THE世界遺産【1500mの絶壁にすむヒヒ〜エチオピア】 2014.04.06

ここは…
アフリカです
闇に浮かぶ明かり
よく見ると
何か噴き出しています
砕ける波さながらに暴れるのは溶岩です
その温度は…
地球の内部をさらけ出した溶岩の湖
あふれ出たマグマは
世にもまれな絶景を生み出しました
削り出されたような断崖は
高低差1500メートルに及ぶ場所もあります
今日の世界遺産は
4000メートル級の山々が連なるシミエン山地
ここには断崖を最後のすみかとする
珍しい動物達が生息しています
中でもこのゲラダヒヒは
表情生態がとても個性的です
エチオピアの乾いた大地を走り
目指すは北西部の山岳地帯です
急勾配を一気にのぼりシミエン国立公園に入ります
車はここまで
まずは高低差…
ヒヒに会いに行きます
このシミエンにしかいないという珍しいヒヒです
途中アフリカの高山にしかない植物を目にしました
キキョウの仲間で樹木ではなく草花
でも大きなものは8メートルにもなります
歩き始めて3時間
高地にたどりつきました
このシミエンが世界遺産に登録される理由の一つとなった
息をのむ景観です
切れ込んだ渓谷からそびえたつ岩壁
1000メートルを優に超える断崖が
何キロにもわたって連なります
早朝
草原一面に霜が降りていました
1500メートルの垂直の崖
何かいます
岩肌に数ヵ所
黒い塊が…
ヒヒです
何頭ものヒヒが身を寄せ合っています
あッ動きだしました
赤ちゃんは母親に必死にしがみつきます
登りついた先には平地が広がっていました
シミエン周辺の高地だけに生息する
100頭を超える群れ
まずは日を浴び冷えた体を温めます
時に上唇をめくり上げ
歯茎ごと牙をむき出しにします
さらにオスは見事なたてがみを持ち
ライオンモンキーの異名をとります
メスがやって来て…
これは虫を取ると同時に
仲がいい証しでもあります
ゲラダヒヒはいわゆる一夫多妻制
1頭のオスと数頭のメスで
一つの家族をつくり
その家族が集まって
時には数百頭の大きな群れをなします
一日のほとんどは食事
黙々と地面を掘っています
何か食べました
ヒヒの主食はこの草
雨期には葉っぱを食べますが今は乾期
少しでも水分の多い根っこを掘り返して
食べていたのです
しかし草の養分は乏しいため
ヒヒ達は一日中食べ続けなくてはならない
というわけです
食べては移動の繰り返し
ゲラダヒヒは胸に特徴があります
皮膚がむき出しになった部分
強いオスや発情したメスの胸は
より赤みを増します
崖のふちで遊ぶ子供達
かなり危なっかしいですが
これも断崖を行き来する訓練になっているようです
数万年前までアフリカ全土に生息していたゲラダヒヒ
シミエンが高地でありながら草原であったため
ヒヒのすみかとなりえたのです
日が暮れ始めた頃
ヒヒ達の大移動が始まりました
垂直の崖にあるあのねぐらに帰るのです
ここならヒョウやジャッカルに襲われることもありません
家族ごとに身を寄せ合います
身もすくむシミエンの絶壁が
ゲラダヒヒ達にとっては
安住の場所だったのです
シミエン国立公園には村があります
国立公園になるずっと前から人が住んできました
あのジャイアントロベリアの葉を
もぎ取ることも村人には許されています
枯れ落ちた幹
中は空洞です
中に服を入れます
いわばクローゼット
服に虫がつきにくいんだそうですよ
厚みのある葉は
保温効果があります
水に浸した大麦を葉で包み
1週間ほど置くと
芽が出ますこれが…
この麦芽を発酵させてつくるのが
村伝統の飲み物
ちょっと酸っぱい独特の味です
疲れたときに飲むと力が出るのさ夜もよく眠れるんだ
彼らはシミエンならではの自然と上手につきあっていました
神の仕業と見まごうシミエンの地形
これを生み出したのは膨大なエネルギーでした
それは今も噴き出し続けています
アフリカの屋根と称される
エチオピアの高地に
朝が訪れます
氷点下の夜固く花を閉じ
朝日を浴びて開く
不思議な自然
それを育む不思議な地形
果たしてどうしてこのような風景が生まれたのでしょう?
実はシミエン全体が
溶岩でできているのです
シミエンの東にあるマグマの湖を目指します
それは大地の裂け目が生んだものでした
夜マグマの湖を見下ろす
山の頂を目指します
歩きだして4時間
あれが今も活動を続ける火山エルタアレです
辺りは肌の焼けるような熱さです
世界でもまれなマグマの湖
実はこの辺り地球の裂け目
その一番底にあたります
アフリカ東部を南北7000キロにわたって縦断する
巨大な裂け目
マグマが大地を押し上げ始めます
地表は東西に引き裂かれ
中央は陥没
先ほどの溶岩湖はその底にあります
