右京さん。
調べてみました。
あの女性研究員ですが…。
「南れい子東工大学工学部出身。
平成8年大内機械工業入社」これ3年前の業界誌なんですけどね…。
「地雷処理システムの現状と展望」大内直輔氏…大内機械工業の創業者ですねぇ。
ええ。
平和活動に熱心な人だったらしいです。
画期的な地雷処理ロボットを開発して海外のNPOに安く提供するつもりだったみたいですね。
で創業者の遺志を継いで開発チームのリーダーとなったのが…。
南れい子さんだった。
はい。
でも今のところ事件との関係は見えてきませんね。
第一動機が見当たらないんですよねぇ。
(角田六郎)暇か?あ…ういっす。
(角田)うん。
相変わらず自分のとこのコーヒー飲まないですね。
こっちの豆のほうがうまいんだよ。
豆に釣られて来てたんですか?ダメ?鳩みたい。
ハハ…。
あ鳩といえばさ任意で引っ張られてきたらしいよ。
鳩がですか?そう鳩が…。
んなわけねえだろ。
フフフ…。
伝書鳩を飼ってた奴だよ!何でもね大内機械工業と取り引きのあった工場の社長らしい。
あそうか。
え…?今日は苦いな…。
『鳥類学研究体系』ねぇ…。
「あなただけなんですよ。
大内機械工業に関係している人物の中で伝書鳩を飼ってるのは」
(猪俣健吾)「フッ…偶然ですよ。
私はそんな…」
(三浦)「おたくの工場で使っている化学薬品で爆弾作れますよね」「大内社長の話では再来月からおたくとの取り引きを縮小する予定だったそうですね」「だからってあんな事件起こしたりしませんよ」「それに取り引きの縮小ったって一部の発注が止まっただけで…」
(三浦)「発注というと?」「ロボットのアームの部品です」「大きな取り引きじゃないしうちにとっては大した痛手じゃない」「ちょっと待った」追い払ってやる。
コラ〜うん?
(ノック)
(伊丹)はい。
(伊丹)クッ…。
失礼します。
相変わらず動き素早いっすね。
(伊丹)ドアボーイかよ俺は。
警部…。
1分だけ。
ロボットの部品の発注が止まったとおっしゃいました。
それは地雷処理ロボットに使われていたものですね?地雷処理ロボット?
(猪俣)ええ「S82」用です。
それがロボットの名称ですか?はい。
しかしなぜ部品の発注が止まったのでしょう?プロジェクトの中止が決定したんですよ。
社長の一声で。
中止って何でまた?あの社長の事だ。
採算の取れない研究に見切りをつけたんでしょうね。
死んだ父親とはえらい違いですよ。
どうもありがとう。
321…はい。
「S82」についてですか?高性能センサーで埋没地雷を探知し遠隔操作で処理するロボットの完成は創業者大内直輔氏の悲願だったそうですね。
しかし創業者は2か月前に他界。
その直後息子である現社長は「S82」の開発中止を決定した。
事件についてお調べなんじゃないんですか?もちろん事件について調べてます。
しかし犯人はいまだに大内工業に爆弾の場所を告げる連絡をしてきません。
それがなぜなのかやっと見当がつきました。
そもそも犯人が用意した爆弾はこちらの備品倉庫で爆発した1つだけしか存在しなかったんです。
しかし犯人がその事実を告げずにいるために大内機械工業の人々は姿の見えない爆弾に脅かされています。
それはまさしく地雷埋没地域に住む人々が日々直面している恐怖そのものです。
まるで「S82」の開発中止に対する報復のようだとは思いませんか?当然研究リーダーである私にも動機があるというわけですね?あなたは爆弾を作る技術を持っている。
パソコンのプログラミングもお手の物…でしょう?疑うのは勝手ですけど証拠はありませんね。
何一つ。
あ〜動機はあるけど証拠はなしか…。
確かに彼女の言うとおりですねぇ。
相変わらず鳩の行方はわからないし手詰まりですねぇ。
犯人さ証拠隠滅のためにその鳩食っちまったんじゃねえか?フランス料理か何かだと食材にするんだろ?俺は食いたかないですね〜犯罪の証拠なんて。
(女性警官)すいません小包です。
(角田)特命係に?はい。
あ…。
はいご苦労様。
はい。
爆弾だったりしてな。
やめてくださいよ。
亀山君!
