趣味Do楽 籔内佐斗司流 ほとけの履歴書〜仏像のなぞを解きほぐす〜第2回 2014.04.08

たっぷり加えたにらの風味で味わい深いスープになりました。

(テーマ音楽)古代インドで生まれた仏教。
そのうねりはガンダーラを超えシルクロード中国を経てアジア全体に仏像世界を花開かせました。
日本にたどりついたほとけたちはどのようにして生まれ育まれ心と形を築き上げてきたのでしょうか?仏像のなぞを解きほぐす「ほとけの履歴書」。
仏像について学ぶ篠原ともえさん。
今回はまず上野にある東京藝術大学にやって来ました。
番組の講師彫刻家籔内佐斗司さんの研究室を訪ねます。
籔内さんはこの大学で文化財保存学の教育研究を行っています。
あっ先生!よろしくお願いしま〜す。
うわっすごい研究室ですね!わ〜!すてき。
そう?研究室の棚には籔内さんが番組用に書き進めている「ほとけの履歴書」が並びます。
さて今日はどんな履歴書をひもとくのでしょうか?先生今回の「ほとけの履歴書」は何でしょうか?「天」です。
あっ前に勉強しましたね。
仏教の世界には仏界と六道輪廻界があり仏像は必ずどこかに属しています。
「天」とは六道輪廻界の一番上に位置し毘沙門天や大黒天など「天」の名の付く仏像が住む世界です。
履歴書ここにいっぱい並んでるでしょ。
今日はこの中で…。
梵天様ですね!そう梵天さんです。
一度拝観させて頂きました。
そうですね。
2人はかつて東寺の講堂に立ち並ぶ立体曼荼羅の仏像を拝観しました。
その東の端を守っていたのが梵天です。
うわ〜!梵天様。
先生私梵天様大好きでポストカードお部屋に飾ってるんです。
ガチョウの上に乗っておられるお姿も不思議ですてきですしなんかお顔もすごく…。
そうそう3つあるね。
こちらの梵天様はインドの仏像のお顔に近いね。
わ〜。
そうすごいお顔立ちがすてきなんですよね。
梵天。
古代インドで信仰されていたのは土着の宗教を吸収して大きくなったバラモン教です。
ブラフマーはバラモン教の神々の上に立つ最高神で宇宙をつくった創造の神とされます。
ブラフマーのバラモン教は輪廻転生の思想とカースト制度の原形である厳しい階級制度が特徴でした。
それに対して釈の仏教が平等思想で対抗。
勢力を大きく伸ばします。
仏教はバラモン教のブラフマーを取り込み「梵天」と名付けました。
梵天は釈が悟りを開く過程で大きな影響を及ぼします。
梵天様とお釈様の関係っていうのは…。
あっいいとこ気が付いたね。
バラモン教というのはお釈様がお生まれになるはるか昔からインドで大変に盛んだった宗教なんです。
梵天…ブラフマーという最高神がいるわけですけれど実は…この紙芝居があります。
え〜!先生のイラストですね。
紀元前6世紀ごろ北インドに王子として生まれた釈は若くして「生・老・病・死」の苦しみに悩みます。
そして王子の地位を捨てて修行者となり菩提樹の下で座禅瞑想します。
そして…。
あっ悟りを開かれた!「そうやったんか!」ってねハッとこう大悟というか悟りを開かれる。
悟りを開くという事はお釈様がこの世の成り立ちとかこの世の真理っていうものを全部理解してしまったら「あとは自分はする事はないな」。
非常にいい気持ちになって「このまま涅槃に入ってしまおう」。
自分の中で解決してという。
だけどこの時にこの梵天様がねとても重要な役目をする。
それが…これ梵天さん。
お釈様。
へえ〜!「ひとりで満足してないでみんなを救済してください」。
「苦しんでいるあるいは迷っているそういう人たちをあなたが悟った知恵でもって救ってください」って梵天さんがお釈様にお願いする。
梵天さんはバラモン教の最高神です。
仏教とはまた違った宗教。
この時お釈様はまだ人間です。
その人間にバラモン教の最高神が「どうぞあなたの知恵で六道輪廻に苦しむ人たちを救ってください」。
お願いに来た。
それを仏教では「梵天勧請」。
「梵天がお願いをしに来ました」というとっても重要な事です。
梵天勧請…覚えます。
梵天勧請がなかったらこの世に仏教は生まれなかった。
そのため梵天は天部の中で最も高い地位を与えられたのです。
それじゃあこの梵天様に会いにいきましょうか。
先生出会える主な寺院が書いてありますね。
愛知県に瀧山寺っていうお寺があるんです。
こことっても有名な仏像があるんですけれど私自身まだ行った事がない。
あっ初めてなんですね!今回ともえちゃんと2人で初めて瀧山寺へ行くのすごく楽しみです。
行ってみましょう。
愛知県岡崎市の瀧山寺本坊。
宝物殿に目指す梵天が安置されています。
うわ〜!これはすてきだ。
わ〜。
中央には聖観音。
両脇に帝釈天と梵天が静かに控えます。