そして高地での大噴火
溶岩は3000メートルの厚みに達しました
そこに大量の雨が降り岩を削り
シミエンの絶壁を形づくったのです
小型無線ヘリで火こうに迫ります
溶岩湖いわば地球の内部と外部との出入り口です
こうした地球の営みがあのシミエンを生んだのです
圧巻の断崖絶壁
この地形が珍しい生き物を育んできました
翼を広げると3メートルにもなります
アゴにヒゲのような毛が生えていることから
そう名づけられました
シミエン山地固有のヤギの仲間ワリアアイベックス
現在400頭だけが残る
実は…
ここが初めての世界遺産の一つに選ばれたのは
この存在が大きかったのです
シミエンは絶滅の危機にある動物の
「最後の砦」でした
シミエンにある滝
世界有数の落差800メートルを誇ります
6月から9月
シミエン山地にまとまった雨が降ります
標高4000メートルに降った雨は
いくつもの流れとなり
文明の源になりました
迫力ある滝
エチオピアの高地から流れ落ちた水は
やがてナイル川に注ぎ込みます
シミエンの大雨はナイルを氾濫させ
流域に肥沃な土壌をもたらしました
そこに文明が誕生
のちにエジプト観光の人気スポットとなるものが
次々と築かれてゆくのです
古代都市テーベ最大の神殿
これもシミエンの雨がなければ
生まれなかったのかもしれません
ファラオ達ははるか南の標高4000メートルに
思いをはせたことはあったのでしょうか?
エジプト文明とシミエン山地
悠久のつながりでした
シミエン国立公園の主ゲラダヒヒ
牙を見せたり胸を赤くしたり
独特ですがもっとすごい特徴があります
実は…しゃべるんです
命懸けでのぞき見るのは
1500メートルの断崖です
エチオピアの高地シミエンだけにすむゲラダヒヒ
彼らは30もの言葉を操るというのです
一体どんなことを話しているのでしょう?
ミシガン大学の研究者達
時間をかけヒヒの警戒心を解いてきました
餌付けならぬ
…というそうです
あの子はカイピリーニャブラジルのカクテルの名前ですこの家族には皆お酒の名前がついています家族ごとにテーマを決めて名前をつけると覚えやすいんです
ヒヒはよくケンカをします
多くはメスの奪い合い
怒ったヒヒの目の上に注目してください
白く光ってるようにも見えます
これは皮膚をのばし骨を浮き立たせた
威嚇の表情です
独身のオスが夫を持つメスに近づきます
すると夫婦が牙をむきました
上唇を裏返して牙を強調します
この牙で本気で戦えば
どちらかが大ケガをするでしょう
でもそうしたケンカはほとんどありません
実はこの威嚇が
彼らは行動に応じて
色々な鳴き方をすることが分かっています
(ゲラダヒヒの鳴き声)今のメスの鳴き声は謝罪を表しています相手に謝ったんです
(鳴く)
この鳴き声は謝罪を意味しています
様々な声それにそくした表情や行動
これは言葉によるコミュニケーションに他なりません
このゲラダヒヒは…人間以外で最も多くの言葉を持つ非常に特殊な霊長類なんです
コミュニケーションの力を磨き
ヒヒ達が生きていくことを決めた
シミエン国立公園
そこは絶滅の危機にある生き物達の
最後の隠れ家であり
そしてそれは
マグマがつくった最高傑作でした
2014/04/06(日) 18:00〜18:30
MBS毎日放送
THE世界遺産[字]【1500mの絶壁にすむヒヒ〜エチオピア】

藤原竜也を新ナレーターに迎えた第1回目はアフリカ、シミエン国立公園。標高4000mのガラパゴス!? 閉ざされた高地にすむゲラダヒヒの奇妙な生態に迫ります!

詳細情報
番組内容
エチオピアの標高4000mの山岳地帯に、切り立った崖が数10キロも続くのがシミエン国立公園です。隔絶された環境には、独自の進化を遂げた動物が暮らします。最もユニークなのが1500mもの絶壁に住むゲラダヒヒ。早朝、垂直の崖をリズミカルに登る彼ら。観察をしていると面白い生態を見せてくれました。他にもヒゲのある巨大なワシや世界でも約400頭しかいないヤギの仲間など、彼らの最後の隠れ処となっています。
出演者
【ナレーター】
藤原竜也
音楽
<オープニングテーマ曲>
「風の詩〜THE世界遺産 version2013」小松亮太
<メインテーマ曲>
「Les enfants de la Terre fantaisie〜地球のこどもたち〜」
作曲  服部隆之  
演奏 宮本笑里 with 仙台フィルハーモニー

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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