という訳で、第7回は『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』を書かせていただいています、鳳乃一真がお贈りします。
それにしても、七々々の作者だから7人目というのは、なかなか洒落が利いている。掲載順を考えたのは、どなたか存じませんが、さぞやユーモアあるお方なのでしょう。
しかも「どれだけ書いていただいても構いません(笑)」とのこと。
そうなると捻くれ者の鳳乃は「この野郎(女性かもしれませんが)、俺が大した分量を書けないとか思っていやがるな。だったら、『すいません、こんなに掲載できません』と泣いて許しを請いたくなるくらい書いてやる(ニヤリ)」という考えにいたり、「よしやるか!!」と気合を込めて執筆する所存です。
さて、前置きはこのくらいで、早速鳳乃が15歳の頃の話をしたいと思いますが、テーマはずばり《高校受験》です。
というのも、実は鳳乃はかなり珍しい受験遍歴の持ち主なのです。
なにが珍しいのかというと、実は鳳乃、『保健室受験』をしたことがあるのです。
「……えっ? なに、それ?」と思われた方はナイスリアクション。「んなの珍しくもねぇよ」と思われた方、大したことのない人生しか送ってこなかったしょっぼい作家の見栄と思い、優しい目で見守ってやって下さい。
たぶん珍しいはずです。少なくとも鳳乃の周りには、そんな人はひとりもいなかったので。
まあ内容も何も、読んで字の如く、鳳乃は高校の保健室で受験した事があるんです。
皆さんのご想像通り、体調が悪かったんです、かなり。それでも受験したんです。だから保健室で受験したんです。
じゃあなんで教室で受験できないほど体調を崩しているのにそんなにがんばったのか?
それは何を隠そう鳳乃にはメチャクチャ可愛い幼馴染の女の子がいて、「その高校に一緒に行こう」と固く誓い合い、彼女とふたりで受験勉強をがんばったから、意地でも合格するために……なんてことは、ありません(これを書きながら、そんな高校受験がしたかったと、ただただ涙しています)。
冗談はさておき、その辺の理由も込みで、簡単に語らせていただきたいと思います。
どこかのあとがきで書かせてもらったこともありますが、鳳乃は高熱を出した経験がほとんどありません。
その貴重な1回として、もれなくぶっ倒れたのがその受験の前日でした。
洒落にならないくらいヤバい状況でした。どれくらいヤバいかというと、ウ○コを漏らして母親にガチギレされるくらいヤバい状況でした(実話)。熱が上がり過ぎて、意識が朦朧としている癖に、苦し過ぎて寝たくても寝られないんです。
まあ、そんな状況ですから、次の日の受験当日も、熱が下がる訳もなく。受験の為に家を出る時間(朝7時前)になっても、どうしようもない状態でした。
ですが幸いだったのが、受験する予定だったその私立高校は、スベリ止めで受験する高校だったということです。
とにもかくにもこんな状況じゃ受験どころじゃないと、その日の受験を断念することにしました。
「とりあえず、後で学校(当時通っていた中学)に電話しておくわね」と母親が部屋を出て行ったのを確認し、熱の苦しさで夜中もほとんど寝られていなかった鳳乃は、浅い眠りに落ちました。
事件は1時間後に起こりました。
母親が焦った様子で、部屋に入ってきて、こう言ったのです。
「学校に電話したら、担任の先生が『受験してもらわないと、ウチの中学としては非常に困るんです。というか絶対に受験しに行って下さい』って言っているんだけど?」
「……なんで?」
母親が語った理由を聞いて、納得させられました。
