米国防長官:韓国の対日批判抑制 憲法解釈変更後押し

毎日新聞 2014年04月07日 00時37分

 【ワシントン西田進一郎】ヘーゲル米国防長官は6日の小野寺五典防衛相との共同記者会見で、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更について支持する考えを明確に示した。米政府はこれまで「外圧」とみられることを懸念。「取り組みを歓迎する」などの発言にとどめてきた。従来より踏み込んだ発言で、これを後押しすると共に、過去の歴史問題と絡めた韓国の批判を抑える狙いもありそうだ。

 「我々はその努力を奨励し、支持する」。ヘーゲル長官は日米防衛相会談後の記者会見で、日本の集団的自衛権行使への見解について答えた。米国は昨年10月の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で「取り組みを歓迎する」とするなど、これまでは「歓迎」が公式見解で、今回は一歩踏み込んだ。

 集団的自衛権の行使容認は、自衛隊と米軍との連携をさらに強化するもので、米国は元々歓迎の立場だ。ただ、米国が圧力をかけていると受け取られれば議論に水を差しかねない。また、韓国が歴史認識問題などと絡めて日本の安全保障政策の強化に反発しており、後押しを控えてきた。

 しかし、日本国内では集団的自衛権を巡る与党内の協議が既に開始。また、日韓関係はオバマ大統領の仲介で実現した日米韓3カ国首脳会談で変化の兆しが出てきた。一方で、北朝鮮の度重なる挑発は続いており、日米韓の結束強化は欠かせない。

 これらを背景に「集団的自衛権の行使容認は日米同盟はもちろん、日米韓、さらに韓国の安全保障強化にもつながる」(日米外交筋)と「支持」を打ち出し、米国の立場を鮮明にして安倍政権を後押しするとともに、韓国に冷静な対応を求める方が得策だと判断したとみられる。

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