諌早湾干拓「間接強制」認める 佐賀地裁4月11日 10時39分
長崎県の諫早湾で行われた国の干拓事業を巡って、裁判所から命じられた開門調査を国が期限を過ぎても行っていないことについて、佐賀地方裁判所は国が今後2か月以内に調査をしない場合は国に制裁金を科す「間接強制」という手続きを認める決定をしました。
諫早湾干拓事業を巡っては、福岡高等裁判所が4年前、漁業被害との関係を調べるために、湾を閉め切っている堤防の水門を開けて調査を行うよう国に命じ、判決が確定しました。
しかし、長崎地方裁判所が去年、これとは逆に開門を禁じる仮処分を決定し、相反する司法判断が示されるなか、去年12月の期限を過ぎても国が開門をしないまま、3か月余りが経過しました。
こうしたなかで、開門を求めている佐賀県と長崎県の漁業者が国に制裁金を科す「間接強制」という手続きを佐賀地方裁判所に申し立てていました。
11日の決定で、佐賀地裁の波多江真史裁判長は「国は開門には障害があると主張しているが、干拓地側の農業者などから同意が得られるように交渉を続けるだけでなく、対策工事の内容をほかの内容に変更する検討を行うなど、可能な限りの措置を講じるべきだ」と指摘したうえで、「こうした措置を講じる余地がないとは認められず、障害になっているとは言い難い」として、国が今後2か月以内に調査をしない場合は申し立てのとおり、「間接強制」を認める決定をしました。
制裁金の額について裁判所は、「開門しないことによる漁業者が受ける損害や判決を守らない国の態度などを考慮した結果」として、申し立てを行った49人の漁業者1人当たり、1日につき1万円が相当だとしました。
漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は、「司法の権威に挑戦する国の不当さと、憲法を守らないなどという、とんでもない国の態度が断罪された。国は素直に開門に応じるべきだ。これ以上、むだな争いを続けることは許されない。漁業被害が今も毎日毎日拡大している。被害の発生をこれ以上許してはならない」と述べました。
一方、諫早湾干拓地で農業を営む水頭貞次さんは「率直に言って意外な決定だ。今、開門を行えば農業や防災などに悪影響が出るのは絶対に間違いないのに、それだけのリスクを払って、わざわざ開門すべきなのか疑問だ」と話しています。
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