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【秘密保護法 言わねばならないこと】

(19)条約と「秘密」矛盾 人権問題の専門家 藤田 早苗氏

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 特定秘密保護法は国連の「市民的、政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)に反し、国連人権機関のトップであるピレイ国連人権高等弁務官は「何が秘密を構成するか」が曖昧(あいまい)と、懸念を表明している。

 自由権規約は一九条に「情報にアクセスする権利」を明記し、まずは公開を前提とすべしと求めている。この権利を法律で制限する場合、制限する理由は明確かつ狭く定義されるべきだともしている。

 公開によって重大な損害が生じる場合のみ権利の制限は許されるが、公開による公共の利益の方が大きい場合は公開しなければならない。損害と公益は「独立機関」で比較される必要があるとしている。

 こうした指摘を安倍晋三首相は無視した。条約締約国の義務を理解していないのではないか。憲法九八条二項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守(じゅんしゅ)することを必要とする」とする。日本政府は一九七九年にこの規約を批准し、実施義務がある。

 自由権規約は国際条約で法律より上位のものだから、条約に反する国内法は改定・廃止しなくてはいけない。日本政府は国際組織犯罪防止条約の批准のため共謀罪新設が必要と主張し、条約と国内法の整合性を問題にする。他方で自由権規約と秘密保護法の整合性を無視するというのは自己矛盾だ。

 七月には自由権規約委員会による審査があり、秘密保護法も議論される。ピレイ高等弁務官も日本政府と議論を続けるという。政府は真摯(しんし)に対応すべきだ。

<ふじた・さなえ> 英エセックス大人権センター研究員。名古屋大大学院国際開発研究科修了。エ大で国際人権法修士号、法学博士号取得後、2009年から現職。

 

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