この三尊像は源頼朝の菩提を弔うため大仏師運慶と湛慶の親子が手がけた名作です。
戦いの神である帝釈天は衣の下に色鮮やかな中国風の鎧を着けています。
そしてこちらが瀧山寺の梵天。
4本の腕に4つの顔をもちます。
4つの顔は宇宙をつかさどる神として常に四方に目を配っているからとも言われます。
額にはもう一つの目があります。
色彩がすごく鮮やかですね。
運慶さんが造られたのはほぼ間違いないんですが彩色は残念ながら近世にかなり厚く塗り直されている。
でも大変丁寧に塗られているとは思いますけど。
梵天様がいてくれたおかげで大乗仏教が出来て広まったんですね。
梵天様ありがとうございます。
梵天さんの次はね弁才天。
有名ですねとても。
あっ女性の神様ですね。
手がいっぱい生えてる。
いろんなものを持ってますね。
たくさん持っているっていうのはさまざまな才能を…。
いろんな能力を持っている事を一度に表現しているんだね。
へえ〜。
中国では弁才の「才」というのを財産の「財」に置き換えて色んな功徳を増やしていったわけだね。
だから弁財天…この両方があります。
才能もお持ちでお金にまつわる…。
インドでの神様の名前はサラスバティーっていいます。
サラスバティーさんは実は梵天さんの奥様なの。
ええ〜!?そうなんですね!あっでも美男美女でお似合いですね。
サラスバティーはインドでは「豊穣をもたらす川の女神」とされます。
川っていうのは我々に豊穣をもたらすとともに時には災いももたらす。
大自然っていうのはみんな両面がありますよね。
恵みと…その分危険も多かったりしますよね。
それが自然だという事ですからそういう両面を持っているっていう事をこの図は表していると思います。
なるほど。
豊かな音を奏でる楽器も持っていれば剣のような鋭いものも持っている…。
お姿に現れていますね。
神奈川県藤沢市の江島神社には鎌倉時代に造られた2体の弁才天が安置されています。
八臂弁財天は8本の手に武器を持ちサラスバティーの怖い一面を見せています。
妙音弁財天は「裸弁財天」の名で親しまれ川の流れる音が音楽に例えられる事から音楽神とされます。
弁才天は七福神の紅一点として今もあつい信仰を集めています。
天部が参加した事で仏教もすごく大きなものになったというのはあるんですか?にぎやかになりましたね。
我々のような造形を商売にしてる人間にとっては本当に楽しい宗教だと思います。
楽しい宗教にしてくれた天部の役割。
さすがですね。
ありがたい事です。
古代インドのバラモン教の神々は仏教に取り込まれほとけを守る神となりました。
そして中国で「天」の名を頂き日本に伝えられたのです。
七福神にもう一人天部がいますよ。
へえ〜。
それは…。
あっ!毘沙門天ですね。
そうそう…。
毘沙門天のイメージってどんなの?かっこいいというイメージです。
これまでの天部の豊かなほとけさまとはまた違った強さを持ってるなというイメージですね。
むさ苦しいおじさんだね。
鎧を着てさ。
かさばってしょうがないおじさんっていう。
特徴としては宝塔を持ってるんです。
これは「戟」といいます。
フォーク状のやりですね。
強そうですね。
「毘沙門天」これはインドのヒンドゥー教の名前でヴァイシュラヴァナ。
あるいはクベーラといいます。
この「ヴァイシュラヴァナ」を音訳…音で聞いて中国人が「毘沙門」というふうに字を当てたの。
毘沙門天は4つの方角を守る四天王の中では「多聞天」と呼ばれます。
北方を守る最強の守護神として絶大な信仰を集めています。
この鎧は必ずお召しになって。
そうですね。
だから…この「毘」という字だけかぶとに書いたりね。
それから旗指物に書いたりした。
それほどまでに力をくれるほとけさまなんですね。
毘沙門天さんお会いしたいです。
ほんと?じゃあねこの中の静岡県の願成就院さん出かけてみましょう。
はい。
梅がきれい。
ねえ香りもしますね。
北条氏の氏寺です。
この寺には大仏師運慶の傑作とされる国宝5体が安置されています。
わ〜!見るからに中国風の武人の姿。
重量感あふれる生き生きとした勇壮ないでたちです。
左手には無限の富を人々に与えるという宝塔を持っています。
この鎧も特徴的で。
本当に中国のこういう革で出来た鎧なんですけどねもともとは。
これが唐の時代の鎧を参考にして運慶が鎌倉時代に造ったのかどうか分からないんですよ。
というのは残ってないからね日本に。
でもすごくどこかにきっと運慶のオリジナルが入ってるのかなという想像もできますよね。
袖が「大袖」っていう長い袖なんだけどそれが戦をする時に邪魔になるから縛ってあるでしょ。
あっなるほど。
へえ〜。