(2人)ああっ…!?非常に興味深い事実がわかりました。
中野538号は軍鳩だったそうです。
グ…グンキュウ?文字どおり軍の鳩です。
中国大陸における戦争で活躍した通信用の伝書鳩でその圧倒的な飛翔能力をたたえられ陸軍から勲章を授与されたそうですよ。
へえ鳩に勲章ね。
それと事件とどう関係が?中野538号を育てたのは伝書鳩を愛する2人の軍国少年です。
少年の1人の名は大内直輔。
え?大内って…。
大内機械工業の創業者ですよ。
つまり創業者が育てた鳩の子孫が…。
創業者の会社を標的とした犯罪に使われた。
偶然でしょうかねぇ。
(角田)何だこりゃ?え…?おっ…!?おぉ…。
すべて本物のダイヤモンドでした。
大内社長の指紋も付いています。
つまり鳩が運んだダイヤに間違いない。
そうなりますね。
ちなみに差出人は偽名住所も架空のものでした。
だけど何で特命係あてに…。
米沢さん1つお願いがあります。
何なりと。
この事を捜査一課に伝えるのは1日待っていただけますか。
いよいよ運命共同体ですな。
まだ何か?あ…今日は謝りに伺いました。
謝りに?はい。
あなたを疑ったりして申し訳ありませんでした。
どういう事かしら突然。
あぁいえね…今回の犯行が結局愉快犯の仕業だとわかったもんですから。
愉快犯?はい…。
犯人からダイヤが送り返されてきたんですよ。
あぁ…。
ま犯人はただ世間を騒がせたかっただけみたいですね。
あいろいろ失礼言ってすみませんでした。
いえ…別に気にしてませんから。
失礼します。
今日も鳩に関するご質問ですか?いえ先日こちらにお邪魔した時に少々気になる事があったものですから。
は?教授は先日こちらの本棚から1冊の本を抜き出しましたね。
レースの帰巣率も低下してますし…。
その後教授はその本を持って部屋を出られた。
あれは確か『鳥類学研究体系』の第3巻でしたねぇ。
おやまだ戻されてませんね。
何がおっしゃりたいのか私にはさっぱり…。
あの本の内容が少し気になったものですから同じものを買い求めて読んでみました。
非常に興味深い記述がありました。
昭和15年2人の軍国少年が自分たちの育てた鳩を陸軍に献納しました。
鳩は「中野538号」と名付けられ中国戦線で活躍。
後に陸軍から勲章を授与されました。
鳩を育てた少年の名は大内直輔。
そして飯沼勝彦。
さらに調べたところ飯沼少年は戦後遠縁の夫婦の養子になり名字が「脇田」と変わった事がわかりました。
よくお調べになりましたね。
脇田教授なぜ黙っていらっしゃったのですか?ご自身が遠い昔今は亡き大内直輔さんと中野538号を育てたという事を。
(脇田)答える必要がなかったからです。
では本を持ち去ったのも偶然でしょうか?偶然でなければ何なんです?偶然でなければ無意識のうちに教授はその本を隠そうとなさったのではありませんか?なぜならその本の中には今回の事件に直結する事柄が書かれていたからです。
すなわちご自身と大内直輔さんとの繋がりが。
私が何かこの事件に関わりがあるとでもおっしゃるんですか?申し訳ない。
何でも疑ってかかるのが僕の仕事でして。
念のために事件の日はどちらにいらっしゃったのか教えていただけますか。
学会で箱根へ行ってました。
帰ってきたのは夕方です。
申し訳ないが今日中に書かなければならない原稿があるので。
ああそうでしたか。
お忙しいところ失礼いたしました。
はい。
脇田教授もう1つだけ。
何です?「S82」の開発中止はご存じでしたか?は?「S82」…。
大内直輔さんが完成させようとしていた地雷処理ロボットです。
地雷処理ロボット…聞いた事もないですね。
教授は確かプロジェクトの支援者だったはずですが。
