小麦粉を使い、カタチは丸く、タコが入っている。「コナモン」代表選手のたこ焼きと、兵庫県明石市の名物で地元では玉子焼きと呼ぶ明石焼きには共通項が多い。別の食べ物ではあるが、親戚のような関係ともいえる。庶民にこよなく愛される2つの味を生み育てたのは関西らしい「だし」へのこだわりだ。
大阪・阿倍野のたこ焼き店「やまちゃん」。外はカリッ、中はトロッとした逸品を目当てに行列が絶えない人気店だ。定番のソースに青ノリはもちろん、自家製しょうゆの「辛口」、ソースにマヨネーズの「ヤング」、さらにはごま油に塩などバリエーション豊富。何もつけない「ベスト」を食べれば、ネタ(生地)そのものの深い味に驚く。
「自然な甘みを出すために5種類の野菜、3種類の果物を鶏ガラで4時間半、原形がなくなるまで煮込みます。こした後、かつお節を入れて20分炊く」。本店で店長を務める古志谷慎吾さん(50)が製法を教えてくれた。粉は特注品。利尻昆布で取った昆布水で練り、だしを合わせる。「ネタ自体に味が付いているから、冷めてもおいしい。むしろ味が前に出てきます」
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たこ焼きを長年研究してきた日本コナモン協会(大阪市)の会長、熊谷真菜さんによると、たこ焼きのルーツは大正時代末期の「ラヂオ焼き」。中身はこんにゃくや塩漬けのエンドウ豆で、タコを入れるようになったのは昭和になってからだという。「さらに昭和30年ごろから濃厚ソースを塗るようになり、舟皿につまようじで食べる現在のたこ焼きが完成します」
つまり初期のたこ焼きはソースに青ノリではなく、だしとしょうゆの味で食べるものだったわけだ。大阪では今も、ソースを塗らないたこ焼きを出す店がいくつも現存している。
たこ焼きにタコのかけらが入るきっかけは、ラヂオ焼きの屋台で客が発した一言だったとされる。「明石はタコ入れとるで」――。だし汁につけるたこ焼きとして全国にも広まった明石焼きが、大阪のご当地グルメ誕生に一役買った。
大阪からJR新快速で40分弱。明石市内には明石焼きを出す店が70軒以上あるとされる。鮮魚店などでにぎやかな魚の棚商店街にある「よこ井」は、大正初期に屋台を引き始めた名人のレシピを引き継ぐ明石焼きの専門店だ。「明石焼きはコナモンではなくて卵料理の一種。卵がなくちゃできない。たこ焼きは卵なしでもできるでしょ」と店を1人で切り盛りする横井孝子さん(73)。同店では明石焼き10個に卵を1個使う。30年前の倍だ。
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