2014年04月05日

六合、金谷、浜松、金谷

/燕かえし@静岡県藤枝市にて鶏白湯らーめん/めん奏心(そうしん)@静岡県島田市にて極煮干しそば(醤油)/屋台拉麺身空(みそら)@静岡県浜松市西区舞阪町にて醤油拉麺/めん奏心@静岡県島田市にて丸鶏中華そば/

 さて、隣の静岡までラーメン修行、無理をすれば日帰りも出来ますが、青春18きっぷが2回分残っているし、一泊しますか。
 衣食住と平均的にお金を掛ける人もいれば、衣食にはお金を掛けるけど住は最低限でいい人もいて、色々な価値観があって面白い。
 始発で向かっても、どうしても途中で時間調整が入るので、ややゆっくりめに出発。
 いつも通り根府川を過ぎた辺りで日の出、さてさて、今回はどんなラーメンに出会えるか。

 静岡遠征では決まって藤枝で朝ラーを食べます。
 喜多方市と並んで普通に朝からラーメンが食べられる藤枝市、こんな天国みたいな地に生まれ育ったらラーメンの食べ歩きなんてしなかったよ。
 今日は六合駅で降りて、北口に出て東に戻る形で国道沿いを歩きます。
 十数分歩いて燕かえし@静岡県藤枝市、隣りのラーショ島田店には数台のクルマが止まっていて流行っていそうなので、思わず連食するところだったよ。

 多くの幟が立っているように(この店から徒歩圏の)麺屋燕のセカンドブランド、建物には「燕えがし」としか読めないロゴです。
 道路海側の敷地の東側に広く駐車場を用意して西側に建屋がありますが、朝ラーのお客さんをターゲットにしているのでしょうから、逆の方がお客さんはゆっくり食事が出来そうですね。
 お店に入ると二重ドアの外側に券売機、背中側は洗面所、メニューは鶏白湯スープのみで、ピュア、黒(マー油?)、和風(魚介?)、海老のレパートリー。

 つけ麺は中太麺ですと書かれているので、温麺は細麺ということでしょう。
 厨房に面してカウンター6席と2席、窓側に4人掛けテーブルが3卓、開店してずいぶん経ちますが、店内は物凄く奇麗で床も滑りません。
 匂いが殆どしないので母屋でスープを炊いて運んできているらしく、ポリパックからスープをレードルで小鍋に移して温め直していました。
 せっかくオープンキッチンなのだから、形だけでも寸胴がグツグツしていた方が雰囲気がでますけどね。

 程なくして鶏白湯らーめん700円、朝ラーとは思えない奇麗な麺相と高めの値段設定。
 ラッパの先をひっくり返したような白磁の丼は、あっという間にスープが冷める形状、個人的にはスープは最後まで熱々が好みですけど、この地ではこのスタイルが受けているのかな。
 味が移ってしまいそうなトッピングが多いので、先にスープを味わってみると、口当たり、喉ごし、いずれもかなりあっさりして飲みやすい。

 鶏白湯は「濃厚」というイメージがあるのでとても新鮮に感じますが、逆のこのスープから鶏白湯に入ると、東京で流行っている鶏白湯は濃すぎて飲めないかも。
 スープと同じように母屋から運ばれてきていると思われる極細麺、あっさりしたスープによく絡んで美味しい。
 トッピングは小さいチャーシュー、サニーレタスが一葉、海老紛(?)の掛かった白ネギ、揚げネギ、木耳。
 とても美味しく頂きました、ご馳走様でした。

 駅に戻って東海道本線を西へ。
 東海道本線は1時間に5便も6便も走っているので、時刻表を気にする必要はありませんし、電車の時間だからといって小走りになる必要もありません。

 金谷駅に着いたのは10時半、ラーメン屋さんまで歩くことを考えるとちょうどいい時間です。
 SLに乗ったり、山奥の温泉に向かう人がちらちらと歩いていて、まあ私はラーメン屋さんに向かうわけですが。

 普段なら何も気にしないで通り過ぎてしまう街並みも、さくらが咲いているとなると話は別。
 日本の花のことはよく知りませんが、こうして家の屋根を越えて咲く花は桜しかないのではないでしょうか。

 目的の住所に着いてもコンビニと予備校があるだけでラーメン屋さんが見当たりません。
 ふうと息を吐いて目をつぶり、ゆっくりと息を吸えば僅かに煮干しの香り、コンビの裏手か。

 金谷駅からは徒歩25分でめん奏心(そうしん)@静岡県島田市店主さんのブログ)、数人の開店待ち客が店先の木製のベンチに座って、今や遅しと開店を待っています。
 さすが静岡ナンバーワン、辺りをぶらりとしてからお店に近づくと、その間に車で到着したお客さんが先に並んでしまいました。
 限定10食狙いなら到底許せないし、そもそもその場を離れたりしませんけど、別に急ぐ修行ではありませんからそのまま後ろに並びます。