開発プロジェクトに寄付をされた有志の方々の名簿の中に教授のお名前もありました。
教授と大内直輔さんとの友情は戦後もずっと続いていたのでしょうねぇ。
彼が晩年を捧げた研究をあなたは友人として応援なさっていたのではありませんか?お帰りください。
失礼します。
(れい子)教授!教授なんですね?ダイヤを送り返したのは。
(脇田)何の事だ?どうしてあんな嘘をついたんです?鳩が戻ってこなかったなんて。
鳩は戻ってこなかった。
迷い鳩になってどこかにダイヤを落とした。
そのダイヤを誰かが拾って警察に送った。
…それでいいじゃないか。
よくないわちっとも。
私は何も知らなかった事にする。
君も深く反省して研究の現場に戻りなさい。
今さら何を研究しろって言うんです!「S82」の開発はもう…。
…教授!
(れい子)教授!明日研究員たちにプロジェクト中止を発表します。
「S82」が完成しないのは教授のせいです。
あの20億があれば研究を続ける事が出来たのに。
プロジェクトを独立させる事が出来たのに。
教授が協力さえしてくれれば…。
協力なんか出来るものか。
どうして?教授なら力になってくれると思ってました。
戦争の傷跡を消すための装置…。
その開発を続けるために喜んで鳩を貸してくれると。
遠い昔同じ事を私に頼んできた連中がいたよ。
…は?お国のために鳩を差し出せとね。
私は迷いもせず彼らに鳩を渡した。
子供ながらにあの戦争に協力したんだ。
私の研究は平和のためのものです。
バカな事言うんじゃない!犯罪を犯してまで続けるべき研究などありはしない。
同感です。
屋上の貯水タンクの陰。
いい隠し場所ですね。
鳩の一番の敵は湿気だそうですねぇ。
鳩舎は日光の当たる風通しの良い場所に置かねばならない。
恐らく教授ならばそういった場所に隠すのではないかと思いました。
南さんあなたの犯行の動機は2つ。
1つは「S82」の開発中止に対する報復です。
もう1つは20億を元手にプロジェクトを独立させ「S82」の開発を続ける事だった。
その計画を思いついたあなたは創業者の親友でありプロジェクトの支援者でもある教授に協力を頼んだ。
計画は完璧です。
鳩を貸してください。
お願いします。
冗談じゃない。
そんな計画は絶対に協力できない。
協力を拒まれたあなたは教授が学会で家を空けている日を狙い鳩を盗み出した。
そして単独での犯行を成功させたのです。
否応なしに教授を計画に巻き込んだわけですね。
一方事件を知った教授は…。
予定より早く学会から戻ってこられた。
(窓の開く音)
(れい子)箱根で学会じゃなかったんですか?ニュースを聞いて飛んで帰った。
まさか君本当にあんな事件を起こすとは…!ダイヤを渡してください。
鳩はどこです?鳩は帰ってきてない。
(れい子)は?ダイヤを持ったまま行方不明だ。
そんな!どうして!?知らん。
迷い鳩になったかカラスに襲われでもしたか。
教授は彼女に鳩が戻らなかったと嘘をつき鳩が持ち帰ったダイヤを我々に送り返した。
先ほどの話を総合するとそういう事になりますねぇ。
(脇田)物証はあるんですか?教授…何言ってるんですか!?彼女を逮捕させたくないお気持ちはわかりますが今さら犯罪の片棒を担ぐおつもりですか?私の鳩が犯行に使われたという証拠がどこにあるんです?屋上に落ちていました。
大内さんが鳩を放す時にその鳩の体から抜け落ちたものです。
羽のDNAがこの鳩と一致しました。
つまりこの鳩が犯行に使われた鳩だという事です。
鳩の足にGPSチップを取り付けました。
これによって鳩の位置を常時パソコンで正確に確認できます。
脇田教授あの鳩が教授の家の鳩舎に戻ればそれが動かぬ証拠となります。
鳩が真実を暴くか…。
認めますね?あなたも。
間違ってないわ。
