<フィギュア>羽生「自分の中にもライバル」挑戦続く来季
毎日新聞 4月10日(木)21時11分配信
2月のソチ冬季五輪フィギュアスケート男子で日本男子初の金メダルを獲得し、世界選手権、グランプリ(GP)ファイナルの五輪シーズン3冠に輝いた19歳の羽生結弦(はにゅう・ゆづる)=ANA=が10日、東京都内で毎日新聞などのインタビューに応じた。飛躍のシーズンを「全力でやり尽くした感じがすごくある。よい成績を取らせていただき、経験や悔しさを得ることもできて身にもなった。素晴らしいシーズンだったし、ぜいたくなシーズンでもあった」と振り返り、今後の競技や活動への意欲も語った。【芳賀竜也】
【「もっと伝わる演技がしたい」 インタビュー詳報】
羽生はソチからの帰国後、一旦は練習拠点にしているカナダに戻り、調整を経て3月の世界選手権(埼玉)で優勝。その後は全国各地でアイスショーの出演を続けている。「皆さんから『おめでとう』という言葉をたくさんかけていただいたが、(五輪のフリーは)納得しきれない演技だったし、悔しかった思いもある。だから、『これからも応援していきます』という言葉が一番、僕の心の中に響いた」と、ファンの言葉に感謝した。
「3冠」王者として臨む来季は、ライバルたちの挑戦を受ける立場になる。だが「皆さんが思っているよりも、僕は追われる立場ではなくて、すごく追っている心境。たくさんのライバルがいて、自分の中にも『目標』というライバルがいる。一歩先に進んだと思ったら、目標も一歩先に行く。ずっと追いかける立場でいられると思う」と語り、挑戦者としての立場を強調した。
五輪のフリー後の記者会見では、自身も地元・仙台市で被災した東日本大震災について尋ねられ、「金メダリストになったが、復興に直接つながるわけではないので、すごい無力感に襲われている」と語っていた。五輪で吐露したこの思いについては、こう説明した。「(無力感は)まだ解消していないし、現役を引退しない限り直接的な(支援)活動はほぼ不可能なので」
だが現役選手として、「震災があったシーズンは、たくさんのショーでお世話になった。その方々にここまで頑張ってこられたことを報告できれば−−という気持ちで(各地のショーを)回っている」と、現在の取り組みへの心情を明かした。将来的には、チャリティー公演の主催や、日本に通年で使用できるリンクの増設を求める活動に携わっていきたいとの意向も示した。
来季に向けては「今はジャンプが目立ちがちだが、もっと『伝わる演技』がしたい。今季は金メダルが取れたかもしれないが、新しいシーズンになってしまえば同じ試合は一つもない。また同じタイトルを取るという感覚は全くなく、新たな世界選手権やGPファイナルに向かって頑張っていきたい」と抱負。来季から演技での使用が解禁されるボーカル(歌詞)入りの演技曲についても「自分が納得できる形になれば、取り入れていけるかな」と関心を寄せた。
最終更新:4月10日(木)22時4分
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