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「引きこもり」するオトナたち
【第193回】 2014年4月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
池上正樹 [ジャーナリスト]

高齢化する引きこもり親子の行く末か
45歳息子が80歳母親と無理心中の背景

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 「他人事とは、とても思えない」

 こう悲痛に訴えるのは、15年ほどにわたる引きこもり生活を送ってきたAさん(45歳)。

 「結果的に母親殺害という結果になってしまった息子さんの気持ちを思うと、気の毒過ぎます」

現実から逃げ出したかった?
無理心中を図るも母親だけが死亡

 Aさんが指摘しているのは、都営アパートの一室で木炭を燃やし、80歳の母親を一酸化中毒で殺害したとして、4月5日、東京都墨田区に住む45歳無職の次男が逮捕された事件。この次男は、警察の調べに対して「無理心中しようとしたが、自分は外に出て死にきれなかった」と供述しているという。

 Aさんは、こう顔を曇らせる。

 「報道ではわからなかったけど、母親が80歳っていうことは、すでに介護が必要だったということも考えられます。息子さんは、自分と同い年の45歳。身体のいろいろなところが悪くなってくる。母親も老いてきて、世の中とのつながりが何もなかったとしたら、そりゃ、将来を悲観したくもなります。この現実から逃げ出したくて、一緒に死のうとしたのではないでしょうか」

 実際、翌6日付の東京新聞によれば、容疑者の次男は、50歳代の会社員の兄とも同居していたが、事件当時、仕事のために外出中で、次男は兄とともに母親の介護をしていた。しかも、今年に入り、同様の方法で2度にわたり、「心中を試みた」と話しているという。

 「年がら年中、年老いた母親と一緒に家にいたら、おかしくもなります」

 そう自らの状況と重ね合わせるAさんも、ずっと母親と2人暮らしを続けてきた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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