旭硝子は2004年から東工大と組んでセメントを電子材料として利用する研究に着手した。09年からは、旭硝子の中央研究所から東京工業大学に移った伊藤節郎特任教授と旭硝子中研の宮川直通主幹らが中心となった。光電子工学の専門家で国際ディスプレー学会(SID)の会長も務めた電気通信大学の御子柴茂生名誉教授の協力を得て蛍光灯に仕上げた。
旭硝子は薄型テレビ用バックライトや室内照明の実用化にも意欲を燃やす。「照明機器だけでなく、予想もつかない新規用途を生み出す予感がしてワクワクする」(御子柴名誉教授)
ありふれた元素に目が向く一方で、自然界には存在しない人工元素の研究も進む。日本原子力研究開発機構の芳賀芳範研究主幹らは、原子力発電燃料のウランの仲間である「超ウラン元素」の特性を調べている。レアアースと同様にいびつな形をした電子の軌道「f軌道」が磁性や光学特性を発揮するとみられている。
国内外の研究でこれまでにわかった性質から「大量に電気を蓄えるバッテリーなどに応用できる可能性がある」と芳賀主幹は期待している。ウランより原子番号が2つ大きいプルトニウムは電子を7個はぎ取ってプラス7のイオンを作れる。他の元素はたかだかプラス4止まりだ。
リチウムイオン電池のリチウムイオンはプラス1の電気を運ぶが、プラス7のプルトニウムを電池に使えば一気に7倍の電気を蓄えられることになる。さらにプルトニウムは異なる溶液に溶かすとプラスの電気を3、4、5、6、7と変えることができる。それぞれの溶液に光を当てると異なる色を出す。同一元素で5種類の色を出せるということは、それだけ機能が豊富とも考えられる。
アルミなどの身近な元素とプルトニウムのような人工元素。どちらもまだすべての機能が明らかになっているわけではない。ハイテク機器に応用が進んだレアメタルも最初は単なる「泥」だった。今は見向きもされない元素も、将来は宝の山になるかもしれない。
(科学技術部 黒川卓)
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