被災地支援詐欺:善意・恐怖に付け込む 巧妙な「劇場型」

毎日新聞 2014年04月07日 08時05分

被災地支援名目の詐欺の構図
被災地支援名目の詐欺の構図

 「原発事故で苦しむ被災地の復興に役立つなら」。詐欺容疑が浮上した福島県の山林売買では、被害者の多くがこうした思いにつけこまれていた。業者に出回っているとされる過去の詐欺などの被害者名簿からの削除を望む心情も利用され、さらに中国の犯罪組織トップと称する男が登場して恐怖を感じさせるなど、極めて巧妙に仕組まれていた。【町田徳丈、小倉祥徳】

 被害者はいずれも過去に悪徳商法や金融商品取引などで数百万円から1億円以上の被害を受けていたが、損失分を取り戻す勧誘に慎重だった人も多い。それでも再び被害に遭っていた。被害者の話や毎日新聞が入手した電話録音から浮かんだ主な手口はこうだ。

 「過去の詐欺被害者の名簿が売買され、そこにあなたの名前が載っている。名簿から削除して被害金を取り戻す方法がある」。自宅に若い男の声で唐突に電話が入る。「うちは警察から依頼された第三者機関。犯罪組織が相手なので所在地などを公にはできないが、特別捜査隊に当たる」と語り、団体名を「プロテクト」「アドバンス」「グローバルサポート」などと名乗る。そして、団体の顧問として「中国の犯罪組織に一目置かれる80歳を超えた先生がいる」と説明される。

 直後に非通知で電話が鳴る。中国の犯罪組織のトップで金や朴と名乗る男が「あんたの(被害)金は俺の所にあるが、先生から金を返せと電話があった」と荒っぽい声で切り出す。「データ照合に必要」と貯金額などを聞き出すが、返答しないと「平気で2、3人殺す若いのがいるから、あんたの子供もぶっ殺すことができる。もう下見もしている」と脅しの言葉が続く。

 その後、「先生」とされる男から電話が入る。天野や大沢、村田などと名乗り、国際刑事警察機構(ICPO)の関係者や弁護士、政界に通じた慈善家といった触れ込みだ。中国の犯罪組織について「電話したり家に行ったりするなとしかっておいた。もう安心を」と穏やかに話して落ち着かせ「被害金を回収して個人情報も消せるが、犯罪組織からポンと被害金が戻ると国税局が動く」と話を移す。

 その上で「国に貢献していないと国税局の取り立てが厳しくなる」とささやく。「実は福島に国有予定地の山林がある。復興のために買うと国への貢献になる。払った土地代はいずれ戻る」と土地販売会社の連絡先を告げ、被害金の回収見込みと見合う額で土地を買うよう求められる。

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