 ご夫婦連れの奥さんの方が私に気が付いて「お先にどうぞ」と声を掛けてきましたが、「いえいえ、急ぎませんので」と遠慮して。
 こういう時のきっかけトークってのが幾つかあって、一つ選んで声を掛け、僅かな待ち時間でお喋り、修行の醍醐味ですね。
 定刻になって開店、入ってすぐ左手の券売機を向く前に正面のオープンキッチンの素晴らしさに見とれてしまいました。
 メニューは多いのでどれを食べるべきか悩むと言うか、デフォを食べる意味があるのかと、何食か分からないけど数量限定のメニューにしました。
 店主さんを始め全5人が働く厨房を囲む6席、4席、5席のコの字カウンターのみ、特に席は案内されてませんでしたが、先のお客さんの隣に座ります。

 お冷やを飲みながら卓上をチェックすると、調味料は一切無し、必要ないってことだ。
 先のお客さんは店主さんの昔からの知り合いみたいで、煮干しの仕入れの話とか、限定メニューの話とか、おでん屋の話とか、それ以外に驚きの会話が、、、とてもこんなところではお話できません。
 と驚いている内に極煮干しそば(醤油)930円、ラーメンだと思うとこの値段は高いけど、和食一品料理だと思うと安いくらい。

 丸鶏スープで煮出した煮干し出汁スープ、言葉で書けばたったの20文字足らずですが、この20文字のスープを作れるのはこの店の店主さんしかいない。
 煮干し出汁の大吟醸とでも言いますか、煮干しの旨さだけを感じるスープ、東京でよく見られる「濃厚」さとは全く違う次元の味わい。
 当然のように自家製麺、かなり極細麺ですがスープに負けることなくするすると食べられます。
 それでいてトッピングは添え物で収まっておらず、しっかりした肉質のチャーシュー、一つ一つ仕込んだのかと思うほどのメンマ、半身の味玉、白ねぎ、板海苔。

 世の中には「食材を組み合わせ、調理して味を作る」料理と、「目指す味に向かって食材を探し、料理する」料理があると思う。
 料理の結果として使用した食材を店内に記してはあるけど、それは結果でしかない。
 美味しければ良いのではなく、表現したい味でなくてはダメなんたな。
 僅かに感じる苦味、「苦味こそ旨味だからね」と常連さんと話していた店主さんの顔を一生忘れない、

 食べ終わって席を立ち、店内に響き渡る声でご馳走でしたと挨拶、何にも恥ずかしいコトなんか無い、美味しかったのに声を出して挨拶しない方が恥ずかしいぞ。

 店の外に出ると数える気力も失せるほどずらっとお客さんが並んでいて、もう一度並ぶ気力がすっぱり無くなりました。
 駅まで同じ時間掛けて戻り、金谷駅の下りホーム外側の桜を眺めます。
 はっきりとは思い出せないけど、この桜は何年か前に見たことがあるぞ。

 そのまま終着駅の浜松駅まで。
 次のお店の開店時刻まで時間があるので、駅近くのミスドで一息入れてから、歩いて友達のお店へ。
 お店にはお店なんだけどお店らしくないので、初めて連れてきたもらった時にはどうなることかと不安でした。
 その後、浜松に来る時は欠かさず立ち寄ることにしているのは、話がとてもよく合うから。
 浜松は祭が近いので時間が取れないと言っていましたが、結局南極、車で一緒に行くことに。

 事前に調べた情報では(浜松駅から西に二駅目の)舞阪駅から徒歩30分の屋台拉麺身空(みそら)@静岡県浜松市西区舞阪町(携帯向けのホームページ)、屋台じゃないから屋号に偽りありだな。
 「BARRACKS NOODLES SHOP」、屋台としてスタートしましたが、少しずつ改築を進め、今ではバンガローをベニヤ板で囲って立派に雨風をしのげます。
 図らずも営業開始時間少し前に到着しましたが、入口には鍵が掛かっていて、開店時間、というか店主さんの到着を待ちます。
 話ではチャリンコで出勤してくると聞いていましたが今日は車、最近は「寒いし買い物もあるから」車が多いそうです。

 夏は暖房、冬は冷房の店内に入ると、簡素なテーブルとパイプ椅子がぱらり、一応数えると、3席、2席、3席、後から来たお客さんで開店直後から満席、既に外待ちがあります。
 今から麺の茹で湯を茹でるので一体何分待たされるのか分からないけど、連れてきてくれた友達と店主さんとの話を聞いているだけで楽しい。
 自分で言うのもおかしいけれど、5年前に連れてきてもらっていたとしたら話がさっぱり分からずに「早くラーメン出来ないかな」と携帯をいじくっていたことでしょう。
 それなりにラーメン屋を回ってきて、ラーメンに関連する人と話をしてきて、今、何とか話について行かれる。

