています。MOX燃料の使用については、国の原子力安全委員会は「炉心の1/3程度であれば、MOX燃料の使用は現在のウラン燃料と同様の安全設計、安全評価を行っても問題ない」ことを確認しています。泊発電所3号機では原子炉内でのMOX燃料使用割合は全炉心燃料の1/4以下であり、国の原子力安全委員会の確認した範囲内です。当社はこの考えに基づき安全評価を実施し、問題ないことを確認しておりますが、その結果については国の安全審査によって確認されることになります。

もしもの事故の時の影響は大丈夫ですか?

MOX燃料はウラン燃料と基本構造は同じで、放射性物質は、ペレット、燃料被覆管、原子炉容器、格納容器、外部しゃへい壁の、いわゆる5重の壁で封じ込められていることから、万一の事故時にも、環境への影響はウラン燃料の場合と同様に、国の安全基準を満足することを確認しています。
なお、MOX燃料を使うと事故時の影響範囲が「距離にして2倍、面積にして4倍」になるとの主張がありますが、これは、チェルノブイリ発電所での事故と同様の事故が発生したと仮定し、プルトニウムの放出率を高く評価(放出率:0.4~0.5%→4%)して導き出された結果です。チェルノブイリ発電所と異なり、泊発電所には格納容器があり、炉の特性が異なることからチェルノブイリ発電所と同様の事故が発生することは考えられず、このような条件で事故を想定することはプルサーマルの危険性を過度に強調したものと考えます。

海外のプルサーマルの状況は?

プルサーマルを実施するかしないかは各国のエネルギー事情、政策などによって異なります。日本はエネルギー資源に乏しく、また、島国であるといった地理的特性も考慮すると、長期的なエネルギー安定供給の確保や環境負荷の低減などといった観点から、原子力発電が重要であり、それを支えるプルサーマルの実施を含めた原子燃料サイクルの確立が必要であると考えています。
なお、世界各国で6,000体以上のMOX燃料の使用実績がありますが、MOX燃料の特性に起因する事故は起きていません。また、プルサーマルの「危険性」を理由にMOX燃料の使用を中止した国はありません。

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