編集委員・野上隆生
2014年4月9日00時33分
開門をめぐる裁判闘争が続き、時間だけが過ぎてゆく長崎県諫早湾干拓の調整池。農業用水として利用し、防災効果も狙った池だが、まもなく毒素を作り出すバクテリアのアオコが発生する季節を迎える。池の実態を探る調査に同行すると、水は濁り、かつて干潟にいた無数の生き物は姿を消していた。
静かな水面を、6人乗りの小型ボートがしぶきを上げて進む。一面、緑味を帯びた茶色。飛んで来るしぶきに思わず顔をしかめる。
調査は、熊本保健科学大の高橋徹教授(海洋生態学)が6年以上にわたってほぼ毎月続けている。諫早市高来町湯江の船着き場を出たボートは30分後、南部排水門そばの調査地点①に到着した。
エンジン音がやみ、漂うボートの前方には、平成新山など雲仙の山々の青いシルエット。振り返ると、はるかに多良山系の緩やかな稜線(りょうせん)。雄大な自然に囲まれていても、池の水を見ると興ざめしてしまう。
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