高熱を出していたこともあり、自分でも完全に忘れていたのですが、実は鳳乃、この私立高校に併願推薦をしてもらっていたのです。
「なんだ、それ?」という方の為に簡単に説明すると、高校受験の際、私立校に関しては『単願・併願』というシステムがあるのです(まだあるのよね?)。
分かりやすく言うと「もし第1希望の公立高校落ちたら、絶対にあんたの高校入るから、ちょっと点数おまけしてよ」という事前取引のことです。
そしてこれらは、《推薦》という字が付く通り、中学校からの後押しがあって成立するシステムなのです。
つまり、受験しないなんてことになれば、推薦してくれた中学校の顔に泥を塗ることになってしまうのです。
……そうなんです。鳳乃は可愛い幼馴染の為ではなく(そんな子いませんけど(涙))、学校の面子の為に、保健室受験させられたのです。
正直、その私立高校に行くまでがまた地獄でした。
フラフラの状況で母親に付き添ってもらい電車に乗った時間がちょうど朝のラッシュ時。体調悪くて、気持ち悪い中、サラリーマンの整髪料の匂いがキツイのなんの。「ぜーはっ、ぜーはっ」と真っ青な顔をしている自分を見かねて、「君、よかったら座りなさい」と四十代のナイスミドルなビジネスマンが席を譲って下さろうとしたのですが、小心者ゆえ咄嗟に「いえ、大丈夫です、お気遣いなく」と答えるも、その30秒後には、「……すいません、やっぱり替わってもらっていいですか?」と自分からお願いする始末です。
電車を降りてから学校までがまた遠かった。タクシーでしたけど。
もちろん、もう試験は始まっています、完全に遅刻です。
それでも中学校から連絡が行っていたらしく、高校の先生と思しき方が保健室へと連れて行ってくれました。
「君、ここで受験しなさい」
さて、これが保健室受験をする羽目になった経緯になります。
それで、実際の保健室受験なのですが……
超楽しかったです(笑)。
一応机を用意していただいていたのですが、体調悪かったら途中ベッドに寝てもよし、寝ながら解答するもよし。
しかも保健の先生が温かい緑茶を入れてくれました。「ずずずっ」とお茶を啜りならが、ほぼ個室の状況でマークシートを埋めてゆく。体調悪いながらも、どこかワクワクしたのを覚えています。
不思議なことに保健室受験を終えて帰る頃には、熱もだいぶ落ち着いて(でも38度以上ありましたけど)、帰って即行爆睡できました。
ちなみに、その高校には合格したのですが、別の高校に進学することになり、残念ながら通うことはありませんでした。
と、実に貴重な体験をさせていただきました。
ちなみに、これを聞いて「来年、私も」と思っているそこのあなた、仮病を使ってまでやることじゃないので、絶対に止めましょう。
ですが、もし本当に体調を崩してしまった受験生の方がいましたら、中学校の先生と受験する高校に問い合わせてみてはいかがでしょうか? もしかしたら、便宜を図ってもらえるかもしれません。体調管理も受験生の本分ではあるとは思いますが、それが出来なかったからといって諦めることはありません。諦めたらそこで試合終了なのです。
という訳で、鳳乃の受験エピソードは……これだけではありません。
『15歳の×××』シリーズ、これより前の回でお話しされた先生方々同様、鳳乃もゲームに関するお話もさせていただきたいと思います。
タイトルを付けるとすれば、まさに《受験と精神崩壊》です。
さて、鳳乃が取り上げるゲームソフトは1本です。《ファイナルファンタジーVII》です。
……って、今気付いたけど、これも7じゃないですか! こいつは縁起が良いですな!!
