スーパーロボット大戦OEで、なんと漫画版の名台詞がボイス付きで流れるというサプライズがありました。
「少しづつ動きを覚えさせて…」「ここまで鍛え上げたんだ…」
「あんたが気まぐれで遊ぶ玩具とはなあ…」「違うんだぁ!!」
この野明の台詞は、
押井版野明の「レイバーが好きなだけの自分に甘えていたくない」(だから、レイバーのテストパイロットを辞めて、正義のために戦う)
レイバーが好きで、レイバーのために働く自分へのプライドを感じさせる名シーンだと思います。
このように、ゆうきまさみと押井守は同じ題材、同じキャラクターを扱いながらも、まったく違った切り方を見せていると思います。
その際たるものが「警察官」という職に対する価値観だと思います。
「まともでない役人には2種類の人間しかいないんだ。悪党か正義の味方だ」
このように述べています。
このまともでない役人とは、自分たちのことでもあり、劇場2の敵のことでもあります。
また、劇場1、劇場2共に、特車二課は上の了承をえず、独断専行で悪に対して殴り込みを行っています。
という点を踏まえたうえで、ゆうきまさみ版の後藤隊長はどう語っているのでしょう。
「警察ってのはカゼ薬みたいなもんでな、症状が出てから使われるのがほとんどだ。」
「熱が出れば解熱剤を、せきにはせき止めを投与するように、
「おれたちも症状に合わせて投入される。
与えられた仕事をたんたんとこなしているうちになんとか社会が状態を取り戻す。
それが警察のあるべき姿なのさ。
わかるか泉? おれたちの仕事は本質的にはいつも手おくれなんだ。
こいつは覚悟がいるぞ。」
(中略)
手遅れにならないよう、先回りをする押井版に対して、
ゆうき版は本質的に手遅れであることを自覚し、それを受け止めたうえで、風邪薬には風邪薬のプライドがあると、自分の仕事に強い意識をもっています。
ゆうきまさみは「仕事をする一社会人としての警察官」を描いており、
押井守は「一社会人を超越した正義の味方としての警察官」を描いているといえるでしょう。
この、一社会人としての警察官という題材は、後の鉄腕バーディーにも引き継がれていく、ゆうきまさみの大きなテーマとなっていきます。
追記
>aukusoe 押井守の超越感がどこから来ているのか、ゆうきまさみの市民感がどこから来ているのか、とりみきさん漫画でわかりやすく解説してください。
スタジオぬえの話とかゆうきまさみが通ってたカフェの話とか、アオイホノオでやって欲しい題材ですね。
>otiharuk otiharuk んー押井は別に「先回りカコイイ」というニュアンスで使ってないような
格好いいというか、事実として先回りしてるわけじゃないですか。
ゆうき版は児童売買の可能性がある子供がいても、自分たちで独断専行はしなかった。
これが、押井とゆうきの後藤隊長の描き方の決定的な違いではないでしょうか?