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[FT]ハンガリー与党大勝、EUの懸念に(社説)

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2014/4/8 14:45
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 世界がウクライナ情勢に注目する一方、ロシアのプーチン大統領が強硬な態度で示したナショナリズムや失地回復主義を抱える国が以前から欧州に存在するという事実は忘れられがちだ。

 この週末のハンガリー議会選挙で現職のオルバン首相が圧倒的な支持で再選を決定づけた。オルバン首相は2010年の就任以来、愛国心を隠れみのに私利私欲を追い求め、外資系企業や国内の反対派に圧力をかけてきた。

勝利演説前のオルバン首相(6日、ブダペスト)=AP
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勝利演説前のオルバン首相(6日、ブダペスト)=AP

 オルバン氏が率いる中道右派の与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」は「大ハンガリー」という政治理念を掲げ、近隣諸国のハンガリー系住民に同国の市民権を与え、第1次世界大戦後に敗戦国ハンガリーの領土を周辺国に再配分したトリアノン条約が有効かどうか疑問視しているようにみえる。

 オルバン氏は国家統制型の経済政策も進めている。市場に恣意的な介入を実施し、反社会的とみなした人を不当に扱ってきた。外資系銀行に住宅ローンの損失を負担させることもあった。多数派の支持を得て、ハンガリーの憲法を改正し、司法、信教、報道の自由を脅かした。これらはすべて、近代政治家のスタイルとはいえない。

 圧倒的な支持を受けたオルバン氏の再選は野党の脆弱さの証明でもある。だが、フィデスの勝利が手放しで受け入れられているわけではない。議席数を減らし選挙区を改変した恣意的な選挙制度改革への不満は強い。選挙戦に向けた政治的な広告の規制は、こうした看板を掲げるための主要な場所を独占していたフィデスには極めて有利だった。

 オルバン氏は今回の勝利で、ハンガリーを立て直す政策を進める権限を得た。フィデスが単独でハンガリー憲法改正を可能にする3分の2以上の議席を獲得できるかどうかは明らかでない。だが、わずかに議席が足りないくらいであれば、オルバン氏の政治スタイルに制約を課せる可能性は低い。社会党が中心になった反政府連合は瓦解し、野党は確実に弱体化する。一方、極右政党ヨッビクが躍進したことで、影響力の強いナショナリストの声が一段と高まり、フィデスはさらに恣意的な行動をとりやすくなる。

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