夜更けのキッチンに漂うのは温かい思い出のにおい。
人とお菓子の物語。
甘い小さな一かけをご賞味あれ。
この黒々とした大きなおだんごのようなスイーツをご存じですか?イギリス伝統のクリスマスプディングです。
パン粉ドライフルーツなどを洋酒と共に混ぜて熟成させたフルーツケーキ。
クリスマス当日にはもう一度ブランデーを含ませフランベしてから食べられます。
プディングの中に銀貨や指ぬきボタンなどを入れ何が当たったかでその人の将来を占うという珍しい儀式があるスイーツです。
今からおよそ100年前。
このプディングの占いによって結ばれた男女がいました。
日本にウイスキー作りの技術を根づかせた竹鶴政孝とイギリス人の妻リタです。
大正7年大阪の酒造メーカーに勤務する25歳の青年政孝。
本場のスコッチウイスキー造りの習得を会社から命じられ単身スコットランドに滞在していました。
孤独な政孝を気遣った友人からクリスマスのホームパーティーに誘われます。
実は政孝はこの友人の姉リタに好意を寄せていたのです。
パーティーの締めくくりはクリスマスプディング。
切り分けられた政孝のプディングの中には銀貨が。
リタの方には指ぬきが入っていました。
銀貨と指ぬきを引き当てたのが独身の男女なら2人は結ばれるというプディング占いの予言。
政孝とリタは強い運命を感じ結婚を誓いますが周囲は猛反対。
イギリス人が日本人と結婚するなど考えられない時代でした。
しかし2人の決意は揺るぎませんでした。
駆け落ち同然で2人は日本で暮らす事に。
ところが日本でも状況は同じでした。
リタは政孝の家族から冷たい目で見られます。
つらい日々でもリタは屈しませんでした。
ウイスキー作りに奮闘する夫を支えるため誓います。
やがて政孝はウイスキー作りに最適な環境を求め北海道余市に居を構えます。
余市にある2人の暮らした家です。
台所にはリタが漬けたという梅干しがそのまま残っていました。
夫の好物たくあんも毎年漬けていたそうです。
リタのメモしたレシピには「まんじゅう」の文字。
日本の文化に溶け込もうとした努力の跡です。
夫の政孝は異国で苦労する妻に誕生日の度にメッセージを添えた洋書を贈り励ましました。
帰国からおよそ20年。
1940年ついに政孝の造ったウイスキーが誕生。
リタの辛抱が報われた瞬間です。
異国の地で郷愁に駆られながらもリタは日本人の妻として夫への愛に生きたのです。
クリスマスプディングの占いに導かれ苦難を乗り越えたリタは1961年64歳でこの世を去ります。
政孝は2日間部屋に閉じ籠もり泣き続けたといいます。
現在2人は余市のウイスキー工場を見下ろせる丘で寄り添うように眠っています。
政孝とリタのクリスマスプディング。
それは2人の愛の強さと運命を言い当てた不思議な力に満ちたスイーツでした。
2014/04/07(月) 12:50〜12:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルの小さなかまど「竹鶴政孝とリタのクリスマスプディング」[字]
Eテレで放送中の「グレーテルのかまど」から5分に再構成した「人とお菓子の小さな物語」。朝ドラ放送予定の「マッサン」のモデルとなる夫妻の愛の物語。
詳細情報
番組内容
今から100年以上前に、日本にスコッチウイスキーの技術を根づかせた竹鶴政孝とスコットランド生まれの妻リサ。二人の運命的な出会いは、伝統の「クリスマスプディング」の中に埋め込まれた「銀貨」と「指ぬき」に導かれた占いによるものだった。国際結婚、文化の違い、さまざまな逆境の中で結ばれた竹鶴&リタ夫妻の愛の物語とは?
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:11684(0x2DA4)