(愛美)ただの酒蔵でしょこんなもん。
飲めば消えちゃうものをもったいぶって。
(繁郎)やめろ。
触るな。
手あかをつけるな!
(愛美)峻。
こっちに来な。
こんなのと一緒にいたらうじ虫がうつっちゃう。
(繁郎)うじ虫?
(愛美)がきのころからずっとおふくろさんに守られてきたんでしょう?一人で手に負えないって分かったら泣いて「ママ」って逃げ出して。
そういううじうじした男だからこういう欲ったかりの女に目を付けられるんだよ。
・「うじ虫毛虫はさんで…」出てってくれ!
(聖美)よく来られたわね。
昨日の今日で。
昨日はすいませんでした。
(愛美)峻に怒られちゃった。
伯父ちゃんや伯母ちゃんと仲良くしなきゃ駄目でしょって。
そりゃそうだよね。
ママがケンカしたら一人で置いてかれるこの子の立場ないもんね。
幼稚園のことはちゃんと考える。
だからこれからも力を貸してください。
お願いします。
峻君。
ママは優しい?
(峻)うん。
怒ったり嫌なこと言ったりしない?
(峻)ママはねさみしいの。
かわいそうなの。
だってママにはママがいなかったから。
おばあちゃんのこと?僕だってさみしいもん。
やだもん。
ママがいなかったら。
峻君。
だから峻君はいつもママに優しくしてあげてるのね?ごちそうさまでした。
はい。
ごちそうさま。
何して遊ぼっか?ご本?お絵描き?お幕ごっこ。
お幕ごっこ?あっ。
そうだ。
お能はねこういうのをかぶった人がお幕の中から出てくるんだって。
あっ。
そうだ。
これ見てごらん。
ほら。
うわぁ。
面白い?うん。
・
(波津子)何してるんですか?ここで。
人の部屋に勝手に踏み込んで。
(波津子)大事なものをこんな子供…。
あれ?この子確かあなたの妹の子ね?は…はい。
どういうこと?何でこの子がうちにいるの?あのう。
色々と事情がありまして。
(峻)そっくり。
ほら。
ねっ?
(波津子)私の顔が?この般若に似てるって?うん。
フッ。
何がおかしいんですか?すいません。
でも。
ハハハ。
般若っていうのはね単なる鬼じゃないんです。
この恐ろしい顔の中には深い女の悲しみが。
ったく何て憎ったらしい子なんだろう。
ったく。
フッ…。
(峻)あっ。
こっちになった。
(波津子)あっ。
小面っていったらうら若き乙女の顔ですよ。
さすがに褒め過ぎでしょ。
ハハハ。
ハハハ。
ハハハ。
・
(足音)
(峻)お幕だ。
あっ。
おかえりなさい
(波津子)ご苦労さま。
おお。
峻君。
来てたのかい?うん。
うん?鬼の絵か。
すごい角だな。
おっかないな。
(波津子)あなた風邪っぴきでしょ?峻ちゃんに近づかないで。
ほら。
峻ちゃん。
いらっしゃい。
・
(チャイム)きっと愛美です。
(波津子)私が出ましょう。
聖美さんも。
伯父ちゃん。
うっ。
何してるの?ううん。
何にもしてないよ。
さあ峻君。
早くママのところへ行こう。
ねっ?さあさあさあ。
こっちこっちこっちこっち。
はい。
行っといで。
はいはい。
忘れろ忘れろ。
あの女の言うことなんか忘れろ。
忘れろ…。
《・「泣き虫毛虫はさんで捨てろ」》《・「泣き虫毛虫はさんで捨てろ》
(愛美)《うじ虫。
うじ虫》はっ!ハァ。
(波津子)一応事情は分かりました。
まあこの子一人預かるぐらいならしばらくは大目に見ましょう。
(愛美)本当ですか?私だって鬼じゃない。
角を生やした般若じゃないんです。
般若?
(波津子)ただし私はあなたに好意を持ってないし今後も持つことはないでしょう。
これだけはきっちりと胸に刻んどいてちょうだい。
それはよく分かってます。
最初から。
それじゃあね。
峻ちゃん。
(峻)バイバイ。
やるな峻。
どうやってたらしたのさ?あの小うるさいばあちゃん。
ふざけてんじゃないわよ愛美。
ゆうべのような騒ぎは二度とごめんだから。
(愛美)ゆうべは私も言い過ぎた。
けさちゃんと謝ったじゃん。
晩ご飯のおかず。
帰って2人で食べなさい。
峻君ちょっと痩せ過ぎじゃないかしら?栄養とかカロリーとかちゃんと考えてあげてんの?さあ受け取りなさいよ。
早く。
すっかり強気だね。
ばあちゃん味方に付けて。
そうやって上から物を言われる筋合いはないって言ってんの。
ましてや子供のことをああだこうだ。
あんたに何が分かんのさ。
なんてね。
今の私に言えたこっちゃないか。
施し物はありがたく。
行くよ峻。
(弘明)では採卵を始めます。
ハァ…。
フゥ。
(弘明)《それでも罪悪感があるんなら今度はエロ本なんか使うのやめて姉さんの麗しい裸でも思い浮かべて採取したらいいじゃないですか》フゥ…。
(瑞穂)奥さま!
