火災調査官・紅蓮次郎 2014.04.10

(爆発音)
(金崎守)どういう気分なんだよ?てめぇで火をつけた車をそうやって眺めている気分は。

(金崎)俺を殺そうとしたって無駄だぜ。
今まであんたがやってきた事は全部手紙にしたためてある。
俺が死んだら自動的に警察に行く事になってる。
だからさ金で解決しようじゃないかこういう事は。
(紅蓮次郎)別れた?おいちょっと待て!お前別れたのか!?円ちゃんと何で?
(紅俊介)あいつうるさくてさ。
上履きのかかとは踏むな。
ポケットから手を出して歩け。
それはお前が悪いんじゃん。
お前がだらしないから注意してくれてんだろ。
いい子じゃん円ちゃんは。
その割に1年半も付き合ってるのにそういう事だけ堅くって。
そういう事っていうのはもしかしてこれか?俺だけだようちのグループでまだファーストキスしてないの。
俊介!お前の頭の中は何でそうやってエロい事しかないんだ。
あれっ!?あっ痛っ!甘い!中学生だったら中学生らしくして…。
あっ痛っ!中学生らしくするよ!すればいいんだろ!痛っ!お前。
本気でやったなこの野郎!頭きた。
こいっおらっ!違うよ。
俺は一人で生きていく事に決めたんだ。
何?受験も控えてるしね。
受験?お前受験って言った?お前の口から初めて出たな。
受験って言葉がおいっ!生まれ変わるんだよ俺は。
まあ見てなさいって。
あらっ。

(チャイム)来た。
来たって何が来たんだおいっ?エッチビデオの宅配か…。
すいませんどうも…。
紹介するよ。
隣のクラスの藍本直美ちゃん。
これから一緒に映画観に行くんだ。
えっ?
(藍本直美)初めまして。
ああ…はじ初めまして。
スケシュンのお父様ですね?はい。
お父様の噂はいつも聞いてます。
すごく楽しい人だって。
いやぁそこまで楽しくもないんですけども…。
今スケシュンって言ってたよね。
こいつスケシュンって呼ばれてんの?俊介だからひっくり返して。
いえ違います。
先生が言ったんです。
スケベの俊介だからスケシュンって。
ブッ!それから女子の間でのあだ名になって…。
あっ言っちゃまずかった?
(俊介)うん多少は…。
お前は…。
じゃあ行ってきます。
ちょっと待て!行ってきます。
行ってらっしゃい。
ふんバカだねぇ…。
順子〜!順子スケシュンなんて呼ばれてるぞ俺達の息子ちゃんは。
情けないよもう…。
一人で生きてくなんて言うし…。
いつのまにかデッカクなってるよ。
(電話)電話だ。
はいもしもし紅です。
おう白井かどうした?
(白井勇一)主任。
また車両火災です。
今月に入って6件目。
それも放火の疑いがあるって事か?でも真っ昼間に放火っていうのもな。
それがそうなんですよ。
駐車場に停めてあった車がいきなりバーンと爆発するように炎上したらしく…。
何?わかったすぐ行く。
(消防車のサイレン)白井以下4名出動準備完了しました。
了解。
いいか火災現場は一期一会だ。
先入観を持つな。
真実は必ず灰の中にある。
行くぞ!
(一同)了解!則武的場は第一発見者および周辺住民への聞き込み。
高橋は現場および焼損車両の写真撮影。
白井は俺と一緒に来い。
(一同)了解。
(岩田純市)かっこいいなぁ…。
何だ君は?あっ申し遅れました。
美津原署の刑事課岩田純市です。
君か灰田刑事にしょっちゅういじめられている新人って。
ああ…であります。
でも自分今日は噂の火災調査官紅蓮次郎さんにお会いできるっていうんでちょっと緊張してまして。
あっ噂っていってももちろんいい噂ですよ。
あの火災調査に関してはプロ中のプロだって。
おしゃべりはいいからどいてくれ。
すみません。
車は白の4ドアタイプのセダン。
ボンネットには若干の焼気があるがトランクには焼気は認められない。
ただいまよりキャビン内部の検分を開始する。
フロントシートは焼けが強く骨組みしか残っていない。
リアシートは表面だけが焼け焦げている。
前後に焼けの方向が見受けられる。
ガソリンですね。
爆発した時に飛び散ったんですかね。
念のためガスクロにもかけとけ。
はい。
すいません。
ガスクロって何ですか?ガスクロマトグラフ。
車の中には合成樹脂を使った物がたくさんあるだろ。
はい。
だからガス検だけだと灯油やガソリンとして反応しちゃう事があるんだ。
ああ…。
火災現場は一期一会。
まっ念には念を入れろって事だな。
白井。
ここのところの車の連続放火は灯油だったよな。
ええ。
灯油を含ませた布とそれとタイマー付きの発火装置を使って。
あれ?でもここには発火装置は…。
鑑識さんが持ってっちゃったんですかね。
いえ何も。
自分ずっと見てましたから。
車の持ち主を呼んでもらえるかな。
あっでも今灰田さんが事情聴取をとってる最中なんで。
いいから。
大至急呼んできてくれ。
はい。
わかりました。

(灰田警部)火災調査官。
人を呼びつけたりしてあなた何様のつもりですか!?あなたがこの車の持ち主の方ですか?
