プロレス団体WWEが挑む「メディア革命」
自前の「ネット放送局」を立ち上げ、有料会員獲得を狙う
メディアの世界で先駆者たりうる大物を挙げろと言われて、ビンス・マクマホン(68)の名を挙げる人はあまりいないのではないだろうか。マクマホンはアメリカのプロレス団体「WWE」の経営者だ。
だがマクマホンとWWEはインターネットテレビの最前線にいる。WWEは今年2月にWWEネットワークという有料の動画配信サービスをスタート。これまではケーブルテレビや衛星放送でしか見られなかったプロレス試合のネット放送を開始したのだ。
4月6日にWWEは、ニューオーリンズのスーパードームで年間最大の興業である「レッスルマニア」を開催(目玉は『アンドレ・ザ・ジャイアンツ記念バトルロイヤル』)。今年はプロレスファンはもちろん、エンターテインメント業界やウォール街も注目のイベントとなった。
興業団体の株価が1年で3倍に
上場会社であるWWEの株価はこの1年で、有料の動画配信サービスの開始や買収のうわさもあって3倍以上になった。業界ウォッチャーからは、WWEネットワークは経営者としてのマクマホンの花道を飾ることになるとの声も上がっている。
「もし彼がプロレスやスポーツエンターテインメントの放送のあり方を決定的に変えたとすれば、これ以上の花道はないと思う」と、プロレス評論家でスポーツ専門サイト「ウイズ・レザー」の編集長を務めるブランドン・ストラウドは言う。
料金の高いケーブルテレビよりも動画投稿サイト「ユーチューブ」や月額制の動画ストリーミングサービス「ネットフリックス」を選ぶ人が増える中、マクマホンはプロレスファンが向かう方向に一緒に進むことを決意したわけだ。
多額の資金を注ぎ込んで誕生したWWEネットワークは、月10ドルで1日24時間の動画ストリーミングサービスを利用できる。ペイパービュー方式(番組単位で別料金を払う視聴方法)で特別試合などを見ることも可能だ(料金は最高70ドル)。