趙君と関君を、パレードで見かけたのは、本当に偶然だった。
なんだか楽しそうだったので、声をかけずにいた。
良く晴れていたけれど、まだ少し風が冷たかった。
その時、見覚えのある人が、視界に入った。
黒いジャケットの背の高い人。似たような格好をした人はたくさん居たけど、
こっちを見ていたのでぱっと分かった。
「あ・・!」
私はクラスメートそっちのけで、人ごみを掻き分けてその人の方に全力で走った。
あの雪の日に会った人だ!
「いいなあ。年下の子が全力で駆けてくるのって」
目を細めて、ふふーんって感じで笑いながら、先日はどうも、と挨拶をしてくる。
私はドキドキしながら、こんにちは、と頭を下げた。
「あの、名前・・聞いてなくて」
「僕は李 英明。大学生」
「私は、謝 麗華です」
「レイカちゃん?」
名前を呼ばれて、顔が赤くなった。
これは大きな一歩です!!
「今日は何しに来たんですか?」
「僕、ここら辺のお店を見るのが好きなんだよね。珍しい物が多いし・・よく、来るんだ」
あたりを見回しながら、李さんが古いものとかね、と続けたので、例えば?と、聞いてみた。
「んー。プレゼントになりそうなものとか・・・骨董とか・・中華料理も好きだし」
私はうれしくなって、一息に言った。
「私のお母さんが開いてるお店がすぐそこにあるんだけど・・よかったら、寄ってください!」
李さんは笑って、
「じゃあ、寄っていこうかな」
って言ってくれた。
私は先に立って歩き、時々より道をする李さんを邪魔しないように、一緒に立ち止まった。
パンダが好きなのか、パンダのキーホルダーとか、ぬいぐるみとかをじっと見ていた。
「ちょっと探し物しててね」
「パンダの探し物?」
「そう・・パンダって熊猫って言うんだよねー。熊なのか猫なのか・・見た目は熊だけど性格は猫みたいだよね」
独り言を言いながら彼は私の後をついてくる。
私はなんて声をかけたらいいのか分からなくて、もくもくと歩いた。
(パンダが好きなのかな・・パンダラーメンとかあるのかな・・でも初デートにラーメンてだめだわ・・。
うちにパンダグッズなんかあったかしら・・あ、お母さんになんて言おう)
だんだんそっちの方が気になって、早歩きになってしまう。
(そうだ、お客さん、お客さんでいいじゃない!・・言わなきゃ分からないよきっと!)
はっと振り向いたとき、李さんはあわてて追いかけてきた。
「置いていかれたかと・・」
革靴で走らせてしまい、申し訳なく思った。
「ごめんなさい。パンダの可愛さには、かなわないわ」
「えぇぇ?」
「・・なんでもないです」
ジョークって難しい。
お店では、お母さんが商品をそろえているところだった。
私は平常心を装って、お母さんに李さんを紹介した。
「お母さん、お客さん。李さんていうの」
「あら、いらっしゃい」
「どうも・・雪の日に、麗華ちゃんにぶつかってしまったんです。すみません。さっき、そこで会ってつれてきてもらいました」
「え?・・あぁ」
お母さんがむふふ、って笑った。