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"アメリカでいちばん危険な男"ダニエル・エルズバーグとペンタゴン文書
ベトナム反戦運動のハイライトとなった歴史的事件を二つ特集しました。ペンタゴン・ペーパーズの暴露については、すでに一度紹介しましたが、今回はその中心人物ダニエル・エルズバーグを取り上げます。ランド研究所のエリート調査員が、政府に背き終身刑を覚悟で内部告発をした動機はなんだったのでしょうか?
エルズバーグは、かつて反逆罪で起訴されかけました。後にペンタゴン・ペーパーズとして知られるようになる軍の最高機密報告書を内部告発したからです。当時のマクナマラ国防長官の命令で作成されたこの報告書は、1945年以降アメリカの歴代政府がどのようにインドシナに介入し、国民を欺いて勝算のない戦争にひきずり込んでいったかが記されています。
エルズバーグの勇気ある行動によって政府への信頼が一気にゆらぎ、ベトナム戦争の早期終結につながりました。当時のニクソン政権が「アメリカで最も危険な男」と呼んで指名手配した内部告発者エルズバーグの物語がドキュメンタリー映画になりました。
ダニエル・エルズバーグとパトリシア夫人、映画の共同監督ジュディス・エーリックをスタジオに招いて話を聞きます。日本ではあまり知られておらず、米国でも忘れられつつあるようですが、この痛快な内部告発の歴史はぜひ記憶にとどめておきたいものです。(中野)
ゲスト
*ダニエル・エルズバーグ Daniel Ellsberg ベトナム戦争を拡大・遂行した米国政府の意思決定過程を検証したペンタゴンの最高機密報告書の執筆者のひとりで、1971年にこの文書を内部告発者した。
*パトリシア・エルズバーグ Patricia Ellsberg ダニエル・エルズバーグ夫人。
*ジュディス・エーリック Judith Ehrlich 記録映画The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers(アメリカで一番危険な男 ダニエル・エルズバーグとペンタゴン・ペーパーズ)をリック・ゴールドスミスと共同で監督。
字幕翻訳:田中泉 / 校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子・高田絵里