「親の年収が高い子どもの学力は高い」と調査結果、これはどう考えたらいい?

 親の年収や学歴が高い家庭の子供ほど、学校の成績がよいという調査結果が文部科学省から公表されました。果たして子供の学力は親の年収や学歴に左右されてしまうのでしょうか?

 この調査は2013年4月に実施した全国学力調査の結果と保護者へのアンケート調査の結果を組み合わせたものです。調査では、家庭の所得、父親の学歴、母親の学歴の3つを総合したものを「社会経済的背景」とし、その指標と子供の成績を比較したものです。結果は明瞭で、小学校、中学校とも、調査対象となったすべての科目において、社会経済的背景が高い家庭の子供の方が、そうでない子供と比べて成績が上でした。実は同じような調査が2009年にも実施されているのですが、その調査でも、年収が高い方が子供の成績が高いという結果が得られています。ちなみに、もっとも年収と学歴が高いグループは、平均年収が約920万円、父親の大卒率が90%、母親の大卒率が47%となっています(子供が小学生のケース)。

 当然のことですが、お金があったり、親の学歴が高いことで、自動的に子供の成績がよくなるわけではありません。むしろ重要なのは、学歴が高く、お金のある家庭の子供がどのような生活環境にあるのかという点です。

 ひとつには家庭の勉強時間があります。親の学歴や年収が高いほど、家庭での勉強時間が長いという傾向が見られます。また、同じグループであれば、家庭での勉強時間が長い方がより成績がよいという傾向もあります。年収や学歴がもっとも高いグループで勉強時間がゼロのケースと、もっとも低いグループで3時間以上勉強している子供の成績はほとんど変わりません。年収や親の学力に関わらず、学習時間が長ければ確実に成績を上げられるわけです。これはある意味では当たり前のことかもしれませんが、重要なヒントであるともいえるでしょう。

 また年収や学歴が低いグループの中で成績がよい子供には、朝食を毎日食べる、就寝時間が毎日同じ、親が本などを読むよう進めている、家庭内で学校の成績に関する会話がある、教育投資が多い、といった特徴が見られます。この中で直接経済力に関係するのは、教育投資ぐらいであり、それ以外の項目は、お金をかけずに実施することが比較的容易となっています(家庭環境がそれを許さない人もいますが)。