(・
(音楽))
(瑞穂)奥さま。
(・
(音楽))
(瑞穂)奥さま。
奥さま。
(・
(音楽))
(波津子)出たのね?結果が。
(瑞穂)診察室にいらしてくださいと弘明先生が。
(波津子)でどうなの?妊娠したの?してないの?
(弘明)着床しました。
妊娠第4週です。
間違いないのね?できたのか。
花が咲いて実を結んだ。
実を結んだのね今度こそ。
はい。
(波津子)瑞穂さん。
(瑞穂)大奥さまの祈りが通じたんです。
おめでとうございます。
若奥さま。
よくやったわ。
聖美さん。
弘明。
まあ今回は間違いないって思ってましたけどね。
ありがとう。
聖美さん。
本当に…。
本当によくやってくれたわね。
じゃあ乾杯。
(波津子)乾杯。
乾杯。
(波津子)おめでとう。
繁郎。
おめでとう。
聖美さん。
ありがとうございます。
ありがとう。
母さん。
(波津子)うーん。
おいしいこと。
今夜のシャンパンはホント格別な味だわ。
フフフ。
(弘明)おつぎしましょう。
飲みたくないですか?私がついだ酒は。
頂きます。
(弘明)いつ以来かな。
兄さんがクリュッグを抜いてくれたのは。
うん。
確かに久しぶりだ。
(弘明)2人の結婚式の日はとんだアクシデントで飲み損なったし。
姉さんのお母さんもきっと今ごろは草葉の陰で喜んでいますよ。
姉さんの妊娠を。
(波津子)嫌なこと思い出させないでちょうだい。
人がせっかく喜びに浸ってんのに。
生まれてくる子にとっちゃどっちも一緒。
自殺した人もあなたと同じおばあちゃんじゃないですか。
結婚記念日が来れば命日も巡ってくる。
なかったことにはできませんね。
永遠に。
いいんです。
母のことは気にしていただかなくて。
お母さん。
飲んでください。
私の分も。
(弘明)今度は俺についでもらえませんか?ついでほしいんです。
あなたに祝いの酒を。
分かち合いたいんですよ。
妊娠の喜びを。
新しい命に幸いあれ。
本気でそう願ってこの手で姉さんの子宮に受精卵を送り込んだ。
(弘明)俺だって兄さんと同じ父親の心境なんです。
何ていやらしい。
(弘明)商売っ気は一切抜き。
あなたに泣いて請われたからこそ魂込めて姉さんをはらませた。
どこがいやらしいんです?あなた。
(せきばらい)おいおい。
弘明。
医は仁術。
もともと商売でやるもんじゃないだろ?ハハハ。
(波津子)ああそうだったわ。
あなたにまだお礼を言ってなかったわね。
恩に着ます。
(弘明)二度目ですね。
無事に赤ん坊が生まれたらもう一度あなたに頭を下げていただける。
楽しみにしています。
10カ月後のその日を。
ただ今戻りました。
(波津子)ああ。
瑞穂さん。
待ってたのよ。
遅いよ婦長。
もう乾杯しちゃったよ。
(瑞穂)すみません。
ああ重かった。
どうしたんですか?その荷物。
大奥さまのお申し付けでちょっとお買い物を。
これ全部赤ちゃんの。
こんなにたくさん?さすがにちょっと早過ぎないか?
(波津子)おめでたいことは前倒し。
早いことはありません。
でもまだ男か女かも決まってませんよ。
男の子です。
ちゃんと願掛けしたんです。
どうか柳沢家の跡取りをお授けくださいって。
だからってさ。
虚仮の一念岩をも通す。
願いは必ずかないます。
聖美さんもそのつもりよね?は…はい。
奥さま。
見てください。
このちっちゃな靴下。
(波津子)まあかわいらしいこと。
フフフ。
(瑞穂)こっちにお靴もありますよ。
(波津子)あらまあ。
まあ。
(瑞穂)カワイイ。
小さくて。
あっ。
手袋もあるんですよ。
ほら。
ちっちゃいの。
(波津子)あらまあ。
(瑞穂)カワイイ。
(波津子)こんなに小ちゃいのね。
いるんだね。
ここに。
私たちの赤ちゃん。
夢みたい。
とうとうこの日が来たのね。
ホントのこと言うともうあなたは協力してくれないんじゃないかって心配してた。
どうして?だって私あなたにずいぶんひどいことを。
《無理やりでも何でもいい》《押し込んで解き放ったらいいのよ鬱憤を》《その一撃で私に子供を授けてくれるなら》《私にとってのセックスはそういうもの》《子供を得るためのものなのよ》不妊は私のせいなのに。
ごめんなさい。
繁郎さん。
聖美は聖母だから。
母になるために生まれた女。
そう思ったんだあのとき。
峻君と手をつないで帰ってくる聖美の姿を見た瞬間に。
《聖母だ。
まさしく聖母の降臨だ》だからどんなことがあっても聖美を母親にしなくちゃいけないって。
見たいって思ったから。
聖美が自分の子供を抱いている姿を。
おっぱいあげて腕の中であやして慈しみ深き聖母の笑みを浮かべるその顔を。
繁郎さん。
なるわ。
きっとなってみせる。
あなたが思い描く優しいママに。
温かなぬくもりにわが子を包みこむ気高い母に。
(愛美)今日もよろしくお願いします。
(波津子)峻ちゃんお借りしますよ。
(愛美)ちょっと。
何する気ですか?峻に。
(波津子)取って食ったりはいたしません。
ちょっとねおばあちゃんになる練習をね。
峻ちゃん。
お兄ちゃんになってあげてくれる?お兄ちゃん?聖美伯母ちゃんに赤ちゃんが生まれるの。
赤ちゃん?