(浅黄邦子)浅黄です。
もうびっくりしちゃって。
ちょっと買い物に行って戻って来たらこれでしょ。
もう何が何だか…。
浅黄さんは大事な車を燃やされてショックを受けてらっしゃる。
質問は手短にな。
浅黄さんあなたが買い物に行かれた時車の窓はきちんと閉めて出かけましたか?もちろん。
何か入れられたら気持ち悪いしホントに大事にしてたんですからこの車は。
そうですか…変だな。
何がです?車っていうのはね案外と燃えにくいものなんですよ。
ですからここ1か月の間に起きた連続放火の場合も車の外回りは激しく燃えていたんですが中がこのように燃焼したケースはないんですよね。
何が言いたい?いやだから!もし車の窓が少しでも開いていたら犯人がそこから火を投げ込んだ可能性もあるんじゃないかなという事です。
あっそうだ!思い出した。
ホントはすぐに戻って来てまた乗るつもりだったからムッとするの嫌だなと思って少し開けてたんだ。
ほら!ねえやっぱりそうでしょ!そうじゃないかと思いました。
でどこの窓を開けてたんですか?ええっと運転席。
そう運転席の窓を開けてたんだわ。
白井。
はい。
いやぁ閉まってますね運転席の窓は。
あっそう助手席。
浅黄さん。
ちょっと見てください。
このバッテンの部分これパンタグラフっていうんですけどももし窓が開いていたとしたらこのパンタグラフが下がっているはずなんです。
浅黄さん嘘つくのはやめましょうよ。
嘘ってじゃあお前はこれが連続放火犯の…。
放火犯の仕業じゃありません。
現にタイマー付きの発火装置も発見されませんでした。
でもそれは爆発の際に粉々に砕け散ったって事も…。
いや発火装置はあるんだ。
(岩田)えっ?これです。
車のライターがなぜ?実はこれこの車のライターじゃないんです。
いいですか。
この形の違うライターをソケットの中に無理やり差し込むとプラグが戻らなくなりヒーターの部分の赤熱状態が継続して周囲の可燃物に着火して出火するんです。
恐らく犯人はガソリンを入れたペットボトルに小さく穴を開けて車の中に置きそこから揮発するガソリンで爆発させたんでしょう。

(爆発音)浅黄さん火元はあなただ。
ちょっと!何を証拠に…。
そのとおりだ。
証拠もないのに被害者を疑うというのは…。
(桜居貴子)証拠は後で科捜研で調べればばっちり出るんじゃないの。
何ですか?ここは関係者以外立ち入り…。
教官!桜居教官じゃないですか。
教官はやめようよ蓮次郎。
私は消防大学はもうとっくに退官したんだから。
桜居教官ってあの主任に火災調査の真髄を教えたあの伝説の…。
もうその話はよしましょう。
今はこの車にかけられた保険の事で保険会社から派遣されたまあ一保険調査員なんですから…。
あっこの子は私の部下で矢吹隆。
よろしく。
名刺。
(矢吹隆)はい。
しかしいくら保険調査員だからって…。
この車は半月前多額の車両保険がかけられまあ私達も気にはかけていたんです。
浅黄邦子さんあなたは7年前と3年前の二度事故を起こし車を火災で失ってますよね。
ああ三度目の事故は信じてもらえそうもない。
そこで放火犯の仕業に見せかけた。
じゃあ保険金詐欺?そういう事になるかも。
後は名刑事さんにお任せします。
かしこまりました。
岩田!彼女を署まで連行しろ。
はい。
ちょっと放してよ。
浅黄さんこちらへ。
教官。
ご無沙汰していました。
その節はホントにお世話になりました。
やめてよ堅苦しい挨拶は。
ああそれより蓮次郎あなたに見てもらいたいものがある。
これなの。
見せたいものって。
『危なくておいしい裏技』教官もご存じでしたか。
実はさっきのシガレットライターを使って自分の車を燃やす方法もこいつに書かれてたんでピンときたんです。
じゃあさっきの車の持ち主もこの本を読んで…。
多分な実行したんだろう。
許せませんね。
ちょっと見せてもらっていいですか?そこまでわかってるんなら話が早いわ。
実はねこの本の著者が問題なの。
「裏技男爵」ってペンネームを使ってるけど書いているのは蝦沢辰巳。
蝦沢…!?あなたこの名前に覚えがあるわよね。
もちろんです。
蝦沢はこんな本を書いて美津原三丁目にできた新しいマンションで優雅に暮らしている。
誰なんです?その蝦沢って。
主任の知ってる人間ですか?この人の奥さんは13年前当時大学生だった蝦沢のタバコの不始末が原因で火事に巻き込まれたの。
(俊介)お母さん!お母さん!お母さん…!
(紅順子)俊介!お母さん!
(順子)俊介!俊介!主任…。
すいません。
うちの課長に言われてどんな奴だろうと調べていたら13年前の火事に出くわし紅さんの名前が…。
出かけるぞ。
自分も行きます。
来るな!これは蝦沢と俺の問題だ。
いや消防官としてどうしてもあいつには一言言っておきたい。

(嗚咽)順子ー!順子ー!
(蝦沢辰巳)すいませんでした。
申し訳ありませんでした。
何とお詫びしたらいいのか…。
一生…一生かけて俺は償います。
だからさ俺が悪かったって。
なっやり直そう。
忙しい?ふざけんなよ。
今から行くよ。
お前んとこの園にな。
・蝦沢!久しぶりだな。
忘れたか?紅だよ。
13年前お前の起こした火事で死んだ紅順子の夫だ。
ああ。
その節は大変申し訳ありませんでした。
いやずっと気にはかかってたんですよ。
その後どうしてるかなって…。
これが気にかけている人間の書く本か!?いや…これは仕方ないんですよ。
ルポライターっていうのはねいろんな本書かなくちゃいけなくて。
仕事で致し方なく…。
仕事だったら何を書いてもいいのか?たとえ過失とはいえ火災で人の命を奪ったお前が放火を勧めてこうすればばれないこうすれば保険金がせしめられる。
そんな事書いていいのか!?だから仕事で…。
ふざけるな!お前あの時俺に何て言った?言ってみろ!もういい加減にしてくださいよ。
終わった話でしょそれ。
失火責任だって問われなかった訳だし今さらガタガタ言われたって…。
ふざけるな!やめてください!やめてください落ち着いてください。
蝦沢!今すぐその本を廃刊にしろ。
それくらいできるだろ。
そこまであなたに指図される覚えはありませんね。
何?それにこの本売れてるんです。
それだけ世の中のニーズに合ってるって事です。
ああ何ならサインしましょうか。
先輩。
やめてください!貴様…!
(爆発音)車が燃えてるぞ!車が燃えてるわよ!早く…電話電話…。
警察だ!
(消防車のサイレン)
(小紫中隊長)停車!
(一同)よし。
飽和よーし。
(小紫)左サイドホース一線延長で消火!よし。
ホース延長。
放水始め!始め!開放準備!よし!車内および周辺に要救助者なし。
よし。
エンジンルームおよびトランク内の残火確認!よし!中隊長来てください!どうした?これは…!?
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)則武的場は第一発見者および周辺住民への聞き込み…。
周辺住民への聞き込み高橋は現場および焼損車両の写真撮影か…。
灰田警部殿自分のやり方に何か不満でもおありですか?不満だね。
大いに不満だね。
だから紅蓮次郎あんたにこの現場の調査をやらせない事にした。
はっ?何言ってんだよ。
あんた昨日の事まだ根に持って…。
俺がそんなケツの穴の小さい人間に見えるか?見えるね。
何?やめろ白井。
理由を教えてくれ。
こっちだ。
理由はこれだ。
主任…。
昨日お前さん蝦沢辰巳にものすごい剣幕で突っかかったそうだな。
目撃者がいるんだ。
つまりお前さんは容疑者の1人という事になる。
灰田警部それはあまりにも…。
新人は黙ってろ!いいかな火災調査官。
事情聴取に応じていただけますか?わかった。
では昨日の19時から21時の間どちらに?その時間は息子と家で食…。
ちょっと待て。
はい。
通報があったのは22時だよな。
死亡推定時刻とズレがあるのか?あっ…。
質問してるのはこっちだ。
あんたは訊かれた事に答えればいいんだ!どうなんだ?はい。
あっそれが…。
おいっ。
殺されてからトランクに入れられて火をつけられたみたいで…。
犯人は車の構造に詳しくない人間か…。
えっどういう事ですか?恐らく証拠隠滅のために火をつけたんだろうが車のトランクの中っていうのは意外に燃えにくいもんなんだ。
そうなんですかぁ。
知らなかった。
感心してる場合じゃねぇだろ。
はい。
いいか紅。
あんたの奥さんが蝦沢辰巳の火の不始末で亡くなった事はわかってるんだ。
動機があるんだよお前には!あいつを殺したって女房は生き返らないだろう。
でも頭にきただろ?火事で人を殺した人間がこんな本を書いて稼いでる。
頭にきたよねお前は!もちろん頭にはきた!でも女房は生き返らない。
わかります。
わかりますよその気持ち。
俺以外に動機がありそうな人間はいないのか?
