小林、G新人6年ぶり初先発初打席安打も6連勝逃し「うれしさない」
◆中日4―3巨人(6日・ナゴヤドーム)
巨人は小林がプロ初打席初安打をマークしたが、中日に逆転を許し、同一カード3連戦3連勝を逃した。左ふくらはぎ痛のためベンチ外の阿部に代わり先発マスクをかぶったルーキーは3回、先頭打者で左前打を放ちプロ初安打。それをきっかけに藤村の中前適時打で先制。守備でも、先発の大竹をうまくリードしたが中盤逆転を許し、巨人の連勝は5でストップした。
ガムシャラだった。3回先頭、1ボール1ストライクからの3球目。小林は見逃せばボールという143キロの内角高め直球を強振した。「積極的に初球から振っていこうと思っていました」。詰まりながらも、打球は左前に落ちた。
巨人新人の初打席初安打は、08年6月6日のロッテ戦(東京D)で初打席サヨナラ本塁打を放った加治前以来となる。藤村の中前打で生還しベンチに戻ると、ナインに温かく迎えられた。
5日の試合で左ふくらはぎに死球を受けた阿部がベンチを外れ、回ってきた初先発。これまでの2試合、ベンチから吉原1軍バッテリーコーチと一緒に観察してきた。同じ球種、コースを続けて打者の裏をかく“嫌らしい”谷繁の配球を学ぶためだった。
だが、試合前、同コーチから「今日はお前の色を出せばいい」と送り出され、吹っ切れた。迷いはなかった。「思い切ってやることだけを考えました」。大竹に首を振られても、すぐさま次のサインを出し、よいリズムを作ろうと心がけた。
4点を奪われたが、原監督はルーキーの奮闘に目を細めた。「柱となっている部分は変える必要は全くない。慎之助がデビューした時より、堂々としているキャッチャーぶりだったと思う」
あの時があったから今がある。広陵高3年の07年夏の甲子園、佐賀北との決勝。4点リードの8回1死満塁、ストライクと確信した直球をボールと判定された。押し出し。小林はミットを地面に叩きつけた。直後に逆転満弾を浴び、全国制覇を逃した。
グラウンドでは涙ひとつ見せなかったが、試合後の会見で「相手が粘り強くて…」と中井監督が選手たちをかばうと、バッテリーを組んだ野村(広島)と泣き崩れた。「あの試合がなかったらプロには来られていない。今では2番で良かったと思っています。1番を目指せるじゃないですか」。反骨心を宿し、プロの舞台まで上ってきた。
この敗戦でチームの連勝は5でストップ。「悔しかった。うまくリードできなかった」と唇をかんだ。だが続けて「1試合を通していろんな経験ができました。反省できることが収穫です」と言い切った。
ほろ苦デビュー戦。高校最後の夏からはい上がったように、敗戦からスタートする。(井上 信太郎)