閑話休題。
さて、このファイナルファンタジーVIIは、ファイナルファンタジーシリーズのプレイステーション第1弾ということもあり、当初から話題騒然でした。もちろんファイナルファンタジー好きの鳳乃も予約でゲットしました。予約開始と同時に予約して、発売日当日に即買いです。
とにかく欲しかったんです。どれくらい欲しかったかというと……
まだプレイステーション本体を持っていなかったのに、ソフトを先に買っちゃったくらい欲しかったんです。
この時、プレイステーション本体が超品薄状態で手に入らなかったんです。
でもそれがかえってよかった。
というのも、このファイナルファンタジーVIIの発売日は、1月31日。そう、受験真っ只中。
もし、封を開けてやり始めてしまったら最後、鳳乃は高校浪人確定。
購入したばかりのソフトが、この時ばかりは地獄の片道切符に見えました。
それから地獄の日々が始まりました。
やりたくてやりたくてしょうがなかったんです。なんせファイナルファンタジーシリーズ大好きでしたから。
しかも最悪なことに、この時、推薦で高校進学を決めた同級生たちというのがすでにいて、みんなプレイ中だったんです。学校の休み時間、そういう連中が話しているんです。ミッドガルを出た出ないとか、沼地をチョコボで渡るとか。
はっきり言って気が狂いそうでした。頭かきむしりながら「やりてー!」と叫びたかったですが、事情を知らない人から見たら完全に変質者なので、心の中で叫びました。唇を噛んでなんとか耐えました。受験ラストを飾る第一志望の高校の受験日を指折り数えて待ちました。
「終わったら絶対に気絶するまでやってやる。誰がなんと言おうと、俺はやるぞ」
ブツブツと呪文のように唱えながら、机に齧り付き、邪念を拭い去るように、ただひたすら受験勉強をしていました。来る日も来る日も勉強、勉強。何かが乗り移ったみたいに勉強し続けました。頑張りました、鳳乃は本当に頑張りました。めちゃくちゃ頑張りました。
ですがそんな頑張る鳳乃に、神は残酷な試練をお与えになりました……
受験日1週間前に、予約していたプレイステーション本体が入荷したという連絡があったのです。
完全に目が泳ぎました。そして深呼吸して冷静に考えました。
「と、とりあえず、予約したからには、取りに行かなきゃいけないよな、人間として」
家を飛び出した鳳乃は、冬の寒さを吹き飛ばすかのように全力で自転車を漕ぎました。
それから1時間しないうちに我が家にプレイステーション本体がやってきました。というか自分が買ってきたのですが。箱もピカピカの新品です。当たり前ですが。
そこで深呼吸して、鳳乃は考えます。
「と、とりあえず、動作不良がないか、テレビに繋いでチェックした方がいいよな」
世界のソニーに対する暴言を吐いた15歳の鳳乃は、テレビにプレイステーションを繋ぎました。
と、ここで自らの過ちに気づきました。まったく、危ない所でした。というか、なんと愚かなことでしょう。こんなミスをするなんて、あるまじき事です。
「そもそもソフトをセットしてゲームを起動させなきゃ、本体が故障しているかなんて分からないじゃん」
気が付けば、地獄の片道切符の封を解いていました。3枚あるソフトのdisc1をセットしていました。メモリカードもばっちりです。
コントローラーを握って……
気が付いたら、鳳乃の操るクラウドがミッドガルの外に立っていました。
その瞬間、鳳乃は「おっぱっぴー」と精神崩壊しました。
結果、受験前の大事な1週間、ファイナルファンタジーVIIしかやっていませんでした。
終わったと思いました。全てが終わったと思いました。
ですが、自分が選んだ道です。後悔はありません。
「笑って死んでやるよ」と開き直り、受験に臨みました。
まあ、結果は笑えもしないのですが、合格しました。どうやらゲームをするのがリフレッシュになってよかったようです。
もしかしたらプレイステーションの本体がこのタイミングで家にやってきたのは、神の残酷な試練ではなく、神様の粋な計らいだったのかもしれません。
この出来事の教訓としては、日頃から真面目に勉強をしていれば、多少テスト前に遊んでもテストでいい点数が取れるということでした。
但し、その後の高校生活において全てのテストをほぼ一夜漬けで片づける人生を歩むこととなるので、この教訓は何ひとつ生かされることはなかったと思います。
「なら、来年自分も」と思ったそこのあなた、是非マネして下さい。毎日毎日死ぬほど受験勉強していれば、最後の1週間遊んでも問題ないと思います。
但し保証はいたしかねます。
人生は全て己の自己責任。
さて、散々書いたことですし、これだけやれば編集部から泣きの一報があるんじゃないかと期待しつつ、そろそろ終わりたいと思います。
以上、鳳乃一真がお送りしました『15歳の受験と精神崩壊』でした。
長々と失礼いたしました。