(岩田)はい。
それが殺される2時間前まで何度も別れた女房に携帯で連絡を入れていたみたいで。
(灰田)おいっ!こっちの情報教えてどうすんだよ。
替われ!すいませんすいません。
おいちょっと待てどこ行くんだ?任意の同行だろ。
訊く事がなくなったんで帰る。
訊く事って訊いてんのはこっちだろうが!おい何やってる。
早く連れてこい!えっ無理ですよ。
紅さんも言ってたでしょ。
あくまで任意なんですから。
いいから早く連れてこい!無理です!
(舌打ち)・先輩!おっ心配かけて悪かったな。
調査結果は?灯油でした。
新聞紙に火をつけて車内にまいた灯油に火をつけたみたいです。
これまでの連続車両放火との関連は?今灯油の成分を調べてるところです。
そうか…。

(車の急停車の音)蝦沢の別れた女房よ。
警察も何考えてるんだか。
あの娘が蝦沢を殺せる訳がないじゃない。
あの娘は加害者というよりはむしろ蝦沢の被害者なんだから。
被害者?DV。
ドメスティックバイオレンス。
蝦沢は事あるごとに暴力を振るい続けていたみたい。
(赤嶺玲子)ああー!
(ノック)蝦沢さん…。
そして警察が介入するとあいつは巧妙にお得意の裏技を使って。
(蝦沢)もういい加減にしろよ。
どうしたんですか?いやあちょっと夫婦喧嘩しまして…。
自分の体にわざと傷をつけ一方的な暴力ではなく壮絶な夫婦ゲンカを装った。
ひどいなぁ…。
でもすごいですね。
保険調査員ってそこまで調べるんですか?仕事だからね。
蝦沢の車はうちの保険会社の保険に入っていた。
あんな放火を助長するような本を書くような人間はやっぱりマークしておかなきゃね。
蓮次郎。
あの娘は無実だと思うわ。
あなたの調査でそれを証明してあげて。
それを証明するのは我々じゃなくて警察の仕事です。
そっそんな事はわかってるわよ!でも犯人は火をもてあそんだのよ。
そんな人間を憎んで許さないのが蓮次郎あんたの仕事でしょ!白井。
分析結果が出たら報告してくれ。
えっ?悪いが俺は今日はこれで帰る。
先輩…?どうしたんでしょうね先輩何であんなに落ち込んで。
見損なったわ。
紅蓮次郎があんないい加減な男だとは思わなかった。
私はやる。
絶対にやるわ!火災を起こした人間を突き止めあの娘の無実を証明するわ。
桜居さん…。
(灰田)ではあなたは昨日の夜19時から21時の間自分のアパートにいた。
しかしそれを証明する人間はいない。
はい…。
でも変ですね。
昨日あなたの勤めている幼稚園に蝦沢辰巳がすごい形相で現れたそうじゃないですか。
おいっちょっと来いよ。
(灰田)そしてあなたを連れ出そうとして大騒ぎになった。
(玲子)あの人は悪魔なんです。
自分の思いどおりにならないといつも暴力を…。
園長先生が止めてその場は収まったがあなたは夕方園の前で蝦沢辰巳さんの待ちぶせを受けてますよね?そしてその車に乗り込んだ。
話があんだよ。
乗れ。
(玲子)これ以上園に迷惑をかけられないと思ったんです。
だから仕方なく乗りました。
でもすぐに降りました。
信じてください。
蝦沢を殺したのは私じゃ…。
(嗚咽)順子…蝦沢の奴あんな形で死んじまったよ。
(順子)〔ねえあなた。
私が死んだらどうする?〕〔ええっ…〕〔私が死んでまた生き返ったら私を抱きしめてくれる?〕順子お前どこか具合でも悪いのか?違うわよ。
これよこれ。
ねえ見て。
うん?あと何年かすればね臓器移植法案というのが通って脳死した私の心臓や肺を病気で困ってる人に移植できるようになるかもしれないんだって。
やめろよ脳死なんて縁起でもないなぁ。
でも素敵じゃない。
私が死んでも私の心臓や肺は生き続けるのよ。
ねえその時は私の心臓を移植した人を捜し出して必ず抱きしめてねその人を。
バーカ!お〜い俊介。
お前のお母さんまた変な事言ってるぞ。
どうしようもないからキックしちゃえ。
せいのー。
キック!もう一丁キック!いや〜だぁ。
順子…。

(むせび泣き)
(鴇田早苗)おいしいものを作ります!お父さんいたの。
ああお帰り。
紅さん出所祝いおめでとうございます。
どうもいえ…。
こんな時はとにかくごちそうを作らないとと思いまして。
すいませんが今日のところはお気持ちだけですいません。
ああいいから紅さんはまあ座ってらして。
いえホントに今日は…。
ほら円買ってきたお肉持ってきて。
(鴇田円)はい。
(ため息)お前何言ったんだあの人に?だから父さん警察に連行されて釈放されたって。
白井さんに聞いたまんま。
(舌打ち)あのおしゃべり!でもお父さん協力してよ。
えっ?円ちゃんにばれちゃったんだ。
藍本直美と映画に行った事。
えっ!スタミナつけてもらわないと!うふふ…。
お前もしかしてこれ…?違う違う。
これは藍本直美にキスしようとしてビンタされた痕。
(ビンタの音)円ちゃんはこっち。
痛い痛い!バカ!・
(チャイム)
(ため息)中隊長…。
いや白井から聞いてなお前の様子がちょっと変だっていうから気になってな。

(早苗)あはは…おいしそう。
ねえ俊介君コショウ取って…。
でも大丈夫そうだな。
悪かった邪魔したな。
あっちょっと待ってくれ。
落ち込んでんのは事実だ。
正直参ってるよ。
(小紫)蝦沢の事か?あいつ13年前の火事の時泣いて土下座したんだよ。
「許してください。
一生かけて償います」ってな。
俺は女房の墓前に言ったよ。
お前の命と引き換えに二度と火事を起こさないように気をつけて生きていく人間が1人生まれたよ。
それでいいよな。
それで許そうって…。
それが結局蝦沢は放火を勧めるような本を書いて誰かに殺されて火をつけられた。
何だったんだうちの奴の人生は!?あいつは一体何のために死んだんだ!それが落ち込みの原因か…。
情けねぇ。
何だと?紅。
お前いつからそんな柔な人間になったんだ。
今こうしてる間も放火犯は虎視眈々と次の獲物を狙ってるんだ。
蝦沢を殺して火をつけた人間はこれでやっと証拠が隠滅できたと喜んでるかもしれないんだぞ。
紅俺達は火をもてあそんだ奴らを許せないと歯を食いしばって今日まで生きてきたんじゃないのか!落ち込んだり泣いたりは仕事が終わってからにしろ!