(波津子)弟だと思って仲良くしてあげて。
ねっ?
(峻)うん。
(波津子)うん。
いらっしゃい。
ああ。
はい。
いらっしゃいいらっしゃい。
できたんだ。
赤ちゃん。
よかったじゃん。
あなたの言うとおり人の手を借りた。
他人の手と科学の力を借りたわ。
でも私だってなれた。
母親に。
お母さんの呪いなんか関係ない。
ちゃんと成仏したのよ。
仏様になったのよあの人も。
何かまだその辺うろうろしてそうだけど。
せいぜい大事にして。
あんたがこの家支配できるかどうかその子に懸かってんでしょ?支配なんて。
違うの?私はただこの家を自分がいるべき本当の場所にしたいだけ。
心地よくて豊かで安らかで愛に満ちた本当の私の居場所。
親に与えてもらえなかったんだもの。
自分の力でつかみ取らなきゃ。
何か貧乏根性丸出しって感じ?もしかするとあんたホントに私より不幸だったのかもね。
私のどこが?欲をかくのもほどほどにね。
欲なんかかいてない。
私が求めているのは当たり前の幸せよ。
みんなが簡単に手に入れている普通の女の幸せよ。
もういい。
あなたに分かってもらおうなんて思わない。
あっ。
ちょっと。
ねえ。
ハァ。
あんたいつからそこに?気持ち悪いないつもいつも。
あのう。
分かってる。
こないだのことでしょ?文句があるなら早く言って。
仕事に行かなきゃなんないんだから。
星川先生がどうこうって。
はっ?言ってたでしょ?あのとき。
星川先生が僕らのことを知ってさぞ驚いたんじゃないかって。
あれどういう意味?別に意味なんかないけど。
何かあったの?あの2人。
気になるんだ。
あんたでもそういうこと。
子持ちのおっさんだけどまあいい男の部類に入るもんね。
だったら直接本人に聞けばいいじゃん。
まだるっこしいことしてないで。
いや。
そうなんだけど。
聞くのが怖いっていうか。
考えてみたら聖美のことあんまりよく知らないんだよね。
何ていうか勢いみたいな感じで結婚しちゃったから。
だから星川さんのことに限らず愛美さんが聖美のことで何か知ってることがあったら…。
知るわけないじゃん。
何一つ。
出会って何カ月かで結婚したあんたより私の方がよっぽど付き合い短いんだから。
姉妹ってもうちょっと何かこう通じ合うものあるかなと思ったけど。
行かなくっちゃ。
よいしょ。
あっ。
そうだ。
おめでとう。
赤ちゃんのこと。
あんたもちゃんと男だったんだね。
(波津子)・「さても牛若は」
(峻)・「さても牛若は」
(波津子)・「母の仰せの重ければ」
(峻)・「母の仰せの重ければ」
(波津子)うん。
(峻)これどういう意味?意味は後で教えてあげます。
はい。
もう1回。
・「さても牛若は」どういうことですか?
(弘明)おかしいな。
そんなはずはないんだけど。
おかしいって?
(弘明)見えないんです。
胎のうの中の赤ちゃんが。
えっ?胎のうは胎児が入ってる袋です。
妊娠5週目に入ればたいてい確認できるはずなのに。
それって…。
それってまさか?流産?2014/04/08(火) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #07[字][デ]【優しいママになる決意】
聖美(東風万智子)は、妹・愛美(三輪ひとみ)の息子の面倒を見ることを姑に認められ、繁郎(原田龍二)と本当の家族のように過ごす。さらに、待望の妊娠が判明するが…。
詳細情報
番組内容
柳沢家で好き放題暴れた愛美(三輪ひとみ)が翌日、何食わぬ顔で聖美(東風万智子)を訪ねて来る。憤りを覚える聖美に、愛美は素直に昨晩の暴挙を詫びる。そして、聖美はまたしても峻(大硲真陽)を預かることになるが…。
聖美は、能に興味を持った峻を波津子(丘みつ子)の稽古場に連れて行く。そこに波津子が現れ、峻が愛美の息子だと気づく。
番組内容2
波津子に言い訳をしようとした聖美だが、意外にも波津子は峻の汚れのない言動を見て、すぐに心を許す。
峻を預かることは波津子公認となり、一安心する聖美にさらなる幸福が訪れる。ついに妊娠したことが判明したのだ。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:藤木靖之
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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