じゃあやっぱり戦のトップに立つ毘沙門天という感じなんでしょうか。
かっこいい。
これはかっこいいな。
ずっと眺めていたい。
願成就院の鎧を着た毘沙門天さん。
いっぱい着てましたよね鎧とか。
それを説明しようと思ってうちの学生に来てもらってます。
えっ。
こんにちは〜。
え〜っ!これってもしかして…。
そう。
鎧の下にこういうものを着ていたと考えてます。
おしゃれですね。
カラフルで。
籔内さんの研究室では仏像研究の一環として毘沙門天の鎧と衣装のレプリカを制作しました。
すごい鎧!大変。
これ一人じゃ着れませんね。
このころの中国の鎧…特に将軍とかの鎧ですね。
本当の戦をする人というよりは命令する人のはこういう飾り物がいっぱい付いた…。
うわ〜!最後。
これは何というものですか?すごくきれいですね。
これは天衣っていいます。
へえ〜!すごいきれいですね。
ポイントになってますよねとっても。
ここからピューッと出てきて…振り回す事で非常に優雅な感じになるよね。
なんかこう威嚇にもなりますよね。
こういう形。
完成ですね!すご〜い。
毘沙門天の鎧見事ですね〜!毘沙門天の鎧。
実際は堅い革で出来ていたといいます。
このレプリカを作る事で中国唐の時代に武将が着けていた鎧の複雑な構造が分かってきました。
戦いやすいように短く結わえた大袖も忠実に再現されています。
実際に作ってみて分かった事は何でしたか?こういう…。
何でこういう所に金具が付いているかとかあるいはこのひもとかが…このひもがないとここで縛ってここで引っ張り上げないとこれがずれてくるんですね。
へえ〜!この腰ひもがないとこの「まえだて」っていうのが落っこちちゃうんですね。
つじつまの合う分つじつまの合わない分それから非常に合理的な部分非合理な部分そういうのいろいろ分かりますね。
へえ〜。
「天」の神々はほとけを守る頼りがいのある存在なのです。
六道輪廻の中の「天」っていうのは一番上バラモン教の一番偉い梵天さんや帝釈天さんがいらっしゃるそういう善き神々の世界なんだけどそこに住む天人たちにも実は悩みがある。
えっ!?というのは天部の人たちであろうとやっぱり死ぬんです。
へえ〜。
死ぬ前には衰えるんです。
「生老病死」をやっぱり経験をするんですね。
じゃあ人間と同じなんですね。
それは人間界から見るとうんと軽いんだけどそれを「天人五衰」。
天人…「天」に住む人たちは5つの衰えがあります。
汗をかいたり汚れたり元気をなくしたり「天」の神々の霊力が衰える苦しみの事です。
何とも人間くさい悩みですが「天」の神々といえども六道輪廻の苦しみからは逃れられないとされています。
「天」の神々も人間と同じように菩薩に救いを求める存在なのです。
今回は「天」の世界天部の世界を見てきましたがいかがでしたか?天部の世界はキャラクターも個性もすごくバラエティーに富んでいてそして天部というと手の届かないような存在だと思ってたんですけど実はすごく人間にも身近な存在なんだなって思いましたね。
我々を守ってくれる天部の毘沙門天さんとかすぐそばにいらっしゃるんだけど毘沙門天さんにもいろいろと悩みがある。
でも毘沙門天さんの悩みを救いに来るのはやっぱり観音さんやお地蔵さんであったりするわけですね。
すごく楽しみながら学ぶ事ができました。
ありがとうございました。
今回の内容はこちらのテキストに詳しく掲載されています。
どうぞご参考になさって下さい。
今後の放送予定も掲載されています。

(テーマ音楽)2014/04/08(火) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 籔内佐斗司流 ほとけの履歴書〜仏像のなぞを解きほぐす〜第2回[解][字]

仏像ファン必見の新シリーズ「籔内佐斗司流 ほとけの履歴書」スタート!第2回は弁財天・毘沙門天など「天」のつく仏像。古代インド・バラモン教の神がなぜ仏教に?

詳細情報
番組内容
仏像ファン必見の新シリーズ「籔内佐斗司流 ほとけの履歴書」。今回のシリーズでは、彫刻家で東京藝大教授の籔内佐斗司さんが作成した「ほとけの履歴書」をひもときながら、仏像の謎に迫る。第2回は梵天・弁財天・毘沙門天など「天」のつく仏像の由来をひもとく。天の仏像の出身は古代インドのバラモン教。バラモン教と仏教の切っても切れない関係とは? 籔内さんがやさしく解説する。
出演者
【出演】篠原ともえ,【講師】彫刻家・東京藝術大学教授…籔内佐斗司,【語り】徳田章

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:9153(0x23C1)