(小紫)全国15万5千の消防官は火災の前で自分の個人的な事情は口にしない。
レスキュー隊員は助けようとする命の前で昨日の自分は振り返らない。
救急隊員は…いや火災調査官だって同じだろう!俺達は自分の全部をここに抑え込むんだよ。
それが俺達の仕事なんだ。
違うか?紅…。
頼みがある。
何だ?1発俺に喝入れてくれ。
何?喝を入れてくれ。
頼む。
バカヤロー…。
手加減しろバカッ!痛っ…。
すまん…。
ほら。
何だ?お前が殴れって言ったんだろ…。
あはは…!あははは…!ほら。
ほらよいしょ…。
あそこにあるのはこの蝦沢の車の車内から運び出されたものだ。
我々も鑑識に協力して徹底的に分析する事になった。
白井!はい!この車から検出された燃焼物と見られる灯油は一連の連続車両放火に使われた灯油と非常に似通ったものでした。
(則武)つまり一連の車両火災と同一人物の可能性もある訳ですね。
(的場)その場合は犯人が蝦沢辰巳の車に放火しようとしてそれを見つかり殺害した。
(高橋)ほら先入観を持たない。
いつも言ってるだろ主任が。
そのとおりだ。
現に今回は発火装置ではなくて新聞紙が使われていた。
よし始めるぞ!
(一同)はい!やっと重い腰を上げてくれたみたいね。
ああ教官。
どうも昨日は失礼いたしました。
だからその教官ってのはやめてって言ったじゃない。
でどう?何かわかった?いえまだ何も。
今始めたばかりですから。
それにもし何かわかったとしても今の段階で桜居さんにお教えする訳にはいきません。
私が民間の人間だから?はい。
冗談じゃないわ。
火を憎む気持ちは民間人だって同じでしょ。
違うの?ああ…それともあれ?警察がホンボシと見ている元女房の赤嶺玲子が犯人じゃないって証拠が出てきたら困るとでもいう訳?はあ?私は私の立場でこの火災を調査するわ。
矢吹君あなたはここでみんなの調査を見張ってて。
何か不審な点があったらすぐに私に報告して。
えっええ…。
もっと自信を持ちなさいよ!はあ…。
あなた大学で化学専攻していたんでしょ。
はい。
しっかりしなさいよ。
はい。
桜居さんどちらへ?決まってるでしょ火災現場の聞き込みよ。
徹底的に調査するつもりよ。
白井あと頼んだぞ。
はい。
あなたが第一発見者でここから見たんですね?ええ。
うちの主人と一緒にいつも犬の散歩でここ通るんです。
もうびっくりしましたよ!あれ?何であんなところに車停まったんだろ?アベックかな〜?とか思ってたらバーッていきなり燃え出したんだから!あの今車が停まったっておっしゃいましたよね?という事は初めから停めてあった訳じゃないんですね?ええ。
スーッと来て停まったんです。
あそこの空き地はここらへんの住民の避難所でねお祭りなんかに使われて普段はあんまり人が来ないとこなんですけどたまにアベックが。
ああじゃあ乗ってたのは2人ですか?いやぁこれは警察にも言ったんですけど逃げて行ったのは1人でした。
遠かったし男か女かわかんないんだけど。
これでわかったわね。
彼女じゃないわね犯人は。
はあ?どうもご協力ありがとうございました。
またよろしくお願いします。
バイバイ!教官!どういう事なんですか?彼女が犯人じゃないっていうのは。
赤嶺玲子は車の運転ができないの。
そう免許を持っていない。
だから蝦沢は運べない。
ちょっと待ってください。
なぜ彼女が免許を持ってないとかそんな事まで知ってるんですか?おかしいじゃないですか。
保険調査員の教官が非保険者でもない赤嶺玲子の事をそんなに調べてるのが。
ずっと思ってたんです。
教官は赤嶺玲子に肩入れしすぎてます。
どういう関係なんですか?教官と彼女は。
ごまかせないわねあなたには。
ちゃんと説明するわ。
あそこのアパートの2階の右端の部屋なの。
彼女の部屋。
ここから復縁しようとしてしつこく迫る蝦沢辰巳との揉め事を偶然何度か見たわ。
一度なんてあんまりひどくて飛び出していった。
やめなさい!その手を離すのよ!何だてめぇは?関係ねえ奴は引っ込んでろ!俺とこいつはな夫婦なんだよ。
ほら乗れ。
それは元でしょ。
みんな知ってるわこの近所の人間は。
あんたが暴力亭主でこの人があなたから逃げ出し離婚した事をね!覚えてろよクソババァ。
大丈夫だった?ケガはなかった?すいません。
ありがとうございました。
それからより一層彼女の生活が気になり始めてね。
とってもいい娘なのよ。
毎日花に水をあげ…。
幼稚園の園児達からも好かれ…。
だから彼女を見てるとやさしい気持ちになれた。
ふっ…陰の応援団って言うのかな。
それだけなの。
変かな?こんな気持ち持つのって。
あなたにはわからないわね。
家族がいるから。
私には家族がいない。
独りぼっちだから…。
教官はどうして結婚されなかったんですか?教官ほどの美人だったらいくらでも…。
こらっ。
おだてたって何も出ないぞ。
でもそうだよね。
何で結婚しなかったんだろ。
ああ…でもあれかな。
火災調査って仕事がおもしろかったし一人で生きていけるって自信があったからかな。
もし結婚されてれば今頃ちょうど彼女くらいのお子さんがいてもおかしくなかったんですよね。
おかしくなかった…。
あはっホント。
娘みたいなものよあの娘。
(携帯電話)失礼します。
俺だ。
どうした?主任つかみましたよ。
犯人の手掛かりを。
すぐに戻ってください。
これが犯人が火をつける時に使った新聞紙です。
それをパソコンに取り込んだものがこれです。
矢吹君が犯人が火をつけた新聞紙から気づいてくれたんです。
いや僕は何も…。
ただ皆さんの仕事を見ていてひょっとしたらと思いついたもので…。
でこれが丸められていたらダメだったんでしょうけど平たく置かれていたんでこれに蛍光線を当てると…。
何も見えないじゃない。
ちょっと待ってください。
これは紫外線を当てた物です。
これに赤外線を当てて…調整すると。
これは…!新聞の求人欄です。
それだけじゃありません。
これとこれを見てください。
40歳から50歳という年齢。
そしてトラックの運転手ガードマンなど男性の職業と思われる欄にボールペンで丸がついてます。
これが被害者の蝦沢辰巳の新聞とは考えられません。
となると…。
犯人は40代から50代の失業中の男性!という事になりますよね。
矢吹君やったわね!君すごいよ!
