被災地支援詐欺:被害70人4億円 福島の山林購入
毎日新聞 2014年04月07日 08時00分(最終更新 04月07日 11時23分)
過去に遭った詐欺などの被害を回復するためとして東日本大震災の被災地支援を持ち掛けられ、原発事故に見舞われた福島県内の山林を通常価格の約1000倍で買わされた上、最終的に被害回復もされないケースが相次いでいることが毎日新聞の取材で分かった。被害は2012年12月からの1年間で東北から九州・沖縄まで少なくとも70人以上、4億円前後に上るとみられる。被害相談を受けた警察当局は詐欺容疑で捜査に乗り出した。【町田徳丈、小倉祥徳、黄在龍】
毎日新聞は被害者を取材し、このうち37人、約3億1400万円の被害を確認した。いずれも62〜83歳と高齢で、1人当たりの被害額は100万〜5400万円。過去には和牛商法や金融商品取引などで被害に遭っていた。
被害者によると(1)警察関連の「公的団体」所属と名乗る男から過去の被害金回収と流出している被害者名簿からの削除を電話で持ち掛けられる(2)犯罪組織トップと称する男から脅し口調で「仕方ないが返金する」と電話で告げられる(3)公的団体の「顧問」から安心させる電話が入るが、戻った被害金について被災地支援にもなるとして福島県の「国有予定地」の購入を求められる。土地は同県二本松市と川俣町の山林2カ所。二本松市の山林は貨物専用飛行場、川俣町では地熱発電の計画があるなどと、団体に紹介された土地販売会社から説明を受けていた。
販売価格は1坪当たり10万円。被害の大半を占める二本松市の山林の固定資産税評価額は1坪当たり約89円で、販売額は約1100倍だった。固定資産税評価額が公示地価の7割とされることを考慮しても、その約780倍になる。一方、川俣町の山林は、福島第1原発事故で一時、計画的避難区域とされた地区(現避難指示解除準備区域)に隣接している。
土地を購入後、過去の被害金の返還日が指定されるが、「公的団体」や「顧問」は音信不通となり、土地販売会社は「(公的団体などと)無関係」とした上、多くは連絡がつかなくなっていた。
貨物専用飛行場や地熱発電について、福島県や地元自治体は「全く聞いていない」「具体的な計画はない」などと否定。2カ所の山林の元地主はいずれも「原発事故後、利用価値がなくなったので手放した。買い手は利用目的を言わなかった」と証言した。