教科書採択:竹富町地区協議会離脱 法改正で圧力 裏目に
毎日新聞 2014年04月10日 03時00分
沖縄県竹富町教委が採択地区協議会から離脱する方向になった教科書採択問題。9日に成立した改正教科書無償措置法は、採択を地区協議会の決定に従うよう義務化する一方で、採択地区の構成を細分化した。同町はこのポイントを突いて「離脱」方針を固めた。竹富町に「圧力」をかけたはずが、その趣旨とは反対の結果を招く法改正。事態は収拾に向かうのか、さらに溝を深めるのか見通せない状況だ。
竹富町は石垣市、与那国町と「八重山採択地区協議会」を構成し、共同採択してきたが、2012年度以降、同協議会が選んだ保守色が強いとされる育鵬社版の中学公民教科書に難色を示し、独自に東京書籍版を選び、寄付金で生徒に配布してきた。そのため国は是正要求に加え、法改正し、採択地区協の決定に基づき同一の教科書を選ぶことを義務化した。一方で、採択地区の構成単位を「市郡」から「市町村」に細分化。旧法ができたのは1963年で、近年の市町村合併で郡の枠組みが崩れた地域も多く「実情に即し改正した」(文科省教科書課)という。
一方で、文科省は竹富町の判断には「共同採択」の意義を理由に難色を示す。採択前に、採択地区の調査員(主に教員)が全教科書の内容を評価する共同調査・研究について「小規模な自治体が単独でやるのは難しく、適切な採択ができない恐れがある」(同課)ためだ。8日の参院文教科学委で「調査は共同で、採択は各市町村でやったらどうか」との質問が出たが、下村文科相は「調査研究と採択は一体」と一蹴。採択地区決定の権限は県教委にあるが「採択地区の設定に不適切な事例がある場合は、指導・助言を行うこともありうる」と国の介入も示唆した。【三木陽介】