(矢吹)ありがとうございます。
主任すごい手掛かりじゃないですか?主任?そうだな。
捜査本部に知らせといてくれ。
さっき知らせておきました。
そしたら現物を持ってこいと。
そうか。
あれ?やっぱりそうだ。
疑われてた蝦沢の前の奥さんですよ。
そうか。
俺の報告で疑いが晴れたんだ。
じっくり話したいんだけどな。
いいかな?時間もらえるかな?・何してんの!?何なのよあなたは!てめぇこそ何だよ!何でもねぇよ。
ちょっと道を訊いただけだ。
なあ?何なんです?あいつ。
何でもないわ。
気にしなくていいのよ。
警察で聞いたでしょ。
あなたの身の潔白は証明されたんだから。
あっ消防のね火災調査の関係者なの私達。
だから安心して。
ねっ心配しなくていいのよ。
失礼します。
ああっ!どうした?今の男40代から50代失業者風だったじゃないですか。
ひょっとして彼女が殺害を依頼した共犯者…。
ふざけないで!彼女はそんな娘じゃないわ!蓮次郎!あんたどういう教育してるのよ部下に!悪いね仕事中に。
いえ。
で何ですか?僕に訊きたい事って。
ちょっといいかな。
はい。
桜居さんの様子が変?うん…。
俺の知ってる桜居教官とは何かちょっと違うんだよ。
妙にいらついてるしそれに赤嶺玲子に肩入れしすぎてるような気もするしね。
あああの人よっぽどいい人なんでしょう。
だから守りたいっていう気持ちでいっぱいなんじゃないですかね。
桜居さんは正義感の強い人だし僕にはわかりますけど。
そうか…俺の考えすぎか。
それより紅さん車の連続放火のほうはその後どうなりました?犯人の目星は?いやまったくない。
君のところの保険に入ってた車もあるのか?ああいやぁそれはないんですけどね幸い。
しかし物騒な世の中ですよね実際。
(ため息)コーヒーでも飲むか。
あっすいません。
僕コーヒーダメなんでジュースいただけますか。
飲むと気持ち悪くなっちゃうんで。
はははっお子ちゃまだねぇ。
酒は飲むのか?はい大好きです。
はははっ!・
(板前)おい何やってんだよ!そんなんじゃ火種できねぇだろ!なあ?新聞紙をまず丸めてそれで火つけんだよ。
なあ?それでこの割り箸を入れてそれから炭だ。
はい!なあ?これでできるんだ。
・やってみろ。
・はい!これが丸められていたらダメだったんでしょうけど平たく置かれていたんで。
まさか…。
いいか?あの新聞紙に火をつけてそのシートを燃やそうとしてみてくれ。
まずは白井からいけ。
何の実験ですか?いいから早くやれ。
はい。
他の者は背中を向けろ。
(一同)はい。
始めます。
頼む。
よしそこまでだ。
もういい。
次則武いけ。
(則武)はい。
もういい。
主任一体これどういう…。
白井。
片付けといてくれ。
主任?どうしたの?急に。
びっくりするじゃない。
会社に電話したら風邪で休まれてるって聞いたもんですから。
あのこれお見舞いです。
どうもありがとう。
さあ入って。
はいお邪魔します。
こんなにたくさんありがとう。
お見舞いだけ?何か話があるんじゃないの?はい。
実は白井が焼け焦げた新聞を解読した時に何か引っかかってたんですけどそれが何かやっとわかったんです。
あの新聞は火をつけるためのものじゃなくて俺達が解読するのを予測して教官が置いたものなんじゃないですか。
新聞紙で火をつける時普通人はこうやって丸めるものなんですよ。
でもこうした場合新聞は炭化してもろく崩れて文字は判読できません。
しかしあの求人欄ははっきりと読めました。
しかも犯人を匂わせるようなボールペンの跡まで。
証拠はあるの?ありません。
でも火災調査の実際を汲み取ってここまでできるのは教官しかいません。
そしてもしそうだとしたら教官がしつこく俺にこの事件に関われと言った意味もわかるんです。
俺だったら必ず解読するだろうと思っていたからです。
違いますか?お見事。
さすが私の教え子だわ。
でもどうする?その事警察に言う?動機も証拠も何も挙げられないわよ。
あるのはあなたの推論だけ。
どうしてですか?どうしてそんな事を…。
言ってもわからないわ!あなたに。
そして言うつもりもない。
いいのよ別に。
警察に言っても。
言いたければ言いなさい。
わかりました。
今から警察に行って捜査の…。
ああ待って!もう少し時間をちょうだい。
話す時は私から話すわ。
それと急用ができたんで私出かけなくちゃいけないの。
悪いけど帰って。
教官!いいから帰って!着替えなくちゃいけないの!なあいいじゃないか。
俺はあんたから金取ろうと思っちゃいない。
あんたが欲しいんだよ。
うん?やめて…!おとなしくしろおら!やめて!へへへっ!逃げるなよほら!ああーっ!
(爆発音)
(消防車のサイレン)車来ますんで道あけてください。
危険です。
はい道をあけてください。
ちょっと待て。
マル4が出たのか?はい。
主任この男は…。

(灰田)知ってるのか?金崎守52歳。
この工場の持ち主で仕事はなくここ最近は稼動してなかったみたいですね。
失業中の男…。
どういう関係なんだ?火災調査官。
お前仏さんと。
関係っていうほどの事…。
とぼけるなよ。
じゃあなぜお前さんとこの元教官がこの爆発に巻き込まれてるんだ?桜居教官が!?はい。
彼女は一命を取り留めて美津原東病院に搬送されました。
主任病院に…。
調査始めるぞ。
はい。
(灰田)おいちょっと待て!火災調査官まだ話は終わってない。
ああ気をつけたほうがいいですよ。
こういう火災現場から運び出されたものっていうのは消火されたと思っていても中で火がくすぶってたりしますからね。
うん?
(爆発音)
(2人)うわーっ!?岩田消せ!消せ早く!消火!
