つい見た目で判断しがちだが、内に秘めた才能は必ずある。周囲の環境次第で、新たな能力を発揮することもある――。身近な「元素」の話だ。最近もてはやされるレアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)とは違い、あまり注目されない元素が、様々な潜在能力を持つことが徐々に分かってきた。
市販品の性能を大きく上回る蛍光灯を旭硝子が開発した。新しい電極の寿命は4倍、消費電力は3割減る。限界を突破する鍵となったのが、意外にも何の変哲もないセメントだった。
セメントを改良した電子材料は、レアメタルのニッケルやモリブデンもしのぐ。2011年5月に米国で開く国際会議で詳細を発表する。
セメントの新たな「顔」を見つけたのは、東京工業大学の細野秀雄教授。02年に英科学誌ネイチャーで発表した。東京都立大学(現首都大学東京)の大学院生だった1977年~82年に、絶縁体であるガラスの中の電子の動きに着目。95年にはガラスが半導体になることを国際会議で発表した。ガラスに電気が流れるならセメントでもできるはずと、蛍光灯への応用につながった。
電極にしたのは旭硝子が販売する耐火性と耐食性に優れたアルミナセメント。セメントの中では高級品だが、アルミニウムとカルシウム、酸素というありふれた元素だけでできている。このセメントを真空容器に入れて加熱したところ電子が流れた。
セメントをナノ(ナノは10億分の1)メートルの精度で解析すると、内径約4ナノメートルのカゴが立体的に積み重なっている。カゴ12個で負の電気を帯びた酸素イオン2個を抱える。真空中で加熱すると、酸素イオンが切り離した電子がカゴに残る。カゴのすき間を電子が行き交い、電流が流れる仕組みだ。
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