決算:コンビニ好調セブン最高益 苦戦スーパー減益イオン

毎日新聞 2014年04月10日 22時18分(最終更新 04月10日 23時43分)

流通2強の営業利益の内訳
流通2強の営業利益の内訳

 流通業界2強のイオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)の2014年2月期連結決算が10日、出そろった。セブン&アイはコンビニエンスストアの好調で過去最高益を更新する一方、イオンは総合スーパーの伸び悩みで減益となり、主力事業の違いで明暗が分かれた。消費増税後もセブンは「高付加価値」に、イオンは「低価格化」にと戦略の違いが鮮明になっている。

 イオンが10日発表した2月期連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比12.5%増の6兆3951億円。国内小売業で初の6兆円突破となったが、営業利益は10.1%減と振るわなかった。円安で仕入れなどのコストが上昇しているものの、消費者をつなぎ留める衣料品の安売りセールなどでコストが転嫁できず、利益が圧迫されたとみられる。昨年8月に子会社化したスーパー、ダイエーの不振が続いていることも響いた。

 一方、セブン&アイは営業利益が同14.9%増と3期連続で過去最高を更新し、小売業として初めて利益3000億円を突破した。セブン−イレブンで「いれたてコーヒー」がヒットし、積極出店との相乗効果をもたらした結果だ。

 元々スーパーを源流とする両者だが、セブン&アイは今や営業利益の75%をコンビニが稼ぎ出す。一方、イオンは郊外型の大型総合スーパーが中核で、傘下のコンビニ「ミニストップ」も収益への貢献はわずかだ。価格勝負のイオンでは、「ユニクロ」など衣料品専門店への顧客流出対策が必ずしも実を結んでいない悩みがある。

 イオンの岡田元也社長は記者会見で「(消費増税で実質的に所得が減るので)他に埋め合わせる手段がない客は、食品、日用品に解決を求める。この分野の利益は楽観的には考えられない」と述べ、より低価格の商品を充実させる考えを示した。

 同社はプライベートブランド(PB)「トップバリュ」を刷新。高付加価値型商品を拡充する一方、PB5000品目を含む計2万品目の税込み価格を据え置くか値下げし、ニーズに対応する。

 セブン&アイは対照的だ。セブン−イレブンは5月末までに、弁当やおにぎりなど主力商品600品目をリニューアル。カルビ弁当は牛肉増量やタレ改善で、ざるそばは素材の質を上げ、それぞれ価格を引き上げる。

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