(岩田)お願いしますお願いします!ガソリンですね。
気化したガソリンに何らかの形で火がついて爆発したんですかね?いやそれは考えにくいな。
見ろ。
キャップはしっかり閉まってますね。
ガソリンが漏れて気化した訳じゃないんだ…。
桜居課長無事でした。
火傷を負って少し骨折したくらいで。
あっこれ差し入れです。
皆さんコーヒーに砂糖入れてもいいですよねぇ?バカ!何やってんだよ!?えっ!?ああ…そんなコーヒーなんか持ってきて。
ここ現場だぞ!あっすみません!ほらもう…。
現場は証拠の山なんだから。
余計な物は一切持ち込んじゃダメなんだよ!保険調査員だってそれくらい常識だろ。
すみません。
紅さん達に課長が無事な事伝えようとそればっかり頭にあったもんですから。
すいません。
ああもういいよいいよ。
とりあえずそれあっち持ってっといて。
はい…すいません。
ったくもう素人は…。
とんだザマでしょ。
うふっバチが当たったのね。
どうして金崎守の工場へ行ったんですか?もう隠してもしょうがないわね。
そうご推察どおり私が蝦沢辰巳を殺した。
理由はあの男が許せなかった。
もちろん殺すつもりはなかったわ。
でも揉み合ってるうちについカッとなって…!ああっ…!そしてあなたの言うように新聞紙を使って犯人を40代から50代の失業者に思わせた。
でもねその現場をあの金崎に見られていた。
それで強請られた…。
あんたのした事あの夜一部始終見てたぜ。
悪いが金で解決しようか。
口止め料ってやつで。
そしてその強請りに応じた。
でもねこのままじゃ一生強請られると思って爆発させて殺したの。
ははっ逃げ遅れてこんな目に遭っちゃったけどね。
それが真実。
警察へはあなたから連絡して。
嘘だ。
あなたは人を殺せるような人間じゃありません。
もし仮にそうだったとしてもどんな拍子で大惨事になるかもわからない爆破なんていう手段だけは絶対に使わないはずです。
買い被ってくれる気持ちはうれしいけど私が犯人なの。
私が蝦沢と金崎を殺したの。
じゃあどうやって金崎の工場を爆破したんですか?その方法を教えてください。
それは…。
まあいいじゃない。
その事はおいおい警察で話すわ。
とぼけてもダメですよ。
わからないんでしょうあなたにもどうやって爆発が起きたのか。
あなたがどんなに自分が犯人だって言っても俺は信じませんよ。
あなたがそういう人間じゃない事は俺が一番よく知ってますから。
違うわ!本当に私が…。
教官。
自分は自分の手で「灰の中の真実」を探します。
失礼します。
ちょっと待ちなさい蓮次郎…。
イタッ…!ああ…。
〔今日でこの消防大学での講義は終了です〕〔そこで一言言っておきたい事があります〕〔それは火災調査という仕事に誇りを持ってほしいという事です〕火災調査官の活動は火災現場で消火活動にあたる消防士やレスキュー隊員のような派手さはありません。
人目に触れる事もなく消火後のすすだらけのドロドロの現場での地味な活動です。
しかしあなた方火災調査官には重大な任務があります。
それは未来の火事を消すという任務です。
〔火災現場で火災の原因を突き止める事のみで終わる事なくその事から…〕次の火災を起こさせないすなわち火災を予防するという事があなた方の任務であり使命なのです。
火事が1件も起きない生活ができたらそんな素敵な事はないと思いませんか。
未来の火事を消す。
それが火災調査官なのです。
《教官はなぜ消防大学を辞めたんだ…》ふざけないで!彼女はそんな娘じゃないわ!《どうしてあそこまで赤嶺玲子にこだわるんだろう》
(携帯電話)はい。
ああ白井どうした?何!?桜居貴子さんには娘さんがいました。
まだ娘さんが幼い頃に離婚して夫のほうに引き取られたらしくひょっとして赤嶺玲子は…。
(高瀬)うちの娘は死にました。
3年前に。
えっ…!?あれも貴子も娘の死んだ事は知っています。
交通事故で担ぎこまれた病院にあれも来ましたから。
交通事故…。
意識不明のまま何日も何日も娘は眠ったままでしたから。
頑張るのよ美貴…!頑張って…。
自損事故だったので莫大な治療費がかかったんです。
あれは娘のために給料のいい保険会社に転職しました。
それで消防大学を辞めたのか…。
その治療費を払ってくれた事には今でも感謝してます。
母親らしい事を何か一つしたいと思ったんでしょう。
あれは家庭や子供よりも仕事を選んだ女でしたから。
あの…この女性に見覚えはありませんか?この人は…!ご存じなんですか?何やってるんだまだ追っかけてるのか…!バカな奴だ。
赤の他人なのに。
あのどういう事ですか?そのまだ追いかけてるっていうのは。
娘は…美貴は脳死と判断されたんです。
そして臓器移植を希望するドナーカードを持ってたから娘の心臓はこの人に…。
何ですって…!?じゃあ桜居さんは娘さんの心臓が移植された赤嶺玲子をかばうために…。
そういう事になるな。
そういうもんなんですかね。
わからないな。
心臓は娘さんのものかもしれないけど実際は他人じゃないですか。
順子がな…昔なぜかこんな事を言ったんだ。
いつか臓器移植が可能になったら自分もドナーになりたい…。
そしてもしドナーになって誰かに心臓が渡ったらその人を捜し出して必ず抱きしめてねって…。
主任…。
人は一人じゃ生きていけないもんなんだな。
あんなに強くて潔く生きていた教官でも…。
どんな思いで見てたんだろうな。
赤嶺玲子が石につまづいた時手を貸してやる事もできず寂しくて泣いている時にそばに行って肩を抱き締めてやる事もできず…。
そうか…。
もしうちのお袋が亡くなってその心臓が移植されたらやっぱり…。
おいお袋の分までしっかり生きろよって…。
まして亡くなった娘さんと同じ年頃ならなおさらだろう。
でも主任…。
わかってるよ。
俺達は火災調査官だ。
灰の中の真実を見つけた以上…。
俺も行きます。
いや俺1人で行かせてくれ。
教官には本当に世話になったんだ。
あの人の愚かだけれどもどうしようもない思いは俺から伝えたい。
わかりました。
何かあったら連絡を。
じゃあお疲れさまです!お疲れさまです。
お疲れさまでした。
・赤嶺さん。
あっちょっと待ってください。
どうしても聞いていただきたい話があるんです。
そんな…それであの人…。
ほら乗れ!やめなさいよ!何してるの!何なのよあなたは!