 メニューは全然絞っておらず、塩、醤油、味噌のスタンダードに加え、世田谷ベトコン(辰屋インスパイア)、壺(豊橋駅構内の壺屋インスパイア)、サワークリームオニオン、ウラカツ(勝浦タンタンメンのインスパイア)の限定メニュー。
 引き出しが多くてもこんなに狭いスペースで多くのメニューは扱えないと思いますが、逆にメニューを絞って効率よく提供しても、席数が限られているので客回転は良くなりません。
 一杯づつ手作りだから、ある意味、どんなメニューでもできます。
 丼はてっきり発泡スチロール製の使い捨てかと思ったら、店舗で使うような白磁の丼、貴重な水を上手く使って丼を温めています。

 30分近く待って醤油拉麺650円+50円(消費税増税分)、「こちら後でお使い下さい」の旭ポン酢。
 なんだよスタンダードから壺かよ(分かる人だけ分かって)の、小ぶりの丼にぎっしりの麺、ぎっしりのスープ、ぎっしりのトッピング、
 レンゲはないので、先ずは一枚分以上はある細切り油揚げ、太切り白髪ネギをスープに浸して食べるところから、中に細切りチャーシューも沈めてあります。
 豚骨4に鶏ガラ1の割合と感じた白湯スープは十分に店舗で販売できるレベル、まあ、屋台だからレベルが低い、店舗だからレベルが高いという意味ではありませんけど。

 スープは美味しいけど、細麺は仕入れが厳しくて近くのスーパーで仕入れているとの噂(未確認です)、スープとの相性は想像しているより悪くありません。
 板海苔を食べた辺りで旭ポン酢、こ、これは、凛@大井町/渋谷/蒲田/南砂町などだけで使われていると思っていたポン酢。
 途中からドボドボ入れて、良くかき混ぜて食べるとなんと美味しいことか、凛以外で「ポン酢」を味わえるとは考えたことも無かったよ。
 スルッと食べてしまってご馳走様、ああ、美味しかった。

 浜松駅まで送ってもらい、というか、この食後の懇親会というか反省会がとても楽しい。
 まだまだ未食店があるので順番に回って自身のラーメンスキルを上げていかないとならないのですが、今日は別の意味でラーメンスキルを上げないとならない。
 金谷駅、ホンの9時間前に降りた駅で再び降りる、泊まる宿に向かうわけではなく、同じラーメン屋に向かうためです。

 めん奏心@静岡県島田市、ラーメン遠征に限らず、生活圏でさえ同じ日に同じラーメン屋に2回入ったのは数えるほどしかありません(店内でのお代わりは何度もあります)。
 昼営業で大きな声で挨拶したオジサンが夜営業に来店すれば、やっぱり驚くだろうな(驚かしたくて再訪したわけではありません)。
 夜営業はそんなに混んでいないんだな、券売機に向かってお金を入れていると、「色々売り切れていてスミマセン」とすぐ隣りに店主さんがいるじゃないですか。
 「友達(以降、Bさん)がトマトが旨いって言っていたので」と答えると、目をまん丸にして驚いています(驚かしたくて、以下同文)。

 店主さんのオススメのメニューを買って、店内を見やると、こちらへどうぞと目配せ、その席はホンの9時間前に座っていた席。
 運というのがあると思っていて、何十回通っても隅っこの席に座っていたら店主さんと話をすることはかなり厳しい。
 たった二回でも二回とも店主さんの目の前の座れば、こうして話も出来る。
 運というのは自然に巡ってきたり、何もしなくても順番に廻ってくるものじゃなくて、日頃の行いの結果でしかないと思っていて。
 ひとしきりラーメン談義、というか、私が全国のラーメン屋を食べ歩いている話とBさんの話をしていると、ラーメンが出来上がってきました。

 昔ながらの丸鶏中華そば790円、「Bさんはいつもこうなんですよ」と麺とトッピングをセパレートした提供、恐縮です。
 純丸鶏スープが美味しいことはよく知っていましたが、その美味しさの遥かに上をいく味わい、こんなに美味しいんだ。
 東京神奈川でこのスープに対抗できるラーメンを私は知らない、まだまだ自身の勉強不足を痛感します。
 細麺は何番手ですかと聞く28番手とのこと、「ウチバク(国内産小麦)しか使っていないから、細く感じますよね」とのこと。

 麺は麺帯という幅広い布状の麺を切り分けて作るのですが、3センチを分割する数を番手といい、28番手は28分割しているから1ミリ強の幅ということ。
 「王子の伊藤で感激を受けまして、煮干し路線にする事にしたんですよ」と、わざわざ王子まで食べに行ったんですか、スゴイですね。
 トッピングは恐ろしく分厚いチャーシュー、チョークのように太いメンマ、半身の味玉、板海苔、歩きなんだからビールを飲むんだった。
 「先週、湯河原に行ったんですよ」、ラーメン業界で湯河原と言えば飯田商店のコト、気になるんだろうな、俺も食べに行かないとな。

 初訪(でもないか)なのに30分ほどおしゃべり、美味しいラーメンをご馳走でした、楽しい会話をありがとうございました。

 来た道を戻って金谷駅へ、さすがのこの時間は一時間に二本位しか走っていなくて。

posted by ふらわ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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