<台湾>議場占拠から24日目 学生らが退去
毎日新聞 4月10日(木)20時37分配信
【台北・鈴木玲子】台湾が中国と昨年6月に調印した「中台サービス貿易協定」の承認に反対して3月中旬から立法院(国会)の議場を占拠していた学生らが24日目の10日、退去した。運動は一定程度の世論の支持も集め、台湾の一部住民らに広がる対中警戒感を強く印象付けた。
【写真特集】バリケード撤去
「中台サービス貿易協定」は、中台間の医療や金融などサービス分野の市場を相互に開放する内容。馬英九政権は「就業機会が増え、台湾経済に利点が多い」として、協定の早期発効を目指してきた。しかし、学生側は協定が「密室協議」で内容に問題があると反発。与党・国民党が立法院の委員会での審議を打ち切り、本会議の採決に持ち込もうとしたため、学生らが3月18日夜から議場を占拠していた。
議場占拠をきっかけに、中国に対する警戒感が国民の間に広がり、運動は急速に拡大。世論調査で学生支持が5割前後に達し、議場占拠も長期化していた。
世論の圧力を受け、馬政権は学生側の一部要求に応じ、中国と協議を進める際に立法院などが内容を監督する「中台協定監督条例」案を立法院に提出。王金平院長(議長)は学生側に歩み寄る形で条例案成立まで協定審議は進めない意向を示した。協定審議は長期化する可能性が高く、政権の対中政策の進展にも大きな影響を及ぼしそうだ。
一方、退去に反対する一部団体が10日、同院敷地内に居座ろうとし、事態が完全に沈静化するか不透明な要素もある。
◇台湾の議場占拠を巡る動き
3・18 学生らが立法院議場を占拠
3・22 江宜樺・行政院長(首相)が学生と対談するも決裂
3・23 一部学生が行政院(内閣)庁舎に侵入
3・24 警察が強制排除
3・25 馬英九総統が学生に対話呼びかけ
3・29 馬総統が学生の一部要求を受け入れる意向表明
3・30 総統府周辺で大規模抗議集会。参加者「50万人」(主催者発表)
4・3 学生要求を受け、行政院が「中台協定監督条例」案を立法院に提出
4・6 王金平院長(議長)が学生側に歩み寄る形で議会運営を図る意向を表明し、退去を呼びかけ
4・10 学生らが退去
最終更新:4月10日(木)23時2分
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