(電話)もしもし?「あなたは何も心配しなくていいから堂々としてなさい」「さっきあった事はすべて忘れるのよ」「いいわね」それじゃああの電話も…。
桜居さんだと思います。
恐らくハンカチかなんかで声を変えてたんでしょう。
桜居さんは臓器移植をした人を捜してはいけないというルールを破ってまでもあなたを見つけ出してずーっとあなたを見守り続けてきたんです。
そんなの迷惑な押し付けじゃないと思うかもしれません。
でも思い出してみてください。
臓器移植に成功して生きる希望を取り戻した日の事を。
あの時あなたはきっと思ったはずです。
この心臓をくれた人に恥じないようにこの人の分まで明るく精一杯生きていこうって。
あなたは今そう生きてますか?これ以上は何も言いません。
どうするべきなのかは自分自身で決めてください。
でも私じゃありません!あの爆発は…あの金崎って人を殺したのは私じゃない!逃げんなよおら!へっへっへっ!いやっ!うわっ!?あっ…。
私はそのまま逃げたんです。
だからあの工場には戻ってない。
あの爆発は私の知らないところで…。
嘘じゃありません。
本当なんです。
それだけは信じてください!信じます。
金崎の工場の爆発火災はあなたには起こせません。
あれは単純にガソリンが気化して爆発したんじゃないんです。
あなたが工場から逃げ出した時誰かに会ったとか誰かを見たりはしませんでしたか?いいえ…誰にも。
ただ逃げたい一心で…。
でもあの時…。
雪!?ええ。
あれは何だったんだろう。
外はガンガンと工場の音がうるさくて…。
でもあの時あの工場には雪が降ってた。
爆発があった時間帯とほぼ同じ時間帯に来ている。
確かに外からの騒音はかなり激しい。
しかし雪のような物質はいまだ現場から発見できていない。
雪…。
雪か…。
《現場は何も語ってくれない》ただいま〜。

(クラッカーの音)うわっ!?うわっ!?わあ!?
(早苗)ふふふっ!うわびっくりした。
もう…。
(俊介)お父さん誕生日おめでとう。
そうか。
誕生日か俺今日。
すっかり忘れてたよ。
ハッピーバースデーレンジロウクレナイ。
フランス語で言うとボッボナッボナ…。
ボナなんだっけ?ボナヴィエルセルレンジロウ!そうそう…!ボナニヴァセルレンジロウ!ああ…どうも。
さっお支度お支度。
ふふふっ!早く。
バカ。
びっくりすんだろお前。
俊介ちょっと見せてみろ。
火薬か…火薬だったら白もあるよな。
あっでも火薬だったら成分が検出されるもんな…。
何ブツブツ言ってんだよ。
早くしろよ!俺今日ちょっと考え事したいんだよ。
いいよ!早く。
うわっ!すごい事になってんな!フランス料理屋かうちは。
おっケーキまで!
(早苗)私達4人を並べてみちゃいました。
うふふっ!ははは…。
子供達もねいろいろあったみたいなんですけど仲直りしたみたいだしそのお祝いも兼ねまして。
ああありがとうございます。
そう。
一人で生きていこうなんて考えちゃダメ。
人間みんな仲良くしなきゃ。
やめろっつーの。
こういうのは。
ねえ円ちゃん。
今度浮気したら殺すわよ。
殺すわよ。
ふふふっ!はははっ!また〜。
何笑ってんのよ…わっ!うわっうわー!うわ〜!何やってんのよ!何してんだバカ!お前がいけねんだろ!けむっ!ケーキが!私の愛の…。
動くな!!そうか…火元はこれだ!
(俊介)何言ってんだよ。
お母さん!ケーキ焼いてくれてありがとう!ホントありがとう!俊介!お父さん今夜遅くなるから戸締り用心火の用心!片付けもな!おいっどこ行くん…!ちょっと待てよ!あっ…ああ〜…。
作れるのはケーキだけじゃないのよ〜。
まだ若いんだもん!や〜だ〜!もう!皆さん本日はお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
そうだよまったく忙しいのに。
何が始まるんだ。
まあまあそう慌てないで。
まず蝦沢辰巳を殺害した犯人がわかりました。
灰田警部のご推測どおり赤嶺玲子です。
えっ!?しかし…。
蓮次郎あなた間違えてるわ。
違います。
蝦沢を殺したのは私です。
何!?いいえ。
蝦沢を殺してしまったのは赤嶺玲子です。
しかし蝦沢の遺体を車に乗せて運び火をつけたのは桜居教官あなたです。
ちょ…ちょっと待て。
どういう事だ?赤嶺玲子には蝦沢を殺すつもりはなかったんです。
あの日幼稚園にまで押しかけてきた蝦沢にもう一度やり直そうと迫られてこれ以上園に迷惑をかけたくないと思った彼女は仕方なく蝦沢の車に乗ったそうです。
ところが連れて行かれたのは人気のない廃工場でした。
(玲子)何ここ…。
どうしてこんなところに?
(蝦沢)愛し合おうと思ってさ。
お前とさ。
ラブホテルなんか連れてったらギャースカ騒ぐんだろ?ふざけないで。
私帰ります。
おいちょっと待てよ。
なあ!やめて!離して!待てよこら!おい!やだ…。
俺にはお前しかいないんだよ。
殺されると思ったそうです。
拒んだら殺されると…。
それでもどうしても蝦沢に抱かれたくなかった彼女は隙をみて蝦沢の頭に鉄パイプを振り下ろした…。
バカバカしい。
何言ってんの。
そんなの大嘘よ。
私です。
私が蝦沢を殺したの。
そして金崎も…。
あんたは黙っててくれ!火災調査官その話間違いないのか?間違いありません。
そしてその現場に出くわしたのが桜居教官と矢吹君です。
あっ!こっこれは…。
教官は赤嶺玲子をかばうために蝦沢の遺体を車に乗せてあの空き地まで運びそして犯人が失業中の男であると思わせるように細工をした新聞紙を広げて火をつけました。
でもあなたには遺体を黒焦げにする事だけはどうしてもできなかった。
だからトランクに入れたんですよね?関係ないわ。
そんなの推測じゃない。
とにかく私が殺したの。
私が犯人なの。
だから早く私を殺人犯で逮捕しなさいよ!いいからあんたは黙ってろ!じゃ金崎はどうして…。
金崎守はその現場を見ていたんです。
警察呼ぼう。
お願い。
ねぇあの事はお願い黙ってて。
そして金崎は桜居教官…あなたを強請った。
お願い。
あの娘の事は忘れて。
手を出さないで!違うか?矢吹君。
すみません紅さんの言うとおりです。
課長は一緒にいた僕に口止めして…。
僕はお金が欲しかったからそれに従って…。
新聞も…あの燃えた新聞の細工を見つけろというのも課長の命令でした!矢吹!これが真実です。
でも何か変だと思いませんか?どうして金崎が殺しの現場なんかに居たのか。
偶然にしちゃちょっとできすぎですよね。
矢吹君…君はどう思う?いや僕は何も…。
僕はその場で口止めされてそのまま帰りましたから…。
なるほど。
さてここからが問題です。
なぜ金崎守は爆破され殺されたのか…。
それはあれだ。
あんたが殺ったんだろ。
強請られてカッとなった。
それとも赤嶺玲子か。
彼女も強請られてこのままじゃ自分の犯行がバレると思った。
違います。
答えは…雪です。
雪…?始めるぞ!
