背景にあるのが韓国企業の業績が軒並み悪化し、資金繰りに追われているフトコロ事情だ。
昨年の韓国の上場企業の個別決算の集計で、最終利益は15%減となった。10大財閥と呼ばれる企業グループでも、大韓航空を傘下に抱える韓進グループや建設会社などを抱えるGSグループは赤字転落、現代重工業グループも7割を超す減益に見舞われた。韓進グループのほか現代商船などを傘下に抱える現代グループも大規模なリストラを迫られている。
こうした状況では、本来なら取引銀行に支援を求めるが、「韓国の銀行は日本のメガバンクなどと比べて圧倒的に規模が小さい」(金融系シンクタンク)。大半の財閥系が、取引銀行からの借入額が一定基準を超える「要注意企業」としてリストラを迫られているのが実情だ。
経営が悪化しても銀行融資に頼れない企業は、高利回りの社債や、約束手形の一種であるコマーシャルペーパー(CP)を発行して資金を調達するケースが増えているが、これが大きな問題を引き起こしている。
昨年9月に破綻した中堅財閥の東洋グループは系列の証券会社を通じて2兆ウォン(約1960億円)もの社債やCPを発行、破綻直前まで4万人以上の個人投資家に売りつけていた。
GS建設は、赤字転落のリスクを公表しないまま社債を発行していた。また、業績悪化で社債の借り換えができるのか懸念されている中堅財閥ハンラのようなケースも後を絶たない。