…はい?平和のための研究が利益だけを追求する経営者に潰されるなんてどう考えても理不尽すぎる。
私のした事は間違ってなんかいない。
本気でおっしゃっているのですか?学生時代友人とNPOに参加して途上国の病院でボランティアをしました。
そこで私が出会ったのは国境の紛争地域に生まれ地雷で手足を失った多くの子供たちでした。
彼らの国から地雷をなくしたい…。
私はその一心で仕事をしてきたんです。
試作品もますます改良されているのに今さら開発中止なんてそんなの認めるわけには…。
でもあなたも人にケガを負わせたじゃないですか。
デモンストレーションの爆発で掃除のおばさんが病院に運ばれた。
そうでしょ?
(れい子)あれは偶然でした。
偶然…?あの時間本当は誰も廊下なんか通らないはずだった。
蛍光灯を換えようとしてたなんてそんなの予測できるわけないでしょう?あれは不幸な偶然だったんです。
南さん。
偶然で済む事ではありません。
地雷をなくしたいというあなたのお考えはとても立派なものだと思います。
ですが何の罪もない人の命を危険に晒してしまっては愚かな武器を生み出す人間たちと変わらない事になってしまうじゃありませんか。
行きましょう。
1つお願いしてもいいですか。
(横山澄江)お〜出来た出来た。
(ノック)
(ドアの開く音)あれあんた研究所の…。
(れい子)具合いかがですか?おかげさまでねだいぶ良くなったよ。
ちょっとあんたたちちゃんと挨拶おし。
(2人)こんにちは。
このお姉ちゃんねすんごく立派な研究してるんだよ。
(れい子)ごめんなさい。
…私のせいなんです。
少年時代の教授と大内さん楽しそうですね。
鳩は無事鳩舎に戻っていました。
よかったですね迷い鳩にならなくて。
迷うのは鳩ばかりじゃありませんな。
彼女も戻ってきてくれればいいのですが。
研究者としての本来の道に…。
進むべき方向を見極め軌道修正する能力。
それを持っているのは鳩だけではないと思いますよ。
「S82」という名称どういう意味だかおわかりになりますか?名称…?直輔が死ぬ間際に付けた名前です。
察するに年号ではありませんか?今年は平成19年。
昭和で数えれば82年です。
無論昭和は64年1月までしか存在しません。
ですが…。
終わらなかったんですよ。
直輔にとって昭和は死ぬまで続いていたんです。
直輔も私も軍国少年でした。
子供ながらにお国のためにすべてを捧げる気でいたんです。
直輔は14の時に少年兵に志願しました。
彼の乗った船は東シナ海で米航空機部隊に撃沈され乗組員の9割が海の藻くずと消えたそうです。
生き残った彼は戦後何一つ語りませんでした。
晩年の彼は戦争が生んだ忌まわしい産物を消す装置地雷処理ロボットを開発する研究にすべてを捧げていたんです。
そしてそれを「昭和82年」…「S82」と名付けたのですねぇ。
長い長い戦後だったろう…そう思います。
これでよかったんですよね。
このやり方で…。
そう信じましょう。
『ジングルベル』クリスマスか…。
今年ももう終わりですね。
年が明ければ平成20年…。
昭和も遠くなったものです。
2014/04/09(水) 15:52〜16:50
ABCテレビ1
相棒 season6[再][字]
「正義の翼」
詳細情報
◇番組内容
相棒 シーズン6!杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑みます!豪華ゲストもお見逃しなく!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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