坂本龍馬(1835~67)が暗殺される直前、土佐藩重臣の後藤象二郎に宛てた手紙の草稿とみられる文書が、東京都内で見つかった。新政府樹立に向けた構想などが書かれている。鑑定人の一人で京都国立博物館の宮川禎一・研究員は「龍馬の最晩年の動きを裏付ける史料は少なく、貴重だ」としている。

 持ち主は30年以上前に古物商から購入したという。高知県立坂本龍馬記念館(高知市)などが筆跡や内容などから「直筆」と判断した。日付がないことなどから、草稿とみられる。

 記念館などによると、草稿は縦19・5センチ、横104センチで巻物に仕立てられている。「越行(えつゆき)の記(き)」と題され、後藤に宛てた福井藩への「出張復命書」。龍馬が1867(慶応3)年10月28日ごろに福井藩を訪れ、藩士の三岡八郎(1829~1909)と新政府樹立など国の将来について語り合った内容が書かれている。同年11月5日に京都に戻った後に書いたとみられ、同月15日に龍馬は暗殺された。