(一同)はい。
何だ?これは。
写真から再現した金崎の工場の模型です。
これがエアーダクト。
それをこのドライヤーで代用します。
だからなぜこんな物を作る?慌てないで…。
白井。
はい!スイッチを入れます。
あれは何だ?砂糖です。
赤嶺玲子が金崎に襲われそうになって工場から逃げ出した時にもこのように工場の中に雪が降っていました。
そして金崎守はその事に気づかなかった。
ああイテ…。
クソー!よし白井。
人形の金崎のタバコに火つけるぞ。
はい。
点火!
(爆発音)
(爆発音)消火!了解!これは…。
粉塵爆発…。
そうです。
可燃性物質の固形粉末が空気中に浮遊している時ある温度以上に熱せられるかこのように火花で点火されると激しい爆発を起こします。
それが粉塵爆発です。
砂糖が爆発する…!?はい。
恐らく犯人はその証拠物質である砂糖が現場から検出されるとまずいと思ったんでしょうね。
差し入れだと称して我々の調査現場にコーヒーを持ってきてわざと砂糖をぶちまけました。
そうだろ?矢吹君。
バカ何やってんだ!えっ?あっすいません。
何を…何を言ってるんです?僕は何も…。
あの時ちょっとおかしいと思ったんだよ。
君はコーヒーが飲めないと言っていたのに自分の分まで持って来ただろ?則武。
はい。
岩田刑事だ。
岩田…。
お前何しに来た?ああ…紅さんに言われて…。
勝手な事を…!すいません。
でも紅さんの推測どおりすごい事がわかったんですよ。
何だ?はい。
今月5件の火災が起きている連続車両放火。
実はこの被害にあった車の保険はすべて矢吹隆が勤めている保険会社以外の担当なんです。
(岩田)そして犯行が行われた日は必ずと言っていいほど矢吹隆が客からのクレームを受けその処理で残業を遅くまでさせられていた時なんです。
矢吹君…君…。
君は自分がエリートであるにも関わらずクレームを突きつけられ毎晩毎晩遅くまで残業させられる事に腹を立てていた。
そしてそのどうしようもないムシャクシャした気持ちを放火という手段で解消していたんだ。
しかもこれ以上仕事が増えないように自分の保険会社に加入していない車を狙ってな。
ところがその姿を金崎守に見られてしまった。
だからさ仲良くしようぜ。
金で解決しようじゃないかこういう事は。
何をバカな…。
何を証拠に!
(岩田)証拠ならある!金崎の手帳にお前と桜居と赤嶺玲子の電話番号があった。
それにお前の部屋から犯行の際使われた発火装置の部品と思われるこのリード線とそして何よりの証拠に粒の非常に細かい砂糖も見つかった!この砂糖を使ってお前は金崎守を殺したんだ。
矢吹隆火元はお前だ!僕は…僕は…!わぁーっ!矢吹!来るな!来るな!僕は…僕はエリートなんだ。
クレームの処理なんかするために生まれてきた訳じゃない!お前らに何がわかる!?やめろ矢吹!わぁーっ!矢吹!来るな!来るなー!コノー!俺はな火をもてあそぶ人間は絶対に許せないんだ!もういい火災調査官。
それから先はこっちの仕事だ。
岩田。
はい。
来い!でも…。
でも蝦沢を殺したのは私なの。
私も犯人なのよ!そうだ!あなたは犯罪者です。
白井。
はい。
教官俺は本当に残念です。
自分は教官がくれた火災調査官の使命は未来の火を消す事だという言葉を胸に今日まで生きてきました。
火事の1件もない素敵な生活を目指して…。
そのあなたが…たとえどんな理由があろうとどうして火をつけたんですか?どうして火をもてあそんだんですか!?火災は人の命も思いもすべて消し去る悪魔です。
その悪魔にどうして魂を売ったんですか!?やめて!お願い…もうそれ以上桜居さんを責めないでください。
私が悪いんです。
蝦沢の事を警察に話していれば桜居さんは…。
玲子さん…。
私紅さんに言われて思い出したんです。
この心臓が移植された時「ああこの人の分も精一杯生きよう」と思った気持ちを。
でも今の私の生き方この心臓をくれた人の望んでた生き方じゃない。
ごめんなさい…。
ごめんなさい。
許してください!教官!動いてる…!生きてる…!美貴が生きてる…。
美貴ー…。
美貴…!美貴…。
私…。
私罪を償って美貴さんに恥ずかしくない生き方をします。
絶対します!約束します。
(嗚咽)蓮次郎…いえ紅調査官。
何でしょうか?火をもてあそんだ私が許せない気持ちはよくわかる。
当然よ。
でもこれだけは聞いてほしい。
あなた蝦沢があんな奴で自分の奥さんが無駄死にだったって嘆いていたわね。
ううん無駄死になんかじゃない。
亡くなってあなたの心の中に生き続けてあなた立派な火災調査官になったんじゃないの。
奥さんすごくすごく喜んでいると思う。
こんなに火事を憎みこんなに人間を愛している火災調査官が生まれたんだもの。
〔火事が1件も起きない生活ができたらそんな素敵な事はないと思いませんか?〕玲子さんも桜居教官もやり直してくれますよね?当たり前だろ。
何てったってあの2人のここには命のつながりがあるんだからな。
2人で力を合わせてきっとやり直してくれるよ。
父さん!おっ何だ俊介。
何やってんだ?こんなところで。
遅ぇよ。
早く早く!遅いってなんだよ。
白井さんサンキュ!はあ?どういう事だ白井。
あっ円ちゃんにお母さん。
いやぁあの先日は本当に失礼しました。
父さん円ちゃんのお母さんが父さんに話あるんだって。
やだ俊介君話だなんて。
おばさん照れちゃうじゃない。
おじ様母をよろしくお願いします。
いや…よろしくって円ちゃんそんな…。
白井!お前この状況知ってたな?いい加減にしろ!いいから見てみろよ!ああ!またケーキ焼いてくださったんですね。
ええ。
先日ね召し上がっていただけなかったから…。
すいません…。
お人形が1234…。
あら5…!ふふふ…。
1つ増えてる〜。
はははは…。
火元は先輩ですよ。
バカ!白井…消火!蓮様!2014/04/10(木) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
火災調査官・紅蓮次郎[再][字]

雪が燃える?工場大爆発トリック!女調査員が見た灰の中の嘘…燃えない死体と求人情報の謎

詳細情報
◇出演者
船越英一郎、河相我聞、小林幸子、内田朝陽 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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