【記者手帳】韓国の機関が「3年連続特許世界1位」!?

 「米国特許総合評価で、ETRI(韓国電子通信研究院)が3年連続で世界1位に。創造的な経済をけん引するグローバルな特許の力量が立証」

 これは今月2日、未来創造科学部(省に相当)がメディアに配布した広報資料のタイトルだ。同部の傘下のETRIは、情報通信分野の代表的な政策研究機関だ。広報資料によると、ETRIは全世界の研究所や大学、政府機関など288の機関を対象に行った「2013年度米国特許総合評価」で、3年連続で世界1位になったという。2位は米国マサチューセッツ工科大学(MIT)、3位には同スタンフォード大学が続いた。

 これは誇らしい知らせだ。しかし、そのまま信じていいものか疑わしいところもある。この件について報じた海外のメディアが全くないためだ。ETRIが初めて世界1位になったとされる2011年以降のウェブ記事をしらみつぶしに検索しても、韓国メディアの記事しかなく、英語で書かれた外国メディアの記事は1件も見つからなかった。

 総合評価を行ったのは米国のIPIQという組織だ。未来創造科学部はIPIQを「1968年に設立され、科学技術の動向についての分析や、特許の技術力の評価を行う専門機関」と紹介した。だが、記者が調べたIPIQの実像は違っていた。IPIQは「機関」ではなく、営利を目的とする民間企業だった。シカゴに本社を置くIPIQは、ETRIが1位になった「米国特許総合評価」の資料を有料の商品として販売していた。米国特許庁の資料を基に順位を付けたというが、評価の方式や基準は公開していない。

 ETRIは毎年、2500ドル(約26万円)を払ってこの資料を購入している。ETRIが1位になったと報じる雑誌も100部以上購入していた。この雑誌の発行元は、IPIQの本社から30分の所にある。ほかの米国メディアは、IPIQのランキングについて報道する必要性を感じていないようだ。一方、ETRIの関係者は「IPIQは信頼の置ける専門機関だ」という説明を繰り返すだけだ。

 ETRIは確かに、優れた研究実績を積み重ねてきた。電磁的電話交換機(TDX)やCDMA(コード分割多重接続)移動通信技術を開発し、第4世代の移動通信(LTE)や動画圧縮技術(MPEG)に関する標準特許も数多く取得している。このような技術力を持つETRIがなぜ、外国の民間企業の資料を過大評価し、大げさな振る舞いをするのだろうか。成果がないままスローガンを掲げるだけの未来創造科学部に、「創造的な経済」の宣伝用として政策研究機関が利用されたかと思うと、苦々しい思いだ。

李仁黙(イ・インムク)記者
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