原爆投下から間もなく再建を掲げた広島大学。その歩みの陰には、海外の大学の協力があった。恩返しの気持ちを直接伝えたい――。世界遺産・原爆ドーム近くの川で「被爆瓦」などを拾い集めている学生が大学側の支援を受け、ドーム壁面部分のブロック片を欧州の3大学に手渡した。

 広島大は1950年、海外の大学に図書の寄贈と緑化への協力を呼びかけた。広島大の文書館には約250大学から本や苗木が贈られた記録が保存されているが、詳しい所在地などは整理されないまま、長い歳月が過ぎていた。

 2009年。大学院生の嘉陽礼文(かようれぶん)さん(35)は文書館の資料をもとに200の大学を特定した。沖縄の祖母から戦争体験を聞いて育った嘉陽さん。中学の修学旅行で訪れた原爆ドームの前で「そばを流れる元安川には被爆した瓦などが沈んでいる」と被爆者から聞き、広島大入学後は元安川から被爆瓦や溶けたガラス片を拾う活動に友人らと取り組んでいた。