下村博文文部科学相は9日の衆院文科委員会で、慰安婦問題をめぐる1993年の河野官房長官談話について「(談話)そのものは閣議決定されていない。しかし、質問主意書に対する答弁で、談話を受け継いでいる旨を閣議決定している」と述べた。第1次安倍内閣は2007年、「歴代の内閣が継承している」との答弁書を閣議決定している。

 1月の教科書検定基準改定では小中高校の社会科(地理歴史科)教科書で「閣議決定その他の方法で示された政府の統一的な見解がある場合、それに基づく記述」をするよう定めた。下村氏は07年の答弁書の内容について「検定基準上の『閣議決定等により示された政府の統一的見解』に該当する。教科書検定にあたっては慰安婦問題についての政府の基本的立場を踏まえて実施する」とも答弁した。

 下村氏は3月26日の同委で「村山談話、河野談話自体は閣議決定されたものではない。検定基準における政府の統一的な見解にはあたらない」と、いったん答弁していた。村山談話については、9日の同委で「閣議決定の上、発表されたものだった。訂正しおわび申し上げる」と改めて表明。この日の河野談話についての答弁と合わせ、政府の立場に沿う姿勢を示した。