第一三共は2008年に後発医薬品を手掛けるインドのランバクシー・ラボラトリーズを買収した。以来、この買収案件も日本の海外M&A(合併・買収)の失敗例のリストに入るという見方が広がっていた。ほかに、米リーマン・ブラザーズの一部門を買収した野村ホールディングスの株価が、その3年後には5分の1に下落した失敗例が知られていた。
第一三共は7日、ランバクシーを買収した際の価格を大幅に下回る額で同社株をサン・ファーマシューティカル・インダストリーズに売却すると発表した。これはランバクシー買収をめぐる評価損と、海外M&Aが下手な「日本株式会社」の評判を知らしめた。
調査会社ディールロジックによると、日本企業が過去3年間で海外M&Aで費やした資金は、その前の5年間の合計を上回る2470億ドルに達した。
日本企業は資金を積み増している。金融を除く東証平均株価指数(TOPIX)の構成企業の半数が、ネットキャッシュ(手元資金から有利子負債を差し引いたお金)を保有している。ビジネス機会を求めて海外に目を向けるなら、第一三共をはじめ多くの企業がはまってきた落とし穴を避けなければならない。
第一三共によるサン・ファーマシューティカルへのランバクシー売却で、ほぼ6年間におよんだ評価損と規制当局からの措置は終わった。第一三共は08年、ランバクシー株の63.4%を47億ドルで取得したが、今や同社株の時価総額は33億ドルになった。08年当時の買収価格は1株当たり737ルピー(12.23ドル)だったが、今回の売却合意でサン・ファーマシューティカルが第一三共に支払う価格は同457ルピーとなる。
このサン・ファーマシューティカルへの売却価格は、利払いや税引きなどの前のランバクシーの実績ベースの利益の22倍。第一三共が08年にランバクシーを買収した際には、この倍率は43倍だった。
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