私たちは昨年、ソフトウエア開発プロジェクトのテスト工程の効率化に取組みました。効率化を実現するアプローチは多様ですが、今回の取組みでは、効率化可能なアクティビティを支援する即効性の高いツールを作成・適用する方針で進めました。実際に多くの開発プロジェクトが活用し、作業を効率化しています。この記事では、複数回に分けて私達の取組みと成果を紹介します。
前回 は、対象システムのライフサイクルに渡って維持・メンテナンスするべきテストケースのマスタ管理について説明しました。この回では「テストケースの選定とテスト実施スケジュールの設定」について説明します。(下図「実施テストケース選択」と「テスト実施者、予定日登録」の部分)
PJテスト計画を作成する
テスト管理ツールでは、「PJテスト計画」というプロジェクト的なものをユーザが定義し、その単位で実施テストケースやその予定/実績、発生不具合を管理します。ユーザが管理したい粒度でPJテスト計画を作り、効率的な管理を行えます。
マスタ管理画面の右上の"テスト計画の新規作成"リンクからPJテスト計画を作成します。以下が主な登録項目です。
| 設定項目 | 説明 |
| PJ名 | 管理対象の開発プロジェクト名称。 |
| 実施期間 | 管理対象のテスト工程の開始日、終了日。 テストの予定/実績を集計する際の対象期間になります。 |
| メンバー | 管理対象のテスト作業の担当者。 Redmineに登録されたユーザから複数選択します。 テストケースの担当者は「メンバー」から指定することになります。 |
| 不具合票トラッカー | 管理対象のテスト工程で不具合管理に使うRedmineチケットのトラッカー。 Redmineに登録された複数パターンの不具合票様式(トラッカー)から、 開発プロジェクトに合ったものを選択できます。 |
作成したPJテスト計画は"テスト計画の新規作成"リンクの下に表示されます。今回は「消費税率変更対応プロジェクト 結合テスト工程」を作成しました。1つのシステムで並走する複数改良開発プロジェクトを管理する場合は、PJテスト計画を分けて作成することで、プロジェクト単位にテスト管理が行えます。
テスト仕様マスタからPJテスト計画にテストケースを割り当てる
PJテスト計画名を選択すると、個々の開発プロジェクトのテスト工程管理を行う画面に移ります。下の図は「消費税率変更対応プロジェクト 結合テスト工程」選択後の画面です。
画面右のテスト仕様マスタツリーから必要なテストケースを選び、画面左の黄緑色のエリアにドラッグ&ドロップすると、PJテスト計画にテストケースが割り当たります。下の図は、001(ログイン機能)を丸ごとPJテスト計画に割り当てた状態です。
以下の特徴があり、直感的な操作と柔軟な再利用対象の選択で、Excelのテスト仕様書に比べ、テストケース再利用が格段にし易くなりました。
- ツリーでテスト仕様全体を俯瞰し、必要なテストケースの在処を把握できる。
- 全文検索やキーワード検索で、必要なテストケースを効率よく特定できる。
- 状況に応じて、柔軟な方法でテストケース割当ができる。
- テストケースを束ねている階層をドラッグ&ドロップして配下のテストケースを一括割当
- テストケースをダブルクリックして内容を確認しながらの1件ずつ割当
- 既存のPJテスト計画に割当てられたテストケースのセットを、ワンクリックで複製できる。
使用目的は再利用から外れますが、テスト計画に割当てたテストケースはワンクリックで、任意のExcel様式にエクスポートできます。テスト実施日、実施者、結果、関連不具合、添付証跡等の実績が記録されたテスト仕様書をお客様へ納品する場合などに、大きな効率化が期待できます。
PJテスト計画に割り当てたテストケースに、担当者と予定日を設定する
実施テストケースの選択後、「予定(判定)」「予定(確認)」タブで、テストケースごとに担当者と予定日を設定します。このデータは進捗集計機能で予定データとして集計されます。テスト管理ツールでは「判定」「確認」の2つのアクティビティごとに担当者、予定日を設定できます。それぞれの意味は以下のとおりです。
| アクティビティ | 意味 |
| 判定 | テストケース実行と合否判定 |
| 確認 | 第三者によるテスト結果のレビュー |
下図は「予定(判定)」を選択した画面です。(「予定(確認)」画面もレイアウトは同様)
操作方法は簡単。右側のカレンダー日付とメンバーを、左側のテスト計画に割当てたテストケースにドラッグ&ドロップするだけです。以下のような特徴があります。
- 予め複数選択したテストケースまたはテストケース階層へのドロップで、予定を一括設定できる。
- 予定データがリアルタイムにサマリ表へ集計され、計画を俯瞰しながらフィジビリティの高い計画が効率よく作成できる。
- 担当者未定、予定日未定のテストケース数が即座に分かる
- 特定のメンバーや日付への作業量の偏りが即座に分かる
- PJテスト計画で設定したテスト実施期間から外れた不正な計画を検知できる
- 担当者や予定日が未定のテストケース、特定の担当者や予定日が割当てられたテストケースをフィルタできる。
おわりに
今回はテスト工程の詳細計画段階で活用する機能について説明しました。実際の開発プロジェクトでは、
- PMが一般的なPJ管理ツールを使い、週単位レベルのテスト日程を仮決めする。
- テスト担当者が実施テストケースと担当者・スケジュールを明確化する。
- 仮日程と乖離する作業、乖離の程度をテスト管理ツール上で共有し、プロジェクト内で計画を調整する。
という流れで、テスト管理ツールの計画機能を使っています。
次回はテスト実施の場面における、テスト担当者やレビュー担当者の作業効率向上に効果的